中国:環境保護法、初の大改正‐環境汚染に対する違反厳罰化へ
 

2012年よりビューローベリタスとパートナーシップを結ぶEnhesa(エンヘサ)社が執筆する、「海外における法規制」に関する記事を連載しています。

中国では、長年に渡る経済発展の結果、PM2.5問題に代表される大気汚染や河川、土壌の汚染など深刻な環境汚染が大きな問題となっています。このような状況の下、中国の立法機関である中国全国人民代表大会常務委員会は、2014年4月24日、法令違反への厳罰化等を盛り込んだ環境保護法(境保)の大幅な改正を可決しました。本改正は2015年1月1日付けで施行されます。

1989年に制定された環境保護法は中国国内の環境保護や管理の枠組みを定める基本法です。本法は、汚染やその他の公害を防止・抑制し、人の健康を守り、社会近代化の促進を図りながら、人および生態環境の保護及び改善することを目的としています。本法に基づき、大気汚染防止法(大气染防治法)や水汚染防止法(染防治法)、環境影響評価法(境影响价法)等、媒体ごとの個別の法律が定められています。

1.
施行後25年で初めての改正

去る4月24日、環境保護法の改正が中国全国人民代表大会により公表されました。本法の25年前の制定以来初の改正であり、現在中国国内において実施されている様々な既存の環境保護施策や規制が本法の領域として適切に網羅されるべく、整備が施されました。例えば、土壌汚染対策が初めて環境保護法の枠組みに組み入れられました。従来、汚染サイトの調査、モニタリング、評価及び浄化については、技術指針や技術基準において具体化されていましたが、これらの遵守義務の根拠となる法令がありませんでした。また、クリーン生産促進法(清?生?促?法)におけるクリーン生産の概念、関連環境法令における汚染物質排出総量規制、環境事故緊急対応や情報開示に関する規定など、他の法令によって定められているにも関わらず、基本法である環境保護法ではこれまで言及されていなかった規定が本改正により、環境保護法に明記されました。

また、改正法は、経済発展と環境保護の調和を図ることを基本理念としており、これに基づき、中国における環境汚染問題への取り組みが実行されることになります。

2.違反企業は厳罰の対象に
本改正において、もっとも注目すべき点は、事業者による環境汚染や関連違反に対する法の執行や罰則の強化が導入されたことです。
環境保護法の規定に違反した企業には、これまでも単発の罰金(1度きりの課金)が科されていましたが、本改正により、違反企業は、汚染が発生した日から是正措置が取られるまで毎日罰金が加算されます(
按日连续处罚)。罰金の額は汚染者の所得だけでなく、汚染処理施設の運営費用や汚染による直接的な経済損失など様々な要因を勘案して算定され、その額に上限はありません。つまり、本改正により、2015年の1月1日以降、企業の環境法令違反に関する費用が大幅に増大する可能性があるのです。

併せて、法の執行当局の権限も拡大され、公安当局は、企業が法で定める環境影響評価の未実施や汚染物質の無許可排出等の法令違反を行ったり、所轄当局が定めた期限内に是正措置を取らなかったりした場合、企業の幹部や担当者など、企業内の個人を最長15日まで拘束できるようになりました。また、自治体レベルの環境保護当局には、違反により公害を発生させた企業の資産凍結や差し押さえを行う権限が付与されました。

 また、中国では工場の設置等の際に環境影響評価が求められていますが、本改正により、環境影響評価が完了し所轄当局が承認するまで建設工事を開始できないこととなりました。国や自治体レベルの基準値を超える汚染物質を排出した事業者は、操業の一時停止や無期限停止処分の対象となります。

3.
ビジネスへの影響

このように、今回の改正には、環境保護法の基本的な役割の整備・拡大だけでなく、法執行・罰則規定の強化など、中国において工場等を運営する日本企業にとってもの影響度の高い内容が含まれています。特に、環境法令違反や環境汚染を発生させた場合、当該企業は、日々加算される無制限の罰金だけでなく、企業内個人の身柄拘束の対象になりえるのです。また、資産の凍結や操業停止など、事業継続性を揺るがしかねない改正も導入されています。2015年1月1日の施行に向け、環境法令の適用有無の確認、具体的な規制への遵法徹底などの対策をとることが推奨されます。

Enhesaでは、引き続き本改正に伴う法的な動きや企業への影響について調査を行います。また、工場に適用される環境安全衛生法令を特定するためのツールや当該規制への遵法状況をチェックするツールなど、企業の遵法活動にお役立ていただける様々なサービスを提供しています。本改正の詳細や具体的な事業活動への影響のご相談、お問い合わせは、下記までお寄せ下さい。

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