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建物定期検査

定期報告における「既存不適格建築物」の概説

2019-02-12

定期報告では調査結果について、特に問題がない際の「指摘なし」、問題があり是正が必要な場合の「要是正」、「既存不適格」の判定が行われます。
その中の「既存不適格」について概説を行いますので、報告書をご確認の際や日常の施設管理にお役立てください。

既存不適格とは

建築基準法は、原則として着工時の法令や基準に適合することを要求しています。 着工・完成後の法改正に適合していない建築物であっても、旧法・旧規定の基準で合法的に建てられた建築物ですので、ただちに違法状態とはなりません。
このように、現行法と照らして不適格な部分が生じている建築物を「既存不適格建築物」といいます。 似た言葉として「違反建築物」というものがありますが、これは法令違反の建築物であり、特定行政庁が使用禁止の是正措置を命じることができます。
※一定規模を超える増改築等を行う場合には既存不適格の状態を解消し、現行法令に適合した建築物にする必要がありますのでご注意ください。

既存不適格の一例

定期報告で「既存不適格」と判定される項目について、【特定建築物定期調査】、【建築設備定期検査】、【防火設備定期検査】に分けて例示します。

(1)特定建築物定期調査の事例

  • 延焼のおそれのある窓が線入りガラスとなっている(昭和58年改正)
  • エレベーター扉に遮煙性能がない(平成14年改正)
  • 特定天井の天井脱落防止措置が図られていない(平成26年改正)
  • 階段に手摺が設置されていない(平成12年改正)

(2)建築設備定期検査(昇降機を除く)の事例

  • 非常用の照明装置がない(昭和46年改正)
  • 排煙設備がない(昭和46年改正)

(3)防火設備定期検査の事例

  • たて穴区画の防火扉の閉鎖機構が温度ヒューズ式となっている(昭和49年改正)
  • 防火設備(防火シャッター等)に危害防止機構が装着されていない(平成17年改正)

※各報告書中の記載例

【特定建築物定期調査】

特定建築物定期調査

【防火設備定期検査】

防火設備定期検査

 

ビューローベリタスの提案

今回は、定期報告において「既存不適格」と判定される項目について概説を行いました。既存不適格≠違反建築物ですので、定期報告において既存不適格と記載された項目については早急な改善が求められるものではありません。
しかしながら、一定規模を超える増改築等を行う場合には既存不適格の状態を解消し、現行法令に適合した建築物にする必要がありますのでご注意ください。
定期報告書をご覧の際には、要是正項目のみならず既存不適格項目についてもご確認いただき、中長期的な施設の維持管理にお役立てください。

インサービス検査事業本部 林 健太

 

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12条点検(建築基準法第12条 定期報告)