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カバー画像(米)

米の品質表示と米DNAを用いた3つの判別検査(米品種識別DNA検査)

2024-08-06

日本では、土や水、気候に合わせて、各地でさまざまな種類の米が生産されています。病害虫や冷害に強いもの、収穫量が多く食味の良いものなど多種多様な品種が開発され、現在農林水産省に登録されている品種は、519品種あります。
本記事では、米の品質表示とDNA検査による品種判別についてご紹介します。

米の農産物検査と玄米及び精米品質表示基準による品質表示

生産された米は規格取引およびJAS法に基づく米の表示の根拠として、農産物検査法に基づき、農産物検査員が玄米形状を目視(粒形、色沢等)で確認し、農産物検査(銘柄検査)を行なっています。農産物検査を受けた米は、農産物検査証明を根拠に産地、品種および産年の表示が可能です(農産物検査を受けていない米は“未検査米”として扱われます)。玄米及び精米品質表示基準では、玄米や精米の品質に関して販売業者が表示すべき事項を定めており、その具体的な表示例をご紹介します。

 

表示例:単一原料米

表示例:単一原料米の参考画像

表示例:複数原料米(原料玄米が国内産のみの場合)

表示例:複数原料米の参考画像

 

  1. 名称
    精米またはうるち精米、胚芽精米、もち精米、玄米の区分を記載。
  2. 原料玄米
    単一原料米(国内産)の場合は、農産物検査法による証明を受けた産地、品種および産年を記載。複数原料米の場合は、割合の多い順に産地毎の使用割合も記載。未検査米(産地、品種、産年の全てについて証明を受けていない米)が含まれている場合は、その割合を記載することができる。検査・品質確認を行った者などの一定の事実情報の表示も可能。
  3. 内容量
    内容重量をグラムまたはキログラム単位で記載。
  4. 精米時期
    調製年月日、精米年月日または輸入年月日を記載。日付の異なる米をブレンドした場合は、最も古い年月日を記載。年月旬(上旬、中旬、下旬)の記載でもよい。
  5. 販売者
    販売者の氏名または名称、住所、電話番号等を記載。

 

DNA検査による品種表示の検証

農産物検査員による品種確認は、短期間かつ低コストで鑑定を可能とする最も実用的な手法ですが、目視で検査を行なう限り品種を高い精度で証明することは極めて困難です。ビューローベリタスの「米品種識別DNA検査」サービスは、定性検査の場合、お客様からお送りいただいた検体から50g(約2,300粒)を量り取り、ミルで粉砕後、粉砕したサンプルの一部からDNAを抽出します。抽出したDNA溶液を、PCR(Polymerase Chain Reaction)で特定の遺伝子領域を増幅します。増幅を行なう遺伝子領域は品種によって反応パターンが異なりますので、PCR産物を電気泳動することにより、品種の判別を行ないます。
米DNAを用いた判別検査は、非常に精度が高く有効な方法であり、納品後の米品種の確認、流通・販売されている米の品種モニタリング調査など、多くのお客様にご利用いただいています。

 

「米品種識別DNA検査」の内容は、主に以下の3種類です。

①定性検査検体中から50gの米をサンプリングして粉砕し、検定基準5%において、表示対象品種の有無および異品種混入の有無を判定

【報告例】対象品種:コシヒカリ
・対象品種:検出
・対象品種以外:検出せず
※検体中へのコシヒカリ以外の品種の混入率は5%未満である
②定量検査検体中からお客様指定の粒数(25粒もしくは50粒)を無作為にサンプリングし、一粒毎に対象品種かどうかを判定し、対象品種の粒数と対象品種以外の粒数を報告

【報告例】対象品種:コシヒカリ(50粒検査の場合)
・対象品種:38粒
・対象品種以外:12粒
③品種特定検査定量検査で対象品種以外と判定された米粒について、識別可能な米品種※を対象に粒毎に品種を特定
※識別可能品種276品種:うるち米(228品種)、もち米(34品種)、酒米(14品種)に対応

【報告例】定量検査において対象品種以外と判定された12粒について粒ごとに品種を特定
・ひとめぼれ:5粒
・あきたこまち:2粒
・つや姫:5粒

留意すべき点として、DNA検査による米の品種判別結果は、あくまで分析した検体についてのみ保証するものであり、母集団である当該ロット全体を保証するものではありません。また、DNA検査で表示内容を検証できるのは品種についてのみであり、産地、産年、品質、食味等の検証には、農産物検査等による鑑定や、生産・流通記録の情報、他の科学的分析による裏付け等、さまざまな情報をもとに総合的に判断することが必要です。

気象状況の変化により、今まで主力であった品種の生産不足や品質不良が指摘されています。国や各地方自治体の農業技術センター、試験場等をはじめとした機関では、温暖化等に強く、おいしい品種の研究開発が続けられ、今後も新品種が続々と発表されることが予想されます。

ビューローベリタスエフイーエーシーでも判別できる品種を増やす取り組みを継続しています。
検査についてのご質問や新たな品種についてのご要望等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

参考:
消費者庁「食品表示基準 別添 玄米及び精米に関する事項
消費者庁「玄米及び精米に係る食品表示制度の改正について
農林水産省「玄米及び精米の年月旬表示の導入について
農林水産省「農産物検査を行う産地品種銘柄の取扱い

ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社 江田 有史

 

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米品種識別DNA検査