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建築基準法 定期報告を怠ったり偽ったりした場合のリスク・罰則

2021-12-10

建築基準法(第12条)には定期報告制度があり、特定建築物の所有者または管理者(以下、所有者等という)は、特定行政庁の指定する時期に検査・報告を行うことが義務付けられています。では、この報告を怠ったり偽ったりした場合、どのようなリスク要因が考えられ、それに対する罰則があるのでしょうか。過去の事例などを参考に説明いたします。

(目次)

  1. 基本事項
  2. 罰則処分となった具体的な事例
  3. 定期報告の重要性

 

1. 基本事項

建築基準法(第12条)で定める定期報告制度では、特定建築物の所有者等は、一級建築士や二級建築士など有資格者による定期的な検査を行い、その結果を特定行政庁へ報告することが義務付けられています。
一般的に、特定行政庁から所有者等に定期報告を求める通知が送付され、この通知に従わず報告を行わなかった場合には、督促状等が送付されます(本来は通知の受領に関係なく、検査・報告を行う必要があります)。これにも従わず定期報告を行わない場合、行政により立入調査を行う等、対応は異なりますが、最終的には罰則(次章詳述)があります。また、定期報告等を行わず適切な維持管理を怠った場合、他人に生じた損害を賠償する責任が発生します。
特定建築物の所有者等は日頃から適切な維持管理に努め、どのような事情があっても、特定行政庁の定めに従って検査を行い、不適合な点があった場合は、有資格者と相談のうえ、早急に対応しなければなりません。

【罰則】
建築基準法第101条において、定期報告をせず、または虚偽の報告をした者は100万円以下の罰金に処するとされています。また、定期報告を実施する有資格者の罰則もあり、虚偽の報告をした場合は有資格者証の返納が命じられ、返納に応じない場合は30万円以下の罰金処分の対象となります。

 

2.罰則処分となった具体的な事例

定期報告を怠った上で火災等の事故が発生し、建築設備・防火設備の不具合や避難の対策がずさんで悪質と判断された場合、建物の所有者等が実刑判決になった事例があります。

事例1 ホテルプリンス火災事故(平成24年5月広島県福山市):
火災により宿泊客7名が死亡し、従業員1名を含む4名が重傷を負いました。ホテル経営会社の元社長は業務上過失致死傷害罪に問われ、執行猶予5年、禁固3年の有罪判決となりました。調査によると、排煙設備の未設置により、煙が充満し視界が悪くなり逃げ遅れたこと、内装に使われているベニヤ板が救助活動の妨げとなったことなどが被害を大きくしたと見られています。排煙設備の設置は、法律で義務付けられているものでした。また、定期報告が38年間行われていなかったなど、危機管理のずさんさも問われました。

事例2 歌舞伎町ビル火災事故(平成13年9月東京都新宿区):
雑居ビルの火災により、3階と4階にいた44名が死亡し、脱出時の負傷者も出ました。自動火災報知器は、誤作動が多いことを理由に電源が切られており、4階は火災報知機を含めた天井部分が内装材で覆い隠されていました。定期報告等を怠ったため、避難器具の未設置や正常に作動しないなど、状況が改善されなかった例です。ビルは火災後に使用禁止命令が下され、その後遺族との和解が成立しましたが、ビルは解体され、和解金は総額10億円を超えるといわれました。この事故で、同ビル所有会社役員、テナントオーナーを含む計5名が執行猶予付の有罪判決を受けました。

火災事故事例


 出典:総務省消防庁ウェブサイト東京消防庁ウェブサイトから抜粋

 

3.定期報告の重要性

広島市のウェブサイトでは以下のように伝えています。

2001年9月の東京都新宿区歌舞伎町ビル火災や2012年5月の福山市ホテル火災の例からも、所有者・管理者に「防災の心」がなければ、災害や事故を未然に防ぐことができないのは明らかです。多くの犠牲者を出した建物事故のほとんどは、定期調査報告や維持管理が不適切でした。そのためにも「定期報告制度」は重要なものです。

出典:広島市ウェブサイトから抜粋

火災や事故、自然災害による被害拡大を防ぐため、国土交通省と特定行政庁は定期報告の遵守を推進し、建築物が適切に維持管理されるように力を入れています。2015年には、「新築時の建築基準適合の確保にとどまらず、既存建築物の違反・危険状態の解消や既存不適格物件の安全性向上など、建築物ストックの質の向上を図るとともに、良好な市街地環境を整備する」ため、建築行政共用データベースシステムが導入されました。今後はさらに既存建築物が適切に管理されているかを把握しやすくし、これを守らない場合には罰則を厳しくすることも考えられます。

 

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インサービス検査事業本部 久保田 理恵


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