食品検査

アレルギー物質(特定原材料)を含む食品の検査手順(ELISA法、PCR法)

Dec. 10 2019

特定原材料のアレルギー含有検査にはELISA法、PCR法、イムノクロマト法があり、前回はその中のイムノクロマト法について説明しました。今回はELISA法、PCR法について説明します。

ELISA法

ELISA法 反射後のプレート

ELISA法は、食品のたんぱく質を使ってアレルギー物質がどれくらい含まれているかを調べる方法です。たんぱく質の中に、抗原と呼ばれる免疫反応を引き起こす物質が入っています。これを見つけることが、検査の目的となります。そのために抗原と結合する物質(抗体)がついている専用のプレートを準備して、ここで抗原抗体反応(免疫反応)をさせます。

ELISA法には数種類の方法がありますが、どの方法でも抗体か抗原のどちらかに標識をつけて、抗原と抗体が結合したときに発色するようになっています。

まずは、目的の食品サンプルを抽出し、反応させます。併せて、あらかじめ濃度の分かっている抗原を、何段階分か希釈したものを用意して反応させます。これを濃度の物差し(検量線)とします。そして、発色した液体の吸光度を測定し、検量線上に当てはめることにより、元の食品の抗原の濃度が数値化できるというものです。

写真1は、反応が完了したプレートです。左の2列が検量線で、右列の上から3番目までが調べたいサンプルです。黄色が濃いほど濃度が高くなっていますので、アレルギー物質が多いということになります。目で見るとサンプルの色は検量線の一番下の色(濃度0)に近いように思いますが、さらに詳しい数値は吸光度計で測ります。このときの結果はアレルギー物質を検出しないというものでした。

ちなみにビューローベリタスエフイーエーシーのELISA法検査キットには2種類あり、それぞれ見つけるたんぱく質が異なるものとなっています。

例えば、牛乳の項目では、一方が「カゼイン」を検出しているのに対して、他方は「牛乳たんぱく質」を検出するとしています。カゼインは牛乳たんぱく質の中の一つなので、カゼインが検出されないことと、牛乳によるアレルギー症状を引き起こさないこととは同じではありません。こうしてみると「牛乳たんぱく質」を見つける方が万能に思いますが、そうとも言い切れません。こちらは広い範囲を調べるため、似た構造を持った別のたんぱく質に反応してしまうこと(偽陽性反応)があります。そうした危険があるので、それぞれの欠点を補えるように2 種類のキットを併せて使うことがより安全だといえます。

PCR法

PCR法 電気誘導後のDNA

一方PCR法は食品のDNAを使ってアレルギー物質が含まれているかを調べる方法です。

DNAとは生物の遺伝情報を持っている物質で、4種類の塩基を配列したものです。複雑なようですが案外単純な構造をしています。そのため、たとえば落花生と小麦とを比べて、同じ配列の部分もいくらかはあると思います。しかし、落花生にだけあり他の生物にはない配列の部分も必ずあるので、ここに注目します。

またDNAは温度によって特徴的な動きをします。これらの特性を使ってDNAを人の目で見えるようにします。まず検査サンプルからDNAを抽出し、そこに調べたい項目専用のプライマーを混ぜます。プライマーとは、DNAと結合する短いRNAかDNAのことで、先ほどの例で紹介しましたとおり、落花生にしかない配列の部分の前後2ヶ所に結合するような配列をしています。この混ざった液体を、温度を変化させる機械にかけます。このとき調べたい項目のDNAを別で用意して一緒に機械にかけます。それが物差しになります。

DNAはある温度にすると熱変性をして2本鎖が1本鎖になり、別のある温度にすると1本鎖になったDNAの特定の部位にプライマーが結合し、また別のある温度にするとDNAは失われた部分(2つのプライマーに挟まれた部分)を復元します。そうすると、ここまでで調べたい項目の特徴的な配列の部分が2倍に増えたことになります。これを何十回と繰り返し、同じ部分を増やしていきます。この操作のことをPCRと呼びます。PCRの終わった液体を染色して電気泳動させます。

電気泳動は、寒天のゲルの中でDNAを移動させるというものです。寒天のゲルは細かい網目の構造をしていて、同じ時間電気を流したとき、小さなものは網目をすり抜けて遠くまで進み、大きなものは網目に引っ掛かりそれほど進めません。PCRで増えた同じ配列の部分は同じ大きさをしているので、ゲルの中の同じ場所で止まることになります。

電気泳動を終えたら、同時に作っておいた物差しと比べて、同じ位置にDNAがあれば元の食品に調べたい項目のDNAが入っていたということになります。写真2は電気泳動が終わったゲルです。白く見えるのが増殖したDNA で、写真の上から下に向かって進んでいきます。左3列が検査項目の物差しで、右の2列が調べたい食品サンプルです。右にはDNAがないことが確認できますので、アレルギー物質を検出しないという結果です。

ELISA法とPCR法の違い

ELISA法とPCR法は同じアレルギー物質を検査するものですが、検査内容は全く別のものです。ELISA法はアレルギー症状を引き起こすたんぱく質を持っていないかを調べます。しかし上で説明しましたようにELISA法は万能ではありませんので、ELISA法で陽性の反応が出た場合、確認試験としてPCR法で調べるという流れになります。

ビューローベリタスエフイーエーシーでは食物アレルギー含有検査の他にもさまざまな検査を行なっておりますので、1つの検体で複数項目(食物アレルギー含有検査と異物分析など)の検査が可能です。また検査結果報告は最短で3営業日後と迅速に対応しております。 お気軽にお問い合せください。

ビューローベリタスエフイーエーシーで検査可能な項目はこちらをご覧ください
https://bv-foodtesting.jp/service/pac/elisa-allergy.html

【参考情報】

食品検査事業部(ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社 微生物検査課) 山根 昭紀

 


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