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食品検査

食品の臭気・異臭の分析方法

腐敗した食品の異臭の原因成分の一つとして、イソ吉草酸が挙げられます。イソ吉草酸の臭いはチーズのような臭い、汗のような臭い等と表現されることがあり、食品中の栄養をもとに細菌がこの成分を産生するため、腐敗したような臭いを感じることがあります。また、この成分はわずかな量でも臭いを感じやすい成分であるため、異臭の原因となりやすい成分といえます。

一般的に人間を含む動物の嗅覚は不快な臭いに対して敏感に働きます。これは、臭いから危険な食べ物であるかどうかを認識するという、生命を維持するのに必要な機能として獲得したものと考えられています。
今日では食の安全に対する意識の高まりから、食品から発生する異臭がクレームにつながることも少なくありません。食品から異臭が発生する原因として、原料の劣化、外部からの移り香、細菌等による腐敗の進行等が挙げられます。

ビューローベリタスエフイーエーシーの異臭検査では、おもに食品から発生する臭いの成分を分析機器で検出し、その結果をもとに異臭の原因特定を行っています。

異臭検査の流れを図1に示します。最初に試料をバイアル瓶に測り取り、加熱を行ってから揮発性成分のサンプリングを行います。サンプリング方法の一つにSPME(固相マイクロ抽出)法というものがあります。

図1 異臭検査の流れ
異臭検査の流れ

SPME法はバイアル瓶内の揮発性成分をSPMEファイバーに吸着させるサンプリング方法で、そのファイバーをGC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)の試料注入部に差し、測定を行います。

図2 SPME法
SPME法

GC/MSはガスクロマトグラフと質量分析部から構成されています。
まず、GC/MSの試料注入部に試料が注入されると、ガスクロマトグラフで複数の成分が、一つ一つの成分に分離されます。
次に、分離された成分を質量分析部にて熱電子と衝突させて分解し、これにより生じた物質を検出しています。
上記の測定により、クロマトグラムとマススペクトルのデータが得られます。クロマトグラムは各成分が測定開始からいつ検出されたかをピークで示したものです。一方、マススペクトルは各成分が分解されたときに、どのように分解されたかを示したものです。クロマトグラムのピークには、それぞれマススペクトルの情報が含まれています。
また、成分の種類に応じてどのように分解されるかは決まっているため、測定により得られたマススペクトルがライブラリー内の化合物のマススペクトルのパターンと類似しているかどうかを照合し、具体的な成分の種類を特定します。
例えば図3の場合、クロマトグラムの9:38のピークが有するマススペクトルは酢酸のマススペクトルと類似しているため、このピークは酢酸と推定できます。これにより、試料から発生した揮発性成分を同定し、それらの成分が有する臭い、クロマトグラム上におけるピークの大きさ、官能的な臭い等の情報を総合し、異臭の発生原因を特定します。

図3 クロマトグラムおよびマススペクトル
クロマトグラムおよびマススペクトル

今回、臭気検査について取り上げましたが、ビューローベリタスエフイーエーシーではその他さまざまな食品検査を行なっております。
検査のご依頼、検査に関するお問い合わせをお待ちしております。

【参考文献】


ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社
検査部 微生物検査課  江角 健太

 


 

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