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建築図面

ガイドライン調査の活用術

2018-04-10

ビューローベリタスでは各種セミナーを開催しております。
「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン(以下、「ガイドライン」という)」に関するセミナーもそのひとつです。
セミナーに参加された方からは、参加理由として「ガイドラインに基づく既存建築物の建築基準法適合状況調査(以下、「ガイドライン調査」という)の流れを知りたい」、「事前に準備すべき資料について知りたい」といった点が挙げられています。
また、ガイドライン調査に関するお問合せや見積依頼も増加傾向にあります。 BUSINNESS VISION 2018年4月10日号では、ガイドライン調査の概要、ガイドラインの流れ、結果の活用術について解説致します。

1.ガイドライン調査の概要 

これまで、検査済証のない建築物は違反建築物なのか既存不適格建築物なのかの判断が難しいことから、増改築や用途変更等を行う場合の確認申請手続きが大変困難な状況でした。
しかし、2014年7月2日に国土交通省より「ガイドライン」が公表され、調査方法等についての方針が示されました。これは、調査者として国土交通省へ届出を行った指定確認検査機関等(以下、「ガイドライン調査機関」という)が法適合状況調査を行う方法について内容を示したものです。
ガイドライン調査の結果、対象建築物が既存不適格建築物であって違反建築物ではないことが確認できれば、増改築や用途変更等を円滑に進めることができるようになりました。

<図1>ガイドライン調査

ガイドライン調査

 

2.ガイドラインの流れ 

<図2> ガイドライン調査フロー

ガイドライン調査フロー

 

(1) 事前に準備することが望まれる作業

「事前に準備することが望まれる作業」は以下の3つが主な作業と考えられます。

(a) 調査項目の確定
(b) 調査に必要な資料の準備
(c) 躯体調査の実施

(a) 調査項目の確定

「事前に準備することが望まれる作業」として、調査依頼者は既存建物の構造部材が、確認申請構造図書に記載された仕様通りに施工されているかを躯体調査の実施により確認する作業があります。
しかし、ガイドラインの中で躯体調査の具体的な調査内容は記載されていません。そこで、躯体調査については、事前に特定行政庁の判断を仰ぎ、具体的な調査方法や調査対象となる構造部位を確定させた後、調査を行なうことが重要です。特定行政庁ごとに調査方法や調査内容は異なることから、特定行政庁ごとに、躯体調査内容について判断を仰ぐことが重要といえます。

(b) 調査に必要な資料の準備

ガイドライン調査には、おもに以下の資料が必要です。

  • 確認申請図書(確認申請書、確認申請添付図書)
  • 確認済証(ない場合は台帳記載事項証明書)
  • 建築基準法関係規定に係る各種書類
  • 定期調査・定期検査検査報告書
  • 施工時の工事監理報告書
  • 躯体調査結果報告書(破壊・非破壊調査の結果や施工記録等に基づき対象建築物の構造に関する法適合性について依頼者代理人が見解を示したもの)

必要資料は、調査の依頼者又は依頼者代理人(建築士)が用意する必要があります。
確認申請添付図書がない場合は、竣工図、設計図等を利用し現地調査により依頼者代理人である建築士が確認申請図書相当の図書を復元することが必要です。確認申請添付図書の構造図がない場合は、構造図の復元と共に構造計算書の復元も必要です。

(c) 躯体調査の実施

確認申請添付図書の通りに施工がなされていることを確認するために、躯体調査が必要になります。 躯体調査は以下の手順による実施をお勧めします。

  • 躯体調査計画の策定(調査項目や箇所数等)
  • 特定行政庁、およびビューローベリタス構造担当との協議(躯体調査計画内容の確認)
  • 破壊・非破壊調査の実施
  • ご要望がある場合、躯体調査のうち、コンクリートコア採取・コンクリート強度試験、鉄筋探査等の破壊・非破壊調査をビューローベリタスでお受けできます。破壊・非破壊調査結果を依頼者代理人へご報告します。
  • 躯体調査結果報告書の作成

依頼者代理人は破壊・非破壊調査結果を評価し躯体調査結果を作成する必要があります。

(2) ガイドライン調査

ガイドライン調査機関は、依頼者から開示された資料に基づき机上調査と現地調査を行い、対象建築物の建築基準法等への適合状況を、適合、既存不適格、不適合、不明の別に指摘事項を報告書に記載し、また著しい劣化事象があることが判明した場合も報告書に記載し、依頼者へ報告します。
調査の結果、不適合事項等がない場合は、増改築や用途変更等の申請手続きに進めることが可能となります。
不適合事項等があった場合、違反事実の確定、違反是正の指導等は特定行政庁の権限であるため、依頼者は特定行政庁へ相談を行ない、報告書の内容を踏まえて法令に適合するように改修に努めます。特定行政庁と協議のうえ、不適合事項等の是正がなされれば、増改築や用途変更等が行える可能性があります。

3.ガイドライン調査結果の活用術

ガイドライン調査は既存建築物を有効に活用する手段として注目されています。具体的には、増改築や用途変更等の確認申請を行う際の既存不適格調書の資料としての活用や、法第12条第5項の規定に基づく報告等の基礎資料として活用することができます。調査の結果、対象建築物が既存不適格建築物であり、違反建築物でないことが確認できれば、増改築等の確認申請手続きが行えることになります。

ビューローベリタスはお客様と特定行政庁が協議するにあたり、躯体調査について役立つ情報の提供などお客様のお困りの点についてサポートいたします。

技術監査事業部 佐々木輝

 


【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン(株) 技術監査事業部
東京新橋事務所 TEL:03-6402-5977
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建築基準法適合状況調査(ガイドライン調査)