食品検査

微生物の規格基準について

Oct. 10 2018

日本で製造・販売される食品には食品別にさまざまな規格基準が設定されており、原料の品質が適切であることや、食品が衛生的に扱われているかなどの安全性が日々評価されています。残留農薬や放射性物質等さまざまな規格基準がありますが、今回は微生物の規格基準をご紹介します。

食品・添加物等の規格基準(1959年厚生省告示第370号)

食品衛生法の第7条第1項および第10条の規定に基づいて定められた厚生労働省の告示で、冷凍食品・食肉製品・容器包装詰加圧加熱殺菌食品等の規格基準や製造基準が記載されています。
2011年には、飲食チェーンで発生した腸管出血性大腸菌による食中毒事件をきっかけに生食用食肉の規格基準として腸内細菌科菌群が新たに導入されています。また2015年には、食肉製品の検査項目である黄色ブドウ球菌およびサルモネラ属菌の検査法が国際基準に沿ったものに改正され、判定基準がより厳しいものになりました。

乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(1951年厚生省令第52号)

乳等省令とも呼ばれ、牛乳や乳製品、それらを主原料とする食品についての規格基準や製造基準が記されています。2018年8月の改正では、「調製液状乳」(乳幼児に必要な栄養素を加えた液体状の乳製品)が新しく定義され、「発育し得る微生物 陰性」という成分規格が設定されました。発酵乳や乳酸菌飲料では、乳酸菌数が107以上といった基準も存在します。

衛生規範

食中毒の原因となりやすく衛生管理が特に重要である食品について厚生労働省が各食品に定めた規範で、弁当及びそうざいや漬物・洋生菓子などが対象となっています。加熱できないものや、pHや塩分濃度、温度等によって細菌が繁殖しやすい状態になりやすいものに設定されています。最近では2012年の浅漬けを原因とする腸管出血性大腸菌O157による食中毒事件をきっかけに、2016年に漬物の衛生規範に温度管理や殺菌方法等を記す改正がありました。 食品全般の衛生管理マニュアルとして「大量調理施設衛生管理マニュアル」が厚生労働省により作成されていますが、衛生規範では施設および設備の基準から製造基準・規格基準までがより詳しく具体的に記されており、個々の食品に関しては優れた内容を備えているといえます。施設の落下細菌数の指標も記されており、製品規格以外の基準も参考となり得るでしょう。

上記3つの通知及び衛生規範に記載されている製品規格を表にまとめたものを以下に示します。

食品における微生物の基準


(*1) 食品、添加物等の規格基準(1959年厚生省告示第370号)
(*2) 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(1951年12月27日厚生省令第52号、最終改正:2018年8月8日厚生労働省令第106号)
(*3) 弁当及びそうざいの衛生規範(1979年6月29日環食第161号、最終改正:1995年10月12日衛食第188号・衛乳第211号・衛化第119号)
(*4) 漬物の衛生規範(1981年9月24日環食第 214 号、最終改正:2016年10月6日生食発1006第1号)
(*5) 洋生菓子の衛生規範(1983年3月31日環食第54号)
(*6) 生めん類の衛生規範(1991年4月25日衛食第61号、最終改正:1995年10月12日衛食188号、衛乳第211号、衛化第119号)

これらの基準を参考にして、より基準値を下げ検査項目を追加するなどして自社規格を設定している企業も多数あります。 2018年6月13日に食品衛生法の一部が改正となり、HACCPによる衛生管理の制度化や輸出入の強化など、食のグローバル化や2020年の東京オリンピックを背景として国際標準と整合的な衛生管理が求められるようになりました。国際標準化が進むにあたって、今後も改正や新しい基準の策定などが行われる可能性は十分ありますが、弊社では最新情報を日々入手し食品ごとに適した検査を実施しています。

今回は微生物基準について紹介しましたが、放射能や残留農薬等も多くの基準が設定されています。検査をおこなった食品の検査結果が適当であるのか、なぜこの検査法なのかなど、不明な点はお気軽にご相談ください。

参考文献
厚生労働省 食品、添加物等の規格基準
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(1951年厚生省令第52号、最終改正:2018年8月8日厚生労働省令第106号)
食品等事業者団体による衛生管理計画手引書策定のためのガイダンス(第3版)(最終改正:2018年5月25 日)
厚生労働省 食品衛生法の改正について

食品検査事業部(株式会社エフイーエーシー 微生物検査課)  松本 奈津実

 


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