新しいGMO定性検査の仕様
2017年2月号のニュースレターでもご案内しましたとおり、2017年2月1日よりビューローベリタスの提供するGMO定性試験サービスの仕様を一部変更しました。従来の「QC検査」および「TC検査」を、「定性検査」に一本化し検定点を一律0.05%にして判定しております。報告書の様式も刷新しましたので、仕様変更と、分析結果報告書についてご案内します。
1.仕様変更について
仕様の変更は主に分析手法の違いによるもので、大きく異なる点は以下の点です。
新旧比較表
旧法 (エンドポイント) | 新法 (リアルタイム) | 変更による利点 | |
正確性 | 2点確認 | 3点確認 | 偽陽性の減少 |
判定方法 | 検査員の目視 | 機器による計測 | 人的誤差の軽減 |
旧法(エンドポイント)は検出したいDNA領域の両端のDNA配列が一致し、予想通りのサイズであれば「検出」と判定されますが、新法(リアルタイム)では両端に加えて更にもう一箇所のDNA配列が一致しないと「検出」になりませんので、より正確にターゲットを認識できるシステムです。旧法では蛍光色素の強度を検査員が目視で判定していましたが、新法では機器計測で定量化しているため、分析結果を誰が判定しても同じ結果になります。これにより、不確かさの要素の一つである“検査員間の誤差”がなくなります。
2.分析結果報告書について
GMO定性分析の報告書全体(左)と一部抜粋(右)
ビューローベリタスが発行しているGMO定性検査に関する報告書の例を上図に示しました。
報告書について「内在性遺伝子って何?」という質問を受けることが何回かありました。内在性遺伝子とは組み換え遺伝子ではない、作物が本来もっていて当たり前の遺伝子を表しています。検査の対象作物が「大豆」であれば、どの大豆にも含まれている「大豆由来」の内在性遺伝子が検出できたか否かが報告書に記載されているわけです。原料であれば内在性遺伝子がほとんど分解されずに抽出されるため、分析の結果これが「検出」されていれば、分析の過程や検体そのものに不具合はなかった、と判断する基準の一つに挙げられます。
内在性遺伝子が「検出」されて初めて、組み換え遺伝子が「陽性/陰性」と判定しています(0.05%標準と比較してこれを上回って検出されれば「陽性」、下回れば「陰性」と判定)。
また、検体が発酵や高度な加工を施され(=DNAの分解が進んで)いて、内在性遺伝子が「検出せず」と報告される場合がありますが、そのときの組み換え遺伝子は「検知不能」と報告されます。検査するにあたって対象作物の分解されていないDNAが十分量確保できなかったため、組み換え遺伝子の有無については判断できなかった、と読み替えていただければと思います。
その他、なにか気になる点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
食品検査事業部 西澤 さつき
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ビューローベリタスエフイーエーシー(株) 食品検査事業部 横浜分析センター
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遺伝子組み換え作物(GMO)検査