事例紹介

Case Study:株式会社マルハチ村松(FSSC22000)

Oct. 10 2019

日本の味を守り、つなげるために
4つの工場で次々とFSSC22000を取得

株式会社マルハチ村松
株式会社マルハチ村松
(静岡県焼津市)

要請取得から自主取得へ

焼津市に生産本部を置くマルハチ村松は、明治初年に、初代村松善八氏が鰹節製造を創業したことに始まる、だしの専門メーカーである。

マツハチ村松で使われる原材料のいろいろ。まさに自然の恵み。

鰹節づくりからだし(調味料)づくりに業務が展開したのは2代目の時。以降、代替わりをするたびに、その当代が商品や業態にいろいろな工夫や変化を加えてきた。5代目社長が経営の舵を取る現在は、鰹節に限らず幅広い原材料を使い、和食用だけでなく中華や洋風(エスニック)など、さまざまなジャンルのだしを作り、市場に提供している。飲食業界では、黒子でありながら、知る人ぞ知る重要な存在となっている。

「FSSCは、初めて生産部がつくりあげた仕組み。これからは実利を生む仕組みへと育てていきたい」と語る川村将仁氏。

そんな同社がFSSC22000(食品安全マネジメントシステム)を最初に取得したのは2013年のことだ。取得したサイトは、同社の重要な製造拠点である「焼津エキスパート工場」だった。 このFSSC取得のきっかけは、外資系の大手食品メーカーから取得の要請があったことだった。しかし結果的には、その大手食品メーカーとの取引は不成立となり、いったんはFSSCを取得する理由がなくなったという経緯がある。

「FSSCとCSRがしっかり連結されている、社会にとっていい会社、社員にとって楽しい会社にしたい」と語る岩崎健兒氏。

「それなら中止にしようかという論議もあったのですが、いったん決めたことを白紙に戻すのは残念だし、FSSC認証取得のリクエストは、きっとまた近い将来に別の取引先から来るだろうから、いっそここで取得してしまったほうがいいのではないかという意見が強く、そうすることにしたのです」と、川村将仁静岡工場長は言う。

「さらにこの頃、世間では異物混入などの食品事故が立て続けに起こっていました。決してひとごとではないし、万が一、事故が起こった場合に原因を突き止めてきちんと正しい対処ができるかと言われたら、当時は自信がありませんでした。これは怖い、何とかしないと、という食品メーカーとしての危機感にも背中を押されました」(川村将仁静岡工場長)。

アンケートで長所・短所を共有する

こうして2013年、当時、リニューアルしたてで設備や施設が新しかった焼津エキスパート工場で、最初のFSSC認証取得への最初の取り組みが始まった。

「FSSCは若い世代へ引き継ぐために最適なマネジメントシステム。これを使ってさらに生産部のレベルを上げたい」と語る松島祥訓氏。

ちなみに、それ以前に同社ではISO9001認証を取得しておらず、このFSSC認証が最初の認証取得だった。さらに工場には職人肌のベテラン社員が多く、長年勘と腕で仕事をしてきた彼らの文書作成に対する負担感は大きく、「要求事項に対して、ハードは大丈夫だが、文書が大変という事態が起こりました」と松島祥訓焼津エキスパート工場長は当時を振り返る。

「FSSCは継続的に改善し、世の中の要求に応え続けることが大事」と語る馬渕久将氏。

それを解消するために行ったのがアンケートだった。FSSC認証を取得することによって生まれるメリットとデメリットについて現場にアンケートを取り、その結果を全員で共有するようにしたのだ。 すると、今まで、「面倒なだけで、何の得があるのか?」と批判的だった人にも、「こういうところは面倒だが、こういう大きなメリットもある」というFSSC認証のもたらす効果が見えてくる。 「これによって工場スタッフのFSSC観が変化したことが、その後の取り組みをスムーズにしてくれた」と馬渕久将加工団地工場課長は言う。 コンサルタントの指導も受けて、2013年2月、同社は創業145年の歴史の中で初めての認証取得を果たした。

本丸は最後に攻める

その3年後の2016年、次に取得の白羽の矢が立ったのは、鹿児島県・枕崎市にあるグループ会社の「マルハチ・テクノロジー」だった。
この工場が2番手に選ばれた理由は、大きく2つ。まず1つ目は本拠地の静岡県・焼津市から遠く離れていて、管理のよりどころとなるマネジメントシステムの必要性が高いと思われたこと。2つ目は、社員が全体的に若く、社員教育の必要性が高かったこと。加えて若手社員が多いためFSSC認証を受け入れやすい環境だったことである。
こうした狙い通り、枕崎のFSSC取得は比較的スムーズに進み、そこからは翌年、翌々年と2年で2工場が次々と取得を果たした。
興味深いのは、最後に取得したのが静岡工場だったことだ。静岡工場には生産本部も置かれており、同社の中枢的な工場である。本来なら、まずはこのお膝元からスタートするのではないかと思うのだが、同社ではあえて本丸を最後に残した。
その理由を聞くと「本部には部門が多く存在し、意見も多様だし、経費も他の工場より多くかかります。ですからまずは他の工場で取得して、その成果をもって本丸を攻めたのです」と川村静岡工場長は言う。

人材教育やCSRにも有用

主要4工場がFSSC取得した同社では、どんな変化が出たのだろうか?
いちばん効果が出たのは「現場と現実に即したしくみや文書ができるようになったことだ」と4工場長は声を揃える。

2013年2月、最初にFSSCを取得した焼津エキスパート工場。 2016年、2番手で取得した鹿児島県・枕崎にあるグループ会社・マルハチ・テクノロジー。 2017年、3番目に取得した加工団地工場。 2018年10月、本丸である静岡工場が取得。予定された4工場の取得が完了した。

対外的に見せるためにつくった上面の良いだけのものではなく、実際にどのように動くべきか、対処すべきかが示された“よりどころ”ともいえるルールや管理方法が誕生したことで、どう動けばいいかがはっきりして動きやすくなり、人や上司によって判断が違うといった現象がなくなったという。
また、FSSC認証の取得はこうした業務の効率化はもちろん、将来戦略にも大きく影響している。
たとえば国内で少子高齢化が進むなかで新たな市場を求めての海外進出。輸出には国際認証であるFSSC認証をグローバルなビューローベリタス(UKAS)で取得していることがかなりの強みになる。
また人材教育の面でもFSSC認証への期待は膨らんでいる。日本人の正社員の確保が厳しくなる中で増えているパートや派遣社員、そして今後増加が見込まれる海外人材を教育するのに、FSSCが共通言語やテキストになると見込まれるからだ。

人材教育やCSRにも有用

さらにFSSCは環境保護や食の福祉を切り口にしたSDGs対応にも有効だ。原材料の購入や、フードロスの軽減、子ども食堂やフードバンクへの食材提供などにおいても、FSSC認証に基づく基準やルールを物差しにして取り組めば、間違いや過不足のない、適切な業務や活動ができる。「つまりCSRの観点からの有用性も高いのです」と、岩崎CSR推進室次長はFSSC認証を別の側面からも評価している。 「日本のだしを世界のDASHIに」。同社の夢をFSSC認証が、いろいろな側面から支えている。

(2019年8月1日取材)

 


【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン(株) システム認証事業本部 営業部
TEL:045-651-4785 FAX:045-641-4330
E-mail
お問い合わせフォーム

【ビューローベリタスのサービス】
FSSC22000