Image
工場

海外向け「第三者検査」の定義とその内容について

1.    「第三者検査機関」の定義

最近、マスコミ等を通じてすっかりおなじみになった言葉に「第三者委員会」というものがあります。
第三者委員会は、企業・団体で問題となった事案に対して、当事者である企業・団体以外の、権威ある学識経験者や弁護士等で構成されたグループを立ち上げて、当該事案の調査・検証にあたります。
その結果は公表され、企業・団体が説明責任を果たすことを目的としています。

これとよく似た言葉に「第三者検査」というものがあります。海外の天然ガス・石油関連施設、発電施設、化学プラント等の建設時に当該プロジェクトのオーナーや出資者(石油会社や電力会社、銀行・保険会社等)の要求により、プロジェクトに使用される材料・機器・機械類が要求規格や仕様、法令に基づき正しく設計製造されているかを、独立した第三者検査機関(例:ビューローベリタス)が確認する検査を指しています。
最近では国内の建設工事等でもよく使われるようになりました。

この第三者検査機関には、従来は単純に船級協会や国際的知名度の高い検査機関が指名されることが通常でしたが、近年はこれに加え、ISO/IEC 17020:2012に適合していることを要求されるケースが増えてきています(認定された検査機関を「Type A検査機関」といいます)。
ビューローベリタスジャパン(株)も(公財)日本適合性認定協会よりType A検査機関として認定されています。

メーカー等が海外調達先での検査を実施できない場合、「第三者検査を依頼する」として工程検査や最終受け入れ検査をビューローベリタスに依頼するケースもありますが、これは正確には「第二者検査」(代行検査)と称し、第三者検査とは異なるものです。

2. 海外向け「第三者検査」の対象となるもの(サービス内容)

ビューローベリタスの場合、大きく分けて次の3項目があります。

  1. 製品検査
    材料(主として鋼材等金属材料)、機械類、部品類、圧力機器・容器、およびこれらの組み立て・据え付け。
  2. プロセス(製造工程)
    溶接や非破壊検査、熱処理、塗装、対腐食処理等に係る検査および作業者の資格認定。
  3. 工場監査
    メーカーの工場全体を対象とした監査(例:ベンダー監査)。

3. 海外向け「第三者検査」が要求される主な産業分野

  1. 石油・天然ガス開発関連
  2. 電力関連(水力・火力・風力・原子力・発送電)、水道設備
  3. 圧力容器・機械類製造産業(非汎用品。)
  4. 石油2次製品を主体とする化学工業
  5. 鉱工業
  6. 鉄道関連・車両・信号設備

4. 海外向け「第三者検査」に必要な図書類(例)

  1. 契約関係図書、対象製品の仕様書、荷渡し条件
  2. 対象製品の図面類、P&ID、配線図
  3. 検査要領書(Inspection Procedure, IP)検査計画書(Inspection & Test Plan, ITP)
  4. 検査申請書(Notification / Application)
  5. その他製作要領書類(例:WPS/PQR, NDT Procedure, Painting Procedure etc.)

5. 検査前の確認事項

第三者検査機関との検査契約前、また、Kick Off Meeting (KOM)やPre-Inspection Meeting (PIM)時に下記の事柄について確認することが必要です。

  1. Conflict of Interest (利害相反関係)の有無
    例えば同じ案件で第二者検査と第三者検査を同一検査機関が実施することはできません。
  2. 関連図書の承認状況
    上記「4. 海外向け「第三者検査」に必要な図書類」の各図書については、第三者検査を要求したプロジェクトオーナーまたはプロジェクトオーナーが指定したEPC(施工業者)やコンサルティング会社の承認を受けていること。図書の承認がないと原則として検査に着手できません。
  3. ITP記載の要求事項、検査計画(= 検査項目別確認頻度の指定=ITPのH,W,SW,M等のマークアップ)第三者検査機関の要求
  4. 必要成果物(報告書・証明書)
    Inspection Report (IR)、Flash Report (FR)、Inspection Certificate (IC)、Release Note (RN)、Non-conformity Report (NCR)、その他(Signature on Test Record, Stamping on Products)
  5. 検査に関するコミュニケーションルート
    担当窓口・責任者⇒ 毎回の検査依頼、成果物の受け取りおよび提出方法。
  6. 安全に検査できる環境の確保 

産業事業本部 小野 隆照

 

 


【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン(株) 産業事業本部
横浜 TEL:045-641-4219 FAX:045-641-7992
神戸 TEL:078-322-0232 FAX:078-322-2418
お問い合わせフォーム

【ビューローベリタスのサービス】
産業事業本部 取り扱い業務