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建築図面

積雪荷重の規制の強化について

2019-02-12

1. 背景

平成26年2月の大雪により、積雪後に降雨がある場合、大スパン・緩勾配の屋根にはこれまで想定していた以上の荷重がかかることが判明しました。このような屋根を持つ建築物について、積雪後の降雨を見込んで割増係数を乗じた積雪荷重により構造計算を行うように告示が改正され、去る平成31年1月15日に施行されました。

2. 対象屋根面

割増係数を乗じた積雪荷重により構造計算を行う必要がある屋根面は、以下の5条件のすべてに該当するものが対象です。(告示では、④及び⑤の条件を満たす屋根を特定緩勾配屋根と定義しています。)

  1. 多雪区域以外の区域にある建築物
  2. 垂直積雪量が15cm以上の区域にある建築物
  3. 屋根重量が軽い(屋根版がRC造又はSRC造でない)
  4. 緩勾配屋根(15度(約2.68/10)以下)
  5. 棟から軒までの水平投影長さが10m以上

対象屋根面

 

3. 割増係数の算出方法(平成19年国土交通省告示第594号第2第三号ホ)

対象屋根面の積雪荷重は、従前の積雪荷重に次の表1の割増係数αを乗じて算出することが告示で定められています。

表1 割増係数α表2 drの数値

 

※この表に掲げる最上端から最下端までの水平投影の長さ及び屋根勾配の数値以外の当該数値に応じたdr は、表に掲げる数値をそれぞれ直線的に補間した数値とする。

4. drの数値を求めるときの直線補間

告示に基づいて表2によりdr の数値を求める場合で、最上端から最下端までの水平投影の長さ(単位:m)及び屋根勾配(単位:度)が表の数値以外の場合は、直線補間によって求めることになっています。
直線補間したdr の数値を簡単に算出する方法が下式となります。ただし、L が50を超える場合はL を50、θ が2未満の場合はθ を2とします。

drの数値を求めるときの直線補間

 

5. 表計算ソフトによる自動計算

下記のように表計算ソフトで黄色のセルに数式を入力しておくと、水色のセルに数値を入力するだけで自動的に積雪荷重を計算することができます。

表計算ソフトによる自動計算

 

6. 既存建築物に増築を行う場合の遡及適用

既存建築物に増築して一の建築物とする場合、EXP.Jによる応力を伝えない増築方法であっても、既存部分は割増係数を乗じた積雪荷重を用いた許容応力度計算基準に適合する必要がありますので注意が必要です(既存建築物が構造計算の必要がない場合や、増築部分の床面積が基準時の延べ面積の1/20以下かつ50m2以下の場合などを除きます)。

既存建築物に増築を行う場合の遡及適用

 

7. 国土交通省資料

建築認証事業本部  丹波 利一

 


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