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建築物省エネ法拡大、新設された説明義務制度について

2021-06-10
Table of contents

2019年に公布された、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の改正は、2年以内施行の期限を2021年4月1日に迎えました。
すでに改正された内容の全てが施行されていますが、あらためて改正内容(規制措置)を整理し、特に新設された説明義務制度(戸建住宅)について見ていきます。

 

改正概要

規制措置

Ⅰ.適合義務制度

新築時等における省エネ基準への適合性判定。
対象:300㎡以上の非住宅建築物
改正:従前2000㎡以上→300㎡以上に拡大

Ⅱ.届出義務制度

新築時等における所管行政庁への省エネ計画届出義務。
対象:300㎡以上の住宅
改正:住宅性能評価やBELSの活用可

Ⅲ.説明義務制度(新設制度)

設計の際に、建築士から建築主に対して、省エネ基準への適否、適合しない場合は省エネ性能確保のための措置について説明を義務化(新たに簡易な計算方法を規定)。

Ⅳ.住宅トップランナー制度

一定数の住宅を供給する事業者(特定建築主)に対して、住宅トップランナー基準に適合するよう努めることを規定。
改正:分譲戸建住宅以外に注文戸建住宅、賃貸アパートも対象とした

 

説明義務制度

改正前は、小規模な住宅・建築物は、適合義務制度や届出制度の対象となっておらず、省エネ性能の向上の努力義務が課せられていましたが、地球温暖化対策・エネルギー受給構造の安定化を目的として、小規模な住宅・建築物にも、省エネ対策が強化されました。

 

強化のポイント

  1. 建築主に対する努力義務として、求める水準が下記のように強化されました。
    「省エネ性能の向上」→「省エネ基準への適合」
  2. 建築士から建築主に対して、省エネ基準への適合状況等に係る説明義務を設けました。

 

説明義務の対象

説明義務の対象は、2021年4月1日以降に委託(設計業務委託)を行なった小規模住宅・建築物です。
※ 建築主が、省エネ性能に関する評価および説明を要しない旨の意思の表明があった場合は説明不要

以下にフローを示します。

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書面交付例については下記を参照ください。省エネ基準に適合していない場合、適合させるためにはどんな措置が必要か説明を要するため、措置の効果確認のための計算や措置に掛かる費用積算が別途必要になります。
なお、説明に用いた書面は、建築士法により建築士事務所の保存図書となっていることにご注意ください。都道府県等が、建築士法に基づき、建築士事務所に対する報告徴収や立入検査を行う際の確認対象となります。

 

記載例:省エネ基準に適合している場合

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記載例:省エネ基準に適合していない場合

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説明義務制度に使える評価方法について

住宅・建築物の省エネ性能の評価方法の分類については、下記の国土交通省ウェブサイトに掲載されています。建物種別(非住宅建築物、戸建住宅、共同住宅)により分かれ、さらにその種別ごとに外皮・一次エネルギー毎の標準計算や簡易計算を示しています。
国土交通省「住宅・建築物の省エネ性能の評価方法の分類」(PDF)

説明義務制度の説明のために設けられた戸建住宅の簡易な手法(モデル住宅法)について、概要を説明します。標準計算の方が、入力難易度は高いですが精緻な結果が得られます。

建物の省エネ性能を評価するためには、大まかには建物の断熱性能の“外皮”の評価、設備の性能の“一次エネルギー”の2つで構成されています。
戸建住宅の説明義務制度を見据えて設けられたモデル住宅法は、簡易計算シートを利用することで外皮・一次エネルギーを四則演算で行えることが魅力です。

簡易計算シート・使い方マニュアル・計算例は下記リンクから取得可能です。
住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム「簡易計算シートをダウンロードする」

地域区分については下記ページの「基本情報」から「日射地域区分検索ツール」を取得ください。
住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム「現行版のプログラム・簡易計算シート」

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簡易計算シート詳細については使い方マニュアル計算例を参照ください。

 

以下概要を示します。(計算例同様 木造、6地域として)

  1. 建物構造(木造)および地域区分(6地域)に該当する外皮性能シートおよび一次エネルギー消費性能シートをダウンロードする
  2. 外皮性能シート:建物断熱種別から使用するシート番号を確定する。計算例の解説を参考に記載値となる熱貫流率、線熱貫流率、垂直面日射熱取得率等性能値を確定させて表に記載。後は電卓で計算となります。
  3. 一次エネルギー消費性能シート:外皮性能シートで得た計算結果を転記し、計画している設備仕様を元にポイントを計算します。ポイントが100以下なら適合となります。

簡易計算で不適合となった場合でも、より精緻な計算方法によっては適合となることもあります。簡易であるかわりに計算結果を安全側としているためです。
モデル建物法が適用できない場合や、より詳細な評価を行いたい場合は、他の計算方法の活用もご検討ください。

 

建築認証事業本部 鈴木 英俊

 


 

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