外壁調査の必要性と調査方法について
建築基準法第12条では、外壁調査について特定建築物定期調査(1~3年毎)と全面打診等調査(10年毎)を行うことを義務付けています。今回は、特に近年実施が増えている全面打診等調査(以下、外壁調査という)について、その必要性や調査対象箇所、調査方法等についてお伝えします。
(目次)
- 外壁調査の必要性(法定基準・落下事例)
- 外壁調査の対象となる仕上げ材、箇所
- 外壁調査の方法(打診調査と赤外線調査のメリット・デメリット)
1.外壁調査の必要性
法定基準
国土交通省は、平成17(2005)年に指導文書「既存建築物における外壁タイル等落下防止対策について」を発出し、建築基準法第12条に基づく定期報告制度を改正しました。そして平成20(2008)年4月1日以降、竣工または外壁改修から10年を経過した建物は全面打診等により調査せよとの方針を打ち出しています。
外壁調査の実施時期
- 特定建築物定期調査(部分打診や目視等による)により異常が認められたもの
- 竣工後10年を超えるもの
- 外壁改修後10年を超えるもの
- 外壁の全面打診等調査の実施後10年を超えるもの
落下事例
外壁落下に関わる事故は過去に何度も起きており、一部の行政では事例を挙げて落下防止対策を要請しています。以下は、大阪市内の主な外壁落下事例ですが、近年は年に複数回も起きている状況で、外壁調査の必要性がますます高まっています。
平成25(2013)年6月15日 | 3階建てビルにおいて、3階部分の外壁モルタル(垂壁)の一部が落下し、通行人に被害を及ぼした。 |
平成26(2014)年6月5日 | 6階建て共同住宅の外壁モルタルの一部が落下した。 |
平成26(2014)年7月14日 | 3階建て店舗付住宅の2階、3階部分の外壁タイルの一部が落下した。 |
平成26(2014)年8月10日 | 8階建て共同住宅の外壁タイルの一部が落下した。 |
平成26(2014)年11月30日 | 6階建て共同住宅の屋上パラペット部分の外壁タイルの一部が落下した。 |
平成27(2015)年5月28日 | 6階建てビルの3~5階部分の外壁モルタルの一部が落下し、隣地に被害を及ぼした。 |
平成28(2016)年7月7日 | 9階建てビルで6階部分の外壁タイルの一部が落下し、通行人に被害を及ぼした。 |
平成29(2017)年3月15日 | 10階建て共同住宅の10階バルコニーの外壁タイルの一部が落下した。 |
平成29(2017)年7月24日 | 5階建て共同住宅の5階バルコニーの外壁タイルの一部が落下した。 |
平成29(2017)年9月26日 | 4階建てビルで3階部分の外壁パネルの一部が落下した。 |
平成30(2018)年4月10日 | 6階建てビルで4階部分の外壁タイルの一部が落下した。 |
出典:大阪市「外壁等の落下防止対策のお願い」より
出典:一般社団法人 日本建築防災協会「特定建築物定期調査業務基準(2016年改訂版)」(抜粋)
2.外壁調査の対象となる仕上げ材、箇所
以下では、調査対象の仕上げ材、箇所についてお伝えします。
調査対象の仕上げ材
- タイル貼り(PC・ALC版に貼られる場合や工場で打込まれる場合も含む)
- 石貼り(乾式工法によるものを除く)
- ラスモルタル(モルタル塗 一般的に20~40mm)
調査対象の箇所
落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分が対象となります。落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分とは、当該壁面の前面かつ当該壁面高さの概ね2分の1の水平面内に、公道、不特定または多数の人が通行する私道、構内通路、広場を有するものと定められています。
ただし、壁面直下に強固な落下物防御施設(屋根、庇等)が設置され、または植込み等により、影響角が完全にさえぎられ、災害の危険がないと判断される部分を除きます。また、人が通ることのない(ごく稀にしか通らない)境界際や通路については調査対象外とできる場合がありますが、行政庁等への確認が必要です。
3. 外壁調査の方法(打診調査と赤外線調査のメリット・デメリット)
外壁調査の方法には、大きく分けて打診調査と赤外線調査があります。調査の目的・建築物の状況等から選択が必要ですので、ここでは調査方法ごとの概要と特徴(メリット・デメリット)をお伝えします。
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ビューローベリタスは、特定建築物定期調査(12条点検)において、建物の打診検査をはじめ、検査員教育を受けた特定建築物調査員、建築設備検査員、防火設備検査員が多数在籍しており、高い業務品質を確保しています。また、消防設備点検、防災管理点検、防火対象物点検、電気保安点検業務など、各種サービスを提供しております。
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