食品の黒変(変色)の事例と判定
「食品に黒いものがある」ということで、ビューローベリタスエフイーエーシーへ異物検査のご依頼をいただくことがよくあります。原因としては「①異物混入によるもの」、「②食品原材料が変色して発生しているもの」が挙げられます。今回、食品の黒変(変色)について事例を含めてご説明します。
食品の黒変(変色)
食品の原材料である動植物成分が、加工過程や貯蔵過程で黒変(変色)してしまうことがあります。成分が黒変(変色)する理由はいくつかあります。
- アントシアンやカロテノイドなど動植物固有の色素が退色する
- ポリフェノールなどの酵素が酸化する
- 微生物による変敗で引き起こされる
- 鉄など無機化合物により引き起こされる
主なものとしては、上記のようなことが挙げられます。この他にもタンニンの酸化、糖のカラメル化、光による退色などさまざまあります。
これらの黒変(変色)原因の中から、食品原材料の成分由来によるものや加工時に発生する黒変について例を紹介します。
例1 レンコン
レンコンが黒くなっているところはよく見かけられると思います。これはポリフェノールの一種であるタンニンが酸化することによって黒変したものです。また、レンコンを鉄鍋で煮るとポリフェノールが鉄と結合して黒変が起きます。このタンニンはレンコンのアクの成分ですので、アク抜きをしっかりすると防ぐことができます。
例2 焦げた食品(うどん麺)
食品を加熱して焦げてしまったときに黒くなります(写真1、2)。 加熱により食品の水分が失われ、タンパク質や糖の中の炭素が酸素と結合できないと炭化を起こします。炭化すると光を透さなくなり、見た目には黒く見えます。
例3 エビ
エビやカニは、時間経過により黒くなります(写真3、4)。これは、エビやカニに含まれるチロシンというアミノ酸が、体内に持っている酸化酵素により酸化され、メラニンが生成されることによって起こる現象です。
このように食品の黒変は日常的に見られるものです。食べて害のない例も多いのですが、見た目に快いものではありません。また消費者からは、食品の原材料が黒変(変色)したものが、混入した異物と見分けがつかないこともあります。
ビューローベリタスエフイーエーシーの異物検査では、食品の黒変(変色)についても判定を行っておりますので、どうぞご相談ください。
【参考文献】
食品の変色の化学(光琳)
ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社 検査部 微生物検査課 山根 昭紀
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