Business Vision

株式会社コスメナチュラルズ/コスメパーク横浜ベイ
http://www.cosme-park.com/cn/

OEMメーカーとして歩んだ半世紀を次代に繋ぐ
業界と客先の一歩先を行くために、ISO22716を取得

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■ 自社ブランドからOEMメーカー、そして客先の一歩前を歩く企画提案型ODMメーカーへ-

コスメパーク横浜ベイと名づけられた横浜工場

株式会社コスメナチュラルズは、1935年に兵庫県西宮市で創業したピカソ美化学研究所のグループ会社(製造会社)である。
ピカソ美化学研究所は創業から30年後の1965年には、自社ブランドでの製造販売から他社ブランド化粧品の製造を請け負うOEMメーカーに変身し、以後50年間そのスタイルを貫いている。
創業時からの社是は「創意工夫」で、「常に何か新しいものを開発する、何か違うことに挑戦するという社風は、今に至っても変わらず受け継がれています」と生産本部の笹川昌俊本部長は言う。
OEMメーカーというと、一般的には、発注元からのレシピや指示通りに製品を作り納品することが仕事だとされているが、同社の場合はその逆の考え方をしている。

笹川昌俊生産本部本部長

つまり、自社製品を持たず他社からの受注でビジネスを展開するだけに、マーケティングでも商品開発でも、クライアント企業より先を行き、「売れる化粧品です」と、常に新しくかつ的確な提案ができなければ同社の存在意味がなくなっていくという考えだ。
そのために、研究開発はもちろん生産体制も早目早目に進めていく。そのためには多くの情報量やコネクションやルートが必要になるが、そこは創業80余年の歴史がものを言う。歳月の積み重ねによる情報とノウハウの蓄積が圧倒的に多いのだ。そのことを、「おかげさまでうちには引き出しがたくさんありますから、一歩先を行く提案も変化への対応もしやすく助かっています」と前出の笹川本部長は言う。


■ 化粧品GMP からISO22716へ-

「一歩先」を大事にする同社ではISO認証によるマネジメントに対する意識も取り組みも早かった。2000年頃にはすでにISO9001の取得を視野に入れており、ちょうどその頃、新設が決まった横浜工場での取得が検討された。その結果、2年後の2003年1月に横浜工場の開設と同じタイミングで初のISO9001の取得を果たし、以来15年間はISO9001を国内外の他工場にも展開するかたちで品質管理を行っていた。
そこに、新たに、化粧品製造に特化した品質管理規格ISO22716の取得を加えたいという考えが出たのは3年前のこと。そして今年、ISO22716の取得を果たし、ISO9001とのダブルマネジメントシステムで品質管理する体制ができあがった。

村井至誠横浜工場長

この同社の決断について注目すべき点は大きく2点ある。1つは業界内では化粧品GMPを持っていれば十分だとされているにも関わらず、グローバルな第三者認証であるISO22716 を取得したこと。もう1つは、ISO9001をやめてISO22716に乗り換えるという選択肢もあったのにそれをせずに認証をダブルで運用する道を選んだことだ。 前者の決断については、「やはりちゃんと第三者認証を取得した工場で製造しているということを明確にアピールしたかった。そして『あそこは取り組みの姿勢が違う』という評価を確立したかったからだ」と笹川本部長は言う。

梅川真理品質管理課長

一方、ISO9001とISO22716の両方を維持すると決めた理由は、少しほほえましいものだ。その頃、某大手メーカーがISO9001とISO22716の統合を果たしたことが業界内で大きな話題を呼んでいたのだが、それを見て同社では、「OEM・ODMメーカーではまだ果たされていない認証の統合は、うちが最初にやろう!」と関係者の意気が大いに上がったのがその経緯だという。
その後、神戸ベイ工場、タイの2工場でもISO22716の取得を果たしたが、各工場の手順書を合わせることには多少苦労したものの、日ごろの業務を少しバージョンアップしただけだったので、それほどストレスではなかったという。
こうした同社のISO戦略は当たり、国内メーカーはもとより海外のメーカーからも高く評価され、いろいろな国から引き合いがひっきりなしに来ているという。

中村健一品質管理課係長

特にISO22716の取得が必須条件となっている中国では多くのビジネスを獲得、十分に取得の成果を出せているという。
もちろん取引先が増えればユーザー監査も増えるが、それに対してもISO9001とISO22716のダブルISOによるマネジメント体制は効果的で、「共通言語で話ができ、さらにいろいろな質問に対してもさっと答えが出せるので信頼を得ています」と村井至誠横浜工場長は言う。
同社に脈々と流れる「客先と時代の一歩先を行け」という社風は、商品開発と品質保証の両面から同社の発展と利益を支えているようだ。


■ これからを創る3つの「一歩先」-

ところで、同社が今考えている「一歩先」とは何だろう。 それは大きく3つある。1つは医薬品扱いとなる化粧品の製造ができるような体制を整えること。たとえばSPF仕様の日焼け止めやファンデーションがそれに当たる。現在は米国FDAのOTC(大衆薬:Over the Counter)の製造ができるまでの準備を進めており、ISO22716の上を行くCGMPまでの仕組みを作り終えていて、現在はその実績をアメリカとカナダにおいて作っている最中だ。

福田めぐみISO事務局担当

2つ目はイスラムの人が使用する化粧品を製造するためにハラル認証を取得した工場を拡充することで、これは2020年の東京オリンピックに向けて生まれるビジネスチャンスを逃がさないためでもある。ちなみに最初のハラル認証工場は、タイの第一工場の中にもうすぐ完成する。
そして3つ目はアジア諸国への進出をさらに図ること。今後新しいマーケットを開拓するためには、大きなポテンシャルのあるASEAN諸国への拡大進出は欠かせない。
こうした未来戦略も踏まえて、同社では品質保証への取り組みに余念がない。東西でGMP委員会を月に一度開き、先月起こった不適合を共有して改善に取り組んでいる。また新しい仕組みを作った時には教育や訓練をこまめにすること、その記録を細かく取ってマニュアル化することをルール化している。
「これらの取り組みはすべて、弊社のOEM・ODMメーカーとしての評価とビジネスをゆるぎなくするためのものです」と笹川本部長は言う。
もちろん、OEM・ODMメーカーならではの苦しみもある。たとえば「人間はミスを犯す」という考えが根強い欧米のクライアントによる厳しい監査。品質に加えてコンプライアンスについても突き付けられるハイレベルな要求。自国の特別な認証制度によって認証取得しなければ許されないケースなどがそれだ。
しかし、同社はそうした苦労があったとしても、「これからもお客様の一歩先を行きながら、50年前に歩み出したOEMメーカーのスタンスを守り続ける」と断言する。 そしてISO22716はその覚悟の一端を支えている。

※OEM:他社ブランド製品を(委託者の企画・設計のもと)生産すること
ODM:他社ブランド製品を設計・開発(または企画・設計・開発)から生産まで行うこと

(2018年10月11日取材)

-ビューローベリタスのサービス:ISO22716 化粧品GMP(優良製造規範)

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