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建物定期検査

大規模倉庫における維持保全計画について

2017年2月、埼玉県三芳町の大規模倉庫にて、鎮火に8時間を要する大火災が発生し、負傷者2名、焼損床面積約45,000m²を出す甚大な被害となりました。

長時間消火活動を要した原因のひとつに、複数の防火シャッターが適切に閉鎖しなかったことが挙げられています。 防火シャッターの閉鎖状況は、火災後の現場調査において目視によって確認した内容に基づくと、火災で焼損した2階および3階の防火シャッター(計133箇所)のうち、作動しなかったものが61箇所、コンベヤおよび物品等による閉鎖障害が発生しているものが23箇所、崩壊により不明なものが4箇所となっており、約60%の防火シャッターが正常に作動していないことが確認されました。

参考:総務省消防庁「埼玉県三芳町倉庫火災を踏まえた防火対策及び消防活動のあり方に関する検討会資料」

煙や熱を感知して作動すべき防火設備は、感知器に係る電気配線のショート、シャッター降下部への物品放置などがあれば、作動せず延焼が拡大します。

国土交通省と消防庁は、上記事故を踏まえ、防火対策及び消防活動に関する検討会を設置し、提言をとりまとめ、「防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件(昭和48年建設省告示第2563号)」を改正し、2019年4月1日に施行しました。50,000m²を超える倉庫に設置する感知器は、断路器を設置する等の規制を追加しているとともに、維持保全に関する計画を2019年末までに報告することと定めました。

維持保全計画作成対象の建築物拡大

今般、改正法において、法第8条第2項の規定に基づく、維持保全計画の作成等が求められる建築物の範囲が拡大されました。
延床面積が3,000m²を超える倉庫についても対象建物として位置付けるとともに、同条第3項の規定に基づく指針(昭和60年建設省告示第606号)を改正し、倉庫における防火シャッターの適切な作動を確保するため、維持保全に係る措置をとるよう求めることとしました。

今後は、特定行政庁と消防本部が連携を図りながら、定期的(3年~5年を目途)に、立入検査や報告徴収などを実施し、維持保全計画が適切に運用されているかを確かめていくことになります。

出典:消防庁予防課「建築物防災週間(令和元年度秋季)の実施について」

大規模倉庫に関する維持保全計画 参考様式

出典:(社)ロングライフビル推進協会「大規模倉庫における維持保全計画 参考様式」

各特定行政庁が定める点検、指導内容

① 作成または変更された維持保全計画が、一般社団法人日本産業機械工業会において作成した「大規模倉庫における防火シャッター降下部のコンベヤに関するガイドライン」を適切に踏まえた内容になっていることを点検する。

② 維持保全計画を作成していない事業者に対しては、適切な維持保全がなされなかった場合の火災リスクについて丁寧に説明し、その作成に向けた協力を要請する。

日常点検および定期点検


① 日常点検

  • シャッター降下ラインの障害物の有無の確認
  • 座板の確認
  • ガイドレールの確認
  • スラットの確認

② 定期点検

  • シャッターと連動する煙感知器、熱感知器または熱煙複合式感知器が、火災による煙もしくは加熱を感知し、適切な信号を発信すること煙感知器、熱感知器または熱煙複合式感知器と連動して床面まで降下すること
  • コンベヤー等と交差する場合、シャッターと交差するコンベヤー等に設けられる装置が正常に作動すること
起動信号による可動装置避難機構の例(シャッター閉鎖)

出典:日本産業機械工業会「大規模倉庫における防火シャッター降下部のコンベヤに関するガイドライン」

ビューローベリタスの防火設備検査のメリット

  • 維持保全計画の点検項目が実施可能
  • 建築基準法に準じた、検査基準で実施可能
  • 検査費用の標準化
  • 同一法人の全国にまたがる複数施設で点検対応が可能
  • 正確かつスピーディな対応

インサービス検査事業本部 菅谷 道廣

 

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