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カバー画像(環境)

環境性能評価認証が増えている理由とは

環境性能評価認証が増えているのはなぜか

「建築環境総合性能評価システム(CASBEE)」や米国基準を用いた環境性能評価システム「Leadership in Energy & Environmental Design(LEED)」をはじめ、建物環境性能評価システムの認証数は増加傾向にあります。

環境性能を評価するツールとして、国内ではCASBEEのほかに省エネルギー性能に特化した「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)」があります。海外ではLEED以外に「Building Research Establishment Environmental Assessment Method(BREEAM)」や「GREEN MARK」などが知られています。
これらの環境性能評価ツールを利用した認証はなぜ増えているのでしょうか。

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CASBEE&LEED認証国内累計数


2015年に国連でSDGsが採択されて以降、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資への関心が高まりを見せ、投資機関数および投資額は年々増加しています。
機関投資家は企業のESGへの取り組みを考慮し投資先を決定しています。
一方、企業側も投資対象となるべくESGへ積極的な取り組みを展開するようになりました。 

 

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PRI署名機関数および資産運用残高合計の推移


 出典:PRIウェブサイト

また、2020年10月に政府が宣言した2050年のカーボンニュートラルの目標実現に向け、省エネの徹底や再生可能エネルギー導入を促進する動きが加速しています。自然エネルギーや外壁の熱負荷抑制のための材料などを利用した環境負荷を抑える建物づくりが提唱され、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが進行してきています。
これらの動きも環境認証取得の動機付けとなっています。

 

2020年10月26日 菅内閣所信表明(抜粋)

我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。
もはや、温暖化への対応は経済成長の制約ではありません。積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です。
鍵となるのは、次世代型太陽電池、カーボンリサイクルをはじめとした、革新的なイノベーションです。実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進します。規制改革などの政策を総動員し、グリーン投資の更なる普及を進めるとともに、脱炭素社会の実現に向けて、国と地方で検討を行う新たな場を創設するなど、総力を挙げて取り組みます。環境関連分野のデジタル化により、効率的、効果的にグリーン化を進めていきます。世界のグリーン産業をけん引し、経済と環境の好循環をつくり出してまいります。
省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策を進めることで、安定的なエネルギー供給を確立します。長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換します。

 

CASBEEとLEEDは何が違うのか

国内外の環境性能評価認証の代表格であるCASBEEとLEEDの違いについて解説します。

CASBEE

CASBEEでは「環境品質」を「環境負荷」で除した指標「建築物の環境性能効率(BEE)」で性能を評価します。
「環境品質」は室内環境・サービス性能・室外環境(敷地内)、「環境負荷」はエネルギー・資源・敷地外環境で構成されており、各カテゴリーからポイントを算出します。
BEE値が3.0以上の場合の評価は「S」、以下BEE値に応じて「A」「B+」「B-」「C」の計5ランクで評価されます。

  • 認証取得理由

    CASBEEは日本で開発された評価手法で、日本国内の建物を対象としています。
    行政の取り組みと連動している点も特徴の一つといえるでしょう。国土交通省が実施するサスティナブル建築物等先導事業などにおいて、評価指針や認定基準の選択項目としてCASBEEが採用されています。また、自治体がCASBEEをもとに独自の条件を付加し、CASBEE自治体版を策定しています。CASBEEをベースとした基準を利用することで、助成制度や容積率の緩和といった優遇制度が利用できることから、認証取得を行うケースが見られます。

 

LEED

LEEDでは「立地と交通」や「持続可能な敷地」など、9カテゴリー、46の評価項目で評価し、最大110ポイントを設定しています。合計80ポイント以上で「プラチナ」、以下「ゴールド」「シルバー」「サーティファイド」の計4ランクで評価されます。

  • 認証取得理由

    LEEDは米国で開発された基準で、現在世界中で認証されており、認証数は増加傾向にあります。海外での認知度は高く、海外に拠点を置く企業や、テナントとして海外企業の国内誘致を求める企業が認証取得を行うケースや、海外に向けた企業アピールとして認証取得を行うケースが見られます。

 

CASBEEとLEEDの特徴

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CASBEEとLEEDの特徴


 

技術監査事業部 佐々木 輝


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