事例紹介

Case Study: 株式会社アドバンテスト(ISO9001統一認証)

Aug. 9 2019

ISO9001グローバル統一認証取得の実現

「統一認証セミナー」(2019年3月13日/東京)でのご講演より

株式会社アドバンテスト
株式会社アドバンテスト
(東京都千代田区)

アドバンテストの橋口と申します。本日は弊社のISO9001(以下、QMS)のグローバル統一認証取得の実現についてお話しします。

株式会社アドバンテスト 事業推進本部 品質保証統括部 ISO推進課 橋口 隆一様

1. アドバンテストの品質マネジメントシステム

アドバンテストは創業65年目の計測器メーカーで、主力製品の半導体試験装置は世界市場シェア50%以上を獲得しています(2018年:当社調べ)。従業員の約半数は外国籍で、国籍の数は50カ国以上にのぼります。
1998年4月に初めてISO14001(以下、EMS)を取得し、今回は8カ国にまたがるQMS統一認証を取得しました。

現在、品質マネジメントシステムは図1のようにPDCAを回しています。
顧客からのクレームや仕様の要求などを営業担当とSE(システムエンジニア)が受け、設計開発部隊へフィードバックします。メーカーである弊社は、製品の品質に直接影響を及ぼす設計・開発・製造がキーとなるため、「7.支援」と「8.運用」を重点的に実施しております。「4.組織の状況」から「10.改善」まではISOの項目と合致しています。これが弊社のQMSの全体像です。

品質マネジメントシステム

 

2. なぜグローバル統一認証が必要か?

弊社のお客様は、欧米・アジアが中心です。
昔は日本の企業が各地域で半導体を製造していましたが、最近は海外のメーカーが多くなり、売上の95%以上が海外向けです(2018年度)。
本社は東京にあり、開発拠点であるR&Dセンターが群馬と埼玉、メインの工場が群馬工場、その他の工場はマレーシア・韓国にあります。顧客に合わせ、開発と製造拠点のグローバル展開を進めてきました。これに伴い製品の品質確保のためQMS統一が必要となり、今回の認証取得へ向けた活動に至りました。

2015年の活動開始時は、各国で認証の取得状況も認証機関もバラバラでした。
例えばマレーシアで作ったものを日本で組み立てるような製品があります。この場合、複数の国から異なる認証機関の認証書を個別に取り寄せる必要がありました。
また、認証未取得の国で開発した製品は品質保証ができないという状況もあり、アメリカ・シンガポール・マレーシアの3社についてはこのタイミングでQMSを取得することになりました。
2015年版への移行期限が2018年9月14日だったため、指摘事項の是正期間も考慮し、2018年6月までに未取得の3社は新規取得、2008年度版で取得済みのサイトは2015年版へ移行を完了する、という目標で進めました。

3. グローバル統一認証取得までの道のり

(1) 認証取得準備

プロジェクト立ち上げ前に、ドイツ・韓国・台湾・中国へ現地調査に行き(図2)、共通項目を全部調べて一覧表を作成しました。2015年4月20日、経営会議で現状と統一認証取得の旨を説明し、承認を受けました。

プロジェクト立ち上げ前に、ドイツ・韓国・台湾・中国の4カ国へ現地調査


その後、今まで使っていたA社とビューローベリタスでコンペを行いました。
グローバルレベルでの認証実績、プロジェクトマネジメントチームにより個別対応ができる、審査が早いといった理由で認証機関をビューローベリタスに決定しました。

新規の取引だったため、機密保持、フレーム契約(認証機関を統一する際に必要な契約)、8カ国21サイトを含めて事細かに契約しました。品質および環境に関わるサービスについての包括合意書を締結し、他認証機関で取得していたEMSも併せてビューローベリタスに認証機関を移転する決定をしました。

次に、4年にわたるマスタースケジュールを策定しました。
準備を開始した2015年のうちにビューローベリタスへの移転審査をアドバンテストジャパンで受け、取得しました。
2016年は海外各サイトで移転審査を順次受け、2018年の統一認証審査受審に向けて歩を進めました。
この時点で、QMS未取得のアメリカ・シンガポール・マレーシアはEMSの移転のみを実施しました。

(2) 2015年版への対応

群馬R&Dセンターで、ビューローベリタスによるQMSの2015年版の解説セミナーを開催しました。またその他に、 2015年版や統一認証セミナーに参加し、イメージを固めていきました。並行して社内のISO関係者100人以上を対象に、外部講師を招聘して2015年版についての教育を実施し、理解を深めたうえで審査に臨みました。

(3) グローバル統一認証取得

前述のとおり、QMS未取得であったアメリカ・シンガポール・マレーシアの3社については統合前に新規取得の必要がありました。
アメリカへは日本から出張してプロジェクトの主旨を説明し、理解を求めた後ISO専任マネージャを雇用して品質文書の整備を進めました。
シンガポールは、製造部門ではなくビジネスセンターであったため、QMSの適用が遅れていましたが、現地のマネージャの働きにより、スムーズに進行しました。
マレーシアには工場があり、機械部品を多く製造しています。現地のISO担当者だけでは時間がかかりそうでしたので、日本から現地へ出向いて一緒に品質文書作成を行いました。
さらに必要に応じて現地ビューローベリタスによる予備審査を経て、QMS認証を取得しました。

計8カ国21サイトで目標期日よりも早い2018年4月25日に統一認証書の取得


こうして計8カ国21サイトで目標期日よりも早い2018年4月25日に統一認証書の取得を果たしました(図3)。
ところが、アメリカの3部門が2018年2月の統一認証審査に間に合わず、この時点では完全な統一認証ではありませんでした。2019年に拡張審査を受け、残り3部門も含めた完全な統一認証となりました。

4. グローバル統一認証取得後の課題と対応事例

QMSグローバル認証ウェブサイト

グローバル統一認証取得後は、事務局の業務が日本国内のみならず各国の内部監査・マネジメントレビュー・外部審査の管理へと拡大し、各国の統制が課題となりました。
そこで、各種レポートフォームの共通化と情報収集の効率化を図るため、QMSグローバル認証ウェブサイトを立ち上げました(図4)。

トップページには共有情報(最新情報)、同ウェブサイトのユーザーズガイド、品質方針、グローバルマネジメントレビューのアウトプット(次のインプットとして)、品質目標、日本から発信する内部監査方針/指針を英訳して掲載しました。
その他の機能としてはスケジュール、レポートの送信、統一認証書のダウンロード、和文・英文の品質文書ダウンロード、リクエストの受付などがあります。このサイトの運用が軌道に乗れば、少ないリソースで効率よくグローバルに管理することが期待できます。

例えば内部監査の場合、
① ウェブサイトにある共有情報をもとに計画立案し、実施スケジュールを登録
② 内部監査を実施して不適合の是正措置、実施報告書を指定フォームで作成
③ 実施報告書を和文/英文のフォーマットでウェブサイトから提出
という運用により、各サイトからの報告書の提出状況がウェブサイトから一目で分かるので、工数短縮になります。
外部審査の場合は、認証機関が最終審査報告書を作成しますが、審査当日に受領した「審査報告書ドラフト」を関連部門へ展開し、アクションを早める試みを行っています。

5. QMSグローバル事務局の役割

管理対象範囲がグローバルになってサイトが増え、グローバル統一認証取得前に比べてグローバル事務局の役割は増大しました。

  • 各サイトの内部監査・マネジメントレビューの内容・問題点をトップマネジメントに報告
  • 認証機関との諸契約:機密保持契約、フレーム契約(毎年見直し)、審査合意書(年末の予算決定時期に合わせ、Scopeと併せて見直し)
  • 審査対象人数の確認・連絡:QMSの場合は審査対象人数即ちコストとなるため、認証範囲外の部門の人数を除いてカウントし、認証機関に連絡
  • 認証機関との定例会開催:ビューローベリタスの規定では3ヶ月に1回のところを1ヶ月に1回実施
  • EMSも含めた国内・海外関係会社と認証機関のインターフェースとしての役割
  • QMSグローバル認証ウェブサイトの運営:ウェブサイトの更新・保守のほか、統一認証の認証書ダウンロードの履歴も全て管理

このような工数のかかる業務を、ウェブサイトを活用しながら事務局の3名で進めてきました。

6. グローバル統一認証取得後の成果と課題

グローバル統一認証を実現したことで、次のような成果を得られました。

  • 8カ国21サイトで1枚の認証書に共通化でき、言語もフォーマットも異なる各地の認証書を集める必要がなくなった
  • 各サイトのトップマネジメントを含めたガバナンスの強化が実感できた
  • 国内外各サイトのQMS活動状況が見える化できた
  • 認証未取得3社の拡張審査を含めても最終的に約30%のコスト削減ができた

また一方で、今後M&Aによる事業拡大の際に傘下に入る企業の認証取得の推進や、グローバル認証ウェブサイトの効率的な運用が今後の課題です。

以上が株式会社アドバンテストのQMSグローバル統一認証についての発表です。ご清聴いただきありがとうございました。

 


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