ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)は、1940年代から1950年代に開発されるとすぐにその特性をいかし、ノンスティック加工や錆防止加工といった商品に使用されるようになりました。PFOAとPFOSは、消火用発砲剤やアウトドア用繊維製品の加工などにも広く使用されています。
しかし1970年代後半になると、PFOAとPFOSは人への健康被害が認識され始め、ほ乳動物に多量に使用した場合、生殖毒性や発がん性などの問題を引き起こすことが知られるようになりました。
PFOAとPFOSは、パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)と呼ばれる化学物質群に属します。PFOAとPFOSは、8炭素の「バージョン」であり、その寿命が長いため、消費者向け製品や商用製品で広く使用されています。これらの8つの炭素バージョンは、長鎖PFACと呼ばれることもあり、EPA規制化合物として頻繁にリストアップされています。
しかし、PFAS化合物の他の多くの「バージョン」(推定数千)が現在も使用されており、PFOAおよびPFOSの一般的な代替品として機能しています。
PFASは非常に安定しており、自然環境では容易に分解しないため土壌や水に留まります。また、動物の体内に生物蓄積する可能性(「持続性」)があると認識されており、米国の成人人口の95%以上に検出可能なレベルのPFASが存在します。
影響を受ける典型的な製品
上着、繊維、調理器具、食品包装、家具、敷物、カーペット、電気製品(コード)、屋外繊維および関連製品、包装、接着剤、マイクロチップ、化粧品など。ほとんどの場合、仕上げコーティングスプレー剤として適用されます。
典型的な効能
錆耐性/溌錆性/防さび性、油耐性/溌油性/防油性、耐水性/撥水性/防水性、熱耐性、非粘着性コーティング、および関連する効能。
米国連邦規制の概要
2020年7月、米国環境保護庁(EPA)が行ったルール改正により、重要新使用規則(Significant New Use Rule, SNUR)が復活しました。この規則は引き続き有効です。
- 表面コーティングとして特定の長鎖PFASを含む物品は、EPAの審査なしでの米国輸入を禁止。
- 物品の輸入者(加工者を除く)にはSNUR遵守が求められる。
- EPAは、SNURがこれらの化学物質を含む仕上げ剤の大部分を網羅することを意図。
したがって、EPAは、コーティングが物品の内面または外面に塗布されているか、硬化または化学処理されているかにかかわらず、物品の任意の表面にコーティングを含むLCPFAC(40 CFR 21.10536表1および表2)すべてがSNURによってカバーされると考えられる。
州レベルの規制概要
EPAは長鎖PFACに焦点を合わせており、個々の州はPFAS(または同族の物質すべて)に注目しています。州法(制定および提案の両方)は、意図的に添加されたPFAS化学物質にも注目しています。
制定された州法の概要一覧(2022年3月4日現在)は、下記URLよりご参照ください。
PFOA, PFOS, PFAS UPDATE(英語)
審議中の州法
多くの州で、製品タイプについて新たな法案が提出されています。以下は、現時点までに提出された法案の一例です。
製品タイプ | 州 | 内容 |
---|---|---|
調理器具 | マサチューセッツ州 | 1ppmを超えるレベルの総フッ素を禁止 |
カーペットおよび敷物 | マサチューセッツ州 | 1ppmの総フッ素(PFAS物質)の制限 |
衣服 | ニューヨーク州 | 一般的な衣服でのPFAS物質の使用の禁止 |
付属品 | ミネソタ州 | 履物、ハンドバッグ、バックパック、スカーフ、アクセサリー、衣類などPFASを含んだ製品の人体への着用を禁止 |
すべての繊維製品 | カリフォルニア州 | 規制されたPFASを含む繊維製品を禁止し、規制されたPFASを交換する場合は、製造業者に最も毒性の低い代替品を使用するよう要求 |
パーソナルケアおよび女性用衛生製品 | ニューヨーク州 | 意図的なPFAS添加を禁止 |