2021年8月20日に、第十三期全国人民代表大会常務委員会第30回会議の審議を経て、中華人民共和国個人情報保護法(中国名:中华人民共和国个人信息保护法、以下「個人情報保護法」)が正式に可決成立し、公布されました。そして、同年11月1日に施行されました。
この新しい法律の施行により、ビューローベリタス(以下BV)が中国で提供しているCSR関連サービス(中国のサプライヤーに対する社会的責任監査など)が変更となります。

 

個人情報の取り扱いの変更について

閲覧・持ち出しの禁止事項

  • CSRサービスの提供者(監査会社:BV)は、被監査先従業員本人の書面による同意なく個人情報を閲覧、収集すること
  • 個人情報のハードコピーを当該被監査先従業員の書面による同意なしに工場の外に持ち出すこと

 

個人情報の国外への持ち出し要件

個人情報を中国国外に提供するためには、当該被監査先従業員および法定後見人(従業員が14歳未満の場合)の書面による同意と、以下の条件を満たすことが必要です。

(a)BVがNational Cyberspace Administration(以下、中国サイバースペース管理局)によって認定された個人情報保護認証機関から認証を取得していること
(b)BVが政府によって提供された書式によって国外の情報受領者と契約を締結していること
(c)多数の個人情報を処理する場合、中国サイバースペース管理局によるセキュリティ評価を受けていること
(d)今後、法律、行政規則、または中国サイバースペース管理局によって規定されうるその他の条件

※個人は、自身の同意を撤回する権利を保有しています。
※法律が遵守されていない場合、多額の罰金が科せられる可能性があります。

 

BVは、この中国個人情報保護法に基づき、個人情報(生年月日、給与データの詳細、労働契約書、労働時間の記録、病歴、苦情など)の収集・処理・保存・転送を行い、独自の監査プロトコルに従って監査を実施します。
2021年11月1日以降に発行されたすべての社会的責任監査レポートおよび2021年11月1日以降に実施された社会的責任監査より、以下の手順を追加して運用しております。

  • 監査前、コーディネーターは、コンプライアンス評価をするための監査中に個人情報の閲覧、収集、保存、および国外への転送の必要があることを監査対象の工場に伝え、事前に被監査先従業員の同意を得ることを依頼します。
  • 監査員は、工場およびサンプリング対象となった被監査先従業員に対して、関係する法律について明確に説明をします。
  • 監査員は、個々の被監査先従業員の書面による同意がある場合にのみ、情報を収集します。以下(a)または(b)の場合、監査の依頼者である顧客に連絡をし、工場に対する協力要請を依頼します。
    (a)サンプリングしたほとんどの被監査先従業員から書面による同意が得られていない
    (b)キーとなるサンプル(被監査先従業員)の書面による同意が得られていない
  • 同意が得られなかった場合には、個人情報を含まずにレポートを発行し、個人情報を中国国外へ転送することはしません(個人情報を含むエビデンスの提供はしません)。
  • 監査員は、被監査先従業員の書面による同意なしに個人情報をコピーすることはありません。
  • 監査員は、写真撮影の際に被監査先従業員の顔が映らないようにします。
  • 被監査先従業員が、後から自身の同意を撤回する場合を想定し、漏れなくBVの連絡先情報を提供します。
  • BVは、監査結果の提供により、個人情報を中国国外に転送することがあることを想定し、上記の対応をします。さらに、その情報受領者も、被監査先従業員が後から自身の同意を撤回する時のために、連絡先情報を提供する必要があります。

参考リンク
個人情報保護法が成立、11月1日から施行(JETROビジネス短信)
個人情報の越境に関する規則制定(JETROビジネス短信)

 

消費財検査部門 山内 史子


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