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建築図面

既存建築物のエネルギー消費性能算定方法の技術的助言についての解説:増改築の既存部分BEIの設定(完了検査時建築物省エネ法検査対象外とする場合)

2020-12-10

1. 既存建物のエネルギー消費性能について

既存建築物に増築または改築を行う場合、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の施行について(技術的助言)」(平成29年3月15日 国住建環第215号、国住指第4190号)において、従前より計算方法が示されています。その内容は下記のとおりです。

建築物全体のBEIは、次の(1)および(2)により計算できます。

(1) 既存部分のBEIは、当分の間、デフォルト値として1.2と設定可能。
(2) 建築物全体のBEIは、既存部分のBEIと増改築部分のBEIとの面積按分で算出可能。

上記の算定方法は、「国土交通大臣がエネルギー消費性能を適切に評価できると認める方法」であり、また、この方法を用いた場合、完了検査で既存部分の建物省エネ法の検査は不要となります。

適合義務対象となる増改築におけるBEI算定の考え方

出典:「建築物省エネ法に基づく規制措置・誘導措置等に係る手続きマニュアル」(一般財団法人)建築環境・省エネルギー機構
※上図で「2,000㎡以上」は、2021年4月1日以降は「300㎡以上」となります。

2. 「技術的助言:既存建築物のエネルギー消費性能について(令和2年11月2日 国住建環第23号)」の内容について

令和元年5月17日に建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律が公布され、令和3年4月1日より基準適合義務対象となる特定建築行為の対象が拡大されることとなりました。既存建築物のエネルギー消費性能算定方法は1の技術的助言にて示されていましたが、その後の建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の施行状況に鑑み、その取り扱いについて技術的助言 国住建環第23号(令和2年11月2日)が通知されました。

基準省令第1条第1項第1号に規定する「国土交通大臣がエネルギー消費性能を適切に評価できる方法と認める方法」に該当

このたび示された既存建築物の増築または改築を行う場合の計算方法は、基準省令(平成28年経済産業省・国土交通省令第1号)第1条第1項第1号に規定する「国土交通大臣がエネルギー消費性能を適切に評価できる方法と認める方法」に該当します。

算定方法:次の(1)から(3)までによる建築物全体のBEIによる

(1) 増築または改築に係る部分のBEIの算定

基準省令第1条第1項第1号イ(標準入力法)またはロ(モデル建物法)で計算。

(2) 既存部分のBEIの設定

  1. 平成28年4月1日以降に新築された建築物は当分の間BEI= 1.1と設定可能。
    (検査済証の交付日が平成28年4月1日以降であり、当該検査済証またはその写し等により確認できるものに限る。)
    ただし、以下の1)~6)に掲げる場合は、図書に記載されたBEIを計算に使用できる。

    1) 省エネ適合性判定を受けたもの(計画書の副本及び適合判定通知書を提出)
    2) 省エネの届出(特定増改築の場合を含む)を行ったもの(届出書又は通知書の副本等を提出)
    3) 性能向上計画認定(法30条)を受けたもの(認定申請書の副本及び認定通知書等を提出)
    4) 基準適合認定(法36条)を受けたもの(認定申請書の副本及び認定通知書①等を提出)
    5) 低炭素建築物の認定(法36条)を受けたもの(認定申請書の副本及び認定通知書等を提出)
    6) BELSの評価を受けたもの(評価書と申請図書等を提出)
  2. 1に掲げるもの以外の建築物は当分の間BEI= 1.2と設定(従前と同じ方法)

(3) 建築物全体のBEIの計算と注意事項

従前同様、建築物全体のBEIは、増改築部分のBEIと既存部分のBEIとの面積按分で算出します。

今回の技術的助言により、従前から上記(2)部分が変更され、(2)-1が「大臣の認める方法」として追加されています。
なお、上記の方法によらず、既存部分の熱損失防止建築材料等や空気調和設備等の仕様等を精査してエネルギー消費性能を算定することも可能です。

建築認証事業本部 省エネ判定部  鈴木 英俊

 


 

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