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食品検査

表示が義務付けられている栄養成分とその分析方法

2018-08-10

2015年4月1日に食品表示法が施行され、一般用加工食品・添加物に栄養成分表示が義務付けられました。
義務表示項目として、エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・ナトリウム(食塩相当量)が設定されています。これ以外にも推奨表示、任意表示の項目が設定されており(表1)、2020 年3 月31 日までに新たな制度に基づく栄養表示に切り替える必要があります。

(表1)栄養成分表示項目について
義務表示熱量(エネルギー)、タンパク質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量)
推奨表示飽和脂肪酸、食物繊維
任意表示n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、コレステロール、糖質、糖類、
ミネラル(ナトリウムを除く)、ビタミン類

 栄養成分表示の設定方法について

栄養成分表示の表示値は、分析値・計算値・参照値またはこれらの併用値を用いることができます。いずれの方法でも、結果として表示された含有量に合理的な根拠があれば、表示することが可能であるとされています。
しかしながら、食品の種類、産地や旬によって同じ食品でも栄養成分の値が大きく異なり、実際の値が誤差の許容範囲を越えていた場合などは不適正表示となってしまいます。
実際の測定値をもとに栄養成分表示内容を決定することにより、表示の誤差範囲に沿った適切な表示が可能になります。

栄養成分の分析方法について

栄養成分は、「食品表示基準について(2015年3月30日消食表第139号)別添 栄養成分等の分析方法等」に基づき分析します(表2)。

(表2)栄養成分8項目の分析方法
項目名主な検査方法
熱量(エネルギー)定量したたんぱく質,脂質及び算出した炭水化物の量に次の係数を乗じたものの総和
・たんぱく質 4kcal/g  ・脂質 9kcal/g  ・炭水化物 4kcal/g
炭水化物算出法
炭水化物=試料量(100g)-(タンパク質+脂質+水分+灰分)
脂質酸分解法、ソックスレー抽出法
タンパク質ケルダール法
水分常圧加熱乾燥法、減圧加熱乾燥法
灰分直接灰化法
ナトリウム原子吸光光度法
食塩相当量算出法

表2で示した分析方法は一例で、その他にも分析方法があります。分析方法が複数あるのは、食品に含まれる栄養成分の状態や種類が異なるためです。例えば水分においては、水溶液として蒸発しやすいものから、タンパク質や多糖類と結合して蒸発しにくいものもあるため、食品に適した条件の検査を行っています。
また脂質では、リン脂質などの極性物質を多く含んだものや、組織に結合・抱合されている脂質が多いものなど食品に応じた検査方法を選択しています。
このようにご依頼品に合った方法で、栄養成分の分析を行っています。

今回紹介しました栄養成分8項目以外の栄養成分も検査しておりますので、お気軽にご相談ください。

参考文献

  • 消費者庁 栄養表示基準の一部改正について(事業者向けパンフレット)
  • 消費者庁 食品表示基準について別添 栄養成分等の分析方法等

食品検査事業部(株式会社エフイーエーシー 理化学検査課)  篠田 華慧

 


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