mag_マスク

マスクの国際基準

Apr. 12 2021

世界中でコロナウイルスの猛威が未だに収まらないなか、マスクを着けることが世界的に一般的な感染防止策の一つとして採用されています。当然のことながら、市場のマスクの需要も急速に高まっています。マスクの入手が困難になった時期もありましたが、比較的供給量が落ち着いた現在では、消費者はマスクの品質に注目しています。各メーカーは自社製品の品質を消費者に向けてアピールするため、各国が規定している検査基準に基づく検査の実施や認証マークの取得に努めています。

ここでは、比較的多く採用されているアメリカとEUの検査基準と、新しく発表されたフランス国内のマスク基準、また日本国内にある自主基準についてご説明します。

 

【アメリカ】

アメリカ国内市場向けのサージカルマスクは、米国食品医薬品局(以下、FDA)の「サージカルマスク-市販前通知510(k) FDA-2003-D-0305」の要求事項をクリアしていることが必要となります。510(k)通知には、細菌濾過率(BFE%)、微粒子濾過率(PFE%)、呼吸抵抗性(mmH2O/cm2)、血液不浸透性(mmHg)、延燃性(Class1)の検査結果を報告する必要があります。検査基準はASTM F 2100-2019で、性能の程度によって3つのレベルに区分されています(表1)。

BFE%は細菌を含む平均約3μmの粒子が濾過された率を、PFE%は平均約0.1μmの微粒子が濾過された率を示します。呼吸抵抗性は呼吸のしやすさを測るため、一定流量の空気をマスクに送り込み、マスクの内側と外側の圧力の差を測定します。血液不浸透性は手術や医療現場での使用を想定した際に、血液などの液体が飛散した場合、どの程度の圧力に耐えられるか、その浸透を測定します。延焼性は火花などが散ってマスクに火が移ったケースを想定し、炎の広がりにくさについて検査します。クラスが3段階あり、数値が小さければ小さいほど燃え広がりにくいということになります。クラス1が最も燃え広がりにくいレベルで、FDAの申請にはクラス1が求められます。

[参考]
USA: サージカルマスク-市販前通知510(k) FDA-2003-D-0305

 

【EU域内】

EUでは一時的にコロナウイルス感染防止の保護具の不足に対処するため、2020年3月13日に発表された適合性評価と市場調査に関する委員会勧告(EU)2020/403により、CEマークが免除されることがありましたが、原則的には域内市場向けサージカルマスクについては、CEマーク検査が求められています。サージカル(医療用)マスク‐CEマーキング要求事項(Regulation (EU) 2017/745)の検査基準はEN14683:2019です。こちらの基準もASTM F 2100-2019と同じように細菌濾過率(BFE%)、呼吸抵抗性(mmH2O/cm2)の検査
を実施し、タイプは
3つに分かれます(図1)。またこの基準にはISO 11737-1:2018の測定方法に拠る微生物検査も含まれます。

 

【フランスの新しい国内基準】

フランス政府は、2021年1月27日に法令第2021-76号を発表しました。これはコロナウイルスの感染流行に対処するために必要な一般的な措置を規定しています。2021年1月28日の省庁間ノートでも更新されました。

 

この基準では、マスクを4種類に分類しています。

  1. 呼吸器保護マスク(FFP)
  2. サージカルマスク
  3. 衛生業務用ではないマスク(UNS)
  4. その他のマスク

1~3のみが、衛生局が感染防止のための使用を推奨しているマスクです。

※非衛生用途のUNSマスクは、3μm粒子を濾過する率が90%以上であり、検査で2021年1月28日に修正された省庁間ノートへの適合が確認されたマスクとして定義されます。
※中央に透明な窓が設計されている聴覚障害者や難聴者向けの特殊なマスクに対しても、この基準が適用されます。
※販売の際には、この基準に適合しているマスクかどうかを消費者が判別できるようにする必要があります。

 

フランスにサージカルマスクを輸出、販売する業者は、製品が以下の条件を満たしているかどうかを確認する必要があります。

  1. EN 14683 + AC:2019(または同等のもの)に適合した医療機器として定義されているサージカルマスクであること。
  2. 医療用と同じ形状のもので、布マスクを除く輸入マスクの性能は、下記4を満たしたマスクと同等であること。
  3. 呼気弁を伴わない、FFP2またはFFP3*(濾過効率の基準であるEN 149または同等品)のマスクであること。
  4. 以下の条件に適合した非衛生的使用(UNS)用マスクであること。
     ‐ 粒子濾過効率 > 90%(3ミクロン)
     ‐ マスクを4時間着用できる通気性
     ‐ 通気性 > 96L /m²/ s(差圧100Pa)
     ‐ マスクの顔へのフィット感が良く、中心に縫い目がないこと
     ‐ 再利用可能な仕様の場合、5回以上の洗浄が可能であること  

     *濾過効率FFP2:≧94%、FFP3:≧99%

 

条件を満たしたマスク製品は、製品自体またはそのパッケージ上に新しいロゴを印字して、それ以外のマスク製品と区別することができます。

この新しいロゴは、2021年3月1日以降、新たに製造される90%以上の濾過率の一般向けのマスク製品、または付属するリーフレットやパッケージには貼付する必要があります。

※2021年3月1日以前に製造されたマスクの場合は、経過措置として、附属書Iの仕様に準拠し、附属書IIIの旧ロゴが貼付されており、濾過性能についての情報が消費者から見える場所に提供されている必要があります(2021年12月31日まで有効)。

img_bvm2104_cps_02

 

さらに、企業はマスクの使用、洗浄、およびメンテナンス方法を示す通知を、一般消費者に提供する必要があります。

[参考]
フランス 第2021-76号(フランス語)
UNSマスクの輸入業者の通知(フランス語)

 

【日本】

日本ではマスクに関する基準は、産業用の呼吸器保護具、防塵マスクに対しては厚生労働省の国家検定規格DS2規格やJIS規格がありますが、それ以外の一般的なマスクについては、特に設けられていません。市場に出回っているマスクは上で示したASTM F 2100-2019やEN14683:2019が参照されることが多い傾向にあります。その他のものとしては、マスクメーカーなどで構成されている全国衛生材料工業連合会(日衛連)の自主基準で、全国マスク工業会の会員が工業会の設定した検査を満たせば、工業会の会員マークをマスク製品に印字、使用することが認められます。この自主基準には、ホルムアルデヒド検査やアゾ染料の検査などの品質基準と、製造工場の環境管理を含む製造管理基準があります。日衛連は、近年のマスク需要の高まりに伴った品質に対する管理の重要性を認識し、一般的なマスクに対するJIS規格の導入を求め、2021年内の制定を目指して政府やメーカーと共に取り組んでいます。

[参考]
一般社団法人 日本衛生材料工業連合会 マスクの自主基準

ビューローベリタスでは、ASTM F 2100-2019およびEN14683:2019検査基準に基づく検査を承っております。お気軽にお問い合わせください。

 

消費財検査部門 消費財事業部 坂倉 晴子

 

 


【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン(株) 消費財検査部門 消費財事業部
TEL:045-640-0661
お問い合わせフォーム

【ビューローベリタスのサービス】
家庭用品(消費財)検査 繊維製品