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消費財

UKのEU離脱に伴うCEマーキングについての考察

EU指令におけるCEマーキングとは

CEマークとは、欧州連合(EU)における人・物・資本の自由流通を目的に、EUで流通する幅広い製品に要求される法的なマークです。
製品に適用される全てのEU指令の要求事項を満たすことで製品にCEマークを表示することができます。
EUでは各国の製品の安全性と品質に関する規制を平準化し、EU域内での自由な貿易、流通をスムーズに行うため、1985年に技術的調和と基準に関する“ニューアプローチ指令”を採択しました。
このニューアプローチ指令によって各製品規格の標準化が進められてきました。

  • EUは、単一市場で販売されている製品とサービスがクリアすべき安全に対する必須要件を定義した法律(EU指令)を採用します。
  • 欧州委員会は、欧州標準化機関(CEN、CENELECおよびETSI)に標準化の要求を発行します。これらの標準化機関は、必須要件への準拠のため、各国の法令と調和した規格(整合規格)や技術基準および仕様を確認します。
  • 公的機関は、整合規格に沿って製造されたすべての製品・サービスが、関連するEUの規格の必須要件に準拠しているか確認する必要があります。
  • EN規格(European Standards: 欧州規格)は、自主的規格でありそれらを適用する法的義務はありません。しかし製造者(またはサービス提供者)がこの整合規格に従わない場合は、製品(またはサービス)が必須要件に準拠していることを証明する義務が課せられます。
  • CENが発行したEN規格の25%は、欧州委員会からの標準化要求に応じて開発されました。

ニューアプローチ指令とは、EU規格の平準化の考えに沿って定められた指令類です。
機械や電圧に関する指令が多く、その他に玩具、レジャー用ボートや花火なども含まれます。

CEマークの対象製品

製品 適用法令
埋込式能動医療機器 理事会指令90/385/EEC(欧州議会・理事会規則2017/745**)
ガス燃焼機器 欧州議会・理事会規則2016/426
旅客用ロープウェイ設備 欧州議会・理事会規則2016/424
建築資材 欧州議会・理事会規則305/2011
エネルギー関連製品 欧州議会・理事会指令2009/125/EC(エコデザイン指令)*
電磁環境両立性 欧州議会・理事会指令2014/30/EU
防爆機器 欧州議会・理事会指令2014/34/EU
民生用爆薬 欧州議会・理事会指令2014/28/EU
熱水ボイラー 理事会指令92/42/EEC
体外診断用医療機器 欧州議会・理事会指令98/79/EC(欧州議会・理事会規則2017/746**)
昇降機 欧州議会・理事会指令2014/33/EU
低電圧電気機器 欧州議会・理事会指令2014/35/EU
機械 欧州議会・理事会指令2006/42/EC
測量機器 欧州議会・理事会指令2014/32/EU
医療機器 理事会指令93/42/EEC(欧州議会・理事会規則2017/745**)
屋外用機器の騒音
(建設、ガーデニング用機器)
欧州議会・理事会指令2000/14/EC*
非自動重量測定器 欧州議会・理事会指令2014/31/EU
身体保護用具 欧州議会・理事会規則2016/425
圧力設備 欧州議会・理事会指令2014/68/EU
花火 欧州議会・理事会指令2013/29/EU
ラジオ・通信端末設備 欧州議会・理事会指令2014/53/EU
レジャー用船舶 欧州議会・理事会指令2013/53/EU
電気・電子機器における
特定有害物質の使用制限
欧州議会・理事会指令2011/65/EU(RoHS 改正指令)*
玩具の安全 欧州議会・理事会指令2009/48/EC
簡易圧力容器 欧州議会・理事会指令2014/29/EU

 *ニューアプローチ指令以外の指令によりCEマークを表示する義務がある製品
**今後指令に変更が見込まれる製品

EU離脱後のUKにおけるCEマーキング

2016年6月にイギリスでの国民投票によって、UKがEUから離脱することが確定し、2020年1月31日に正式に離脱しました。UKはEU加盟国ではなくなりましたが、急激な変化に対する影響を避けるため、少なくとも2020年の年末までは移行期間としています。その期間中に離脱に伴う変更点などを協議していくこととなります。各指令の内容や、CEマーキングについてもこの協議事項のひとつです。

前述の指令のうち、ビューローベリタスの消費財検査部門が主に検査を担当する“玩具”の要求事項について、最新のガイダンスに基づいて今後の展開についての可能性を考察します。

CEマークとUKCAマーク

EU離脱後でも現在ニューアプローチ指令の対象であり、CEマークの貼付が必要とされている製品については、EU諸国に流通させる際に、製品にCEマークを貼付する必要があります。それはUKで製造されたものであっても例外ではありません。

UK市場に出回る製品については、適用可能なUKの規制への準拠を示すため、決められた移行期間内であればCEマークは引き続き使用することも可能です。ただし、移行期間の詳しい期限はまだ決定していません。

また、UK国内のみを考えた場合、UKCAマークを使用して国内の規制に対する準拠を示すことができます。CEマークと同様に、UKCAマークもニューアプローチ指令のCEマーキング(これらの指令はすでにUK法令に移行されているため)として使用可能です。
ただ、EU域内ではUKCAマークは認められません。。

もしニューアプローチ製品が、UKとEU双方の市場に存在している場合、移行期間後には最終的にUKCAマークとCEマークの両方が必要となります。

上記は、自己宣言されたニューアプローチ製品(第三者検査機関の検査含む)にも、認定機関が関わっている製品にも同じように適用されます。離脱後には、移行期間内であればUKはEU認定機関を認めますが、EUはUKの認定機関を認めないでしょう。

EN規格などのEU域内で適用される検査基準はUK内で引き続き使用されるでしょう。通常、CEマークのない製品は特定の指令、規制もしくは一般製品安全規格(UK向け)に対する準拠が求められます。
また自主的な規格などは、現在の慣行に従って引き続き使用されます。
UK製品を取り扱うEUの代理店は、今後はEU輸入業者となるため、玩具製品のラベルに自社の会社名と住所を明記する責任が生じます。また輸入業者としての手続きなどが必要となります。。

これまで一体となっていたUKとEU諸国が分かれ、共通となっていた検査規格の扱いがどう変化していくのか、引き続き注視することが肝要です。制度の移行期間は2020年末までとなっていますが、期間中にもEU各国の法令の変更などの動きについて、引き続き弊社ウェブサイト上で情報を発信してまいります。

【参考資料】

消費財検査部門 坂倉 晴子

 


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