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カリフォルニア州プロポジション65の概要と対策

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北米で製品を販売、流通させる際には、合衆国連邦法以外に各州が独自に施行する州法に適合する必要があります。なかでもカリフォルニア州はプロポジション65と呼ばれる法律で独特の厳しい基準が定められており、多くの企業が対応に苦慮しています。ここでは、その概要と実践的対策をご紹介します。


■ プロポジション65とは?-

カリフォルニア州プロポジション65(略称:CA Prop 65)は、正式名称を「1986年安全飲料水および有害物質施行法」(安全衛生規則第6.6章25249.5項から25249.13項まで)といい、1986年11月の環境投票活動として有権者によって制定されました。この法律は、カリフォルニア州の市民および飲料水資源を、がん、先天異常または他の生殖害を引き起こすことが知られている化学物質から保護することを目的としています。


■ プロポジション65の適用を受けるのは?-

カリフォルニア州で事業を行っている人/企業において、特定の化学物質を含む製品を有する場合にプロポジション65の要件が課されます。指定された化学物質を含有する製品がカリフォルニア州内で販売または配布される場合、すべてリスクばく露および/または表示に対する要求事項を満たさなければなりません。


■ プロポジション65の要件とは?-

プロポジション65は、州知事が、カリフォルニア州が決定した発がん物質および/または生殖毒性物質であることが知られている化学物質のリストを公表するよう要求しています。このリストは毎年更新され、この法律の要件に従う化学物質を指定します。2010年2月時点で、850以上の化学物質がリスト化されています。
プロポジション65は、あらゆるレベルの有害物質を含む製品の販売を禁止するものではありませんが、リストに記載されている化学物質がリスクと認定されたレベルで存在する場合は製品に適切なラベルを付けることが要求されます。
プロポジション65は、リストされた化学物質が以下の4つにばく露する場合について規定しています。

  • 飲料水の排出
  • 環境
  • 職業/職場
  • 消費者製品(消費財)

プロポジション65は、10人以上の従業員を雇用している企業に対し、この法律の対象となる州によって記載されている、かつ検出可能な量の化学物質に人を曝す前に「明確かつ合理的な警告」を出すよう求めています。警告は、消費者に潜在的なリスクを与える可能性のある消費者製品(消費財)にも必要です。警告の目的は、消費者が購入した製品やサービスについて情報に基づいた意思決定を下し、有害化学物質へのばく露から身を守るために適切な行動を可能にすることです。


■ 60日間の違反通知(60-day Notice of Violation)とは?-

プロポジション65における60日間の違反通知は、プロポジション65の警告要件に違反していると民間の関係者から製造業者に申し立てる法的文書です。カリフォルニア州検事総長室は、60日間の予告期間中に申し立てを審査し、手続きを引き継ぐことができます。
この60日間が終了する期間に、検事総長の事務所が行動を起こさなければ、民間の関係者は製造業者に対して訴訟を起こすことが許されます。60日間の違反通知は、違反事項、違反している製品、および製造業者が申し立てられた違反の本質を評価するために化学的有害性に関する十分な情報を提供しなければなりません。


■ 製造業者が60日間の違反通知を受け取った場合、どうすればよいか?-

通知を受け取った場合、製造業者は法務関係者に連絡する必要があります。プロポジション65を専門とする弁護士から助言を求めることが推奨されます。必要とあれば、プロポジション65を専門とする多数の弁護士事務所が存在します。60日間の違反通知を受け取った製造業者は、プログラム要件を更新したり、歩み寄りを選択する前に、公式の示談決定を待つべきです。限界値と表示要件は、示談決定が確定する前に変更されがちですが、検査基準をコミットするときまで待つことが重要となります。


■ どのような化学物質がリストに掲載されているか?-

プロポジション65は、発がん物質と生殖毒性物質(先天異常またはその他の生殖障害を引き起こす物質)の2種類の化学物質が対象で、リストには広範な化学物質が含まれています。それらの多くは、セラミック製品、アルコール飲料、アスピリンなどの一般的な家庭用品の原材料または成分です。その他には、ベンゼン、カドミウム、パークロロエチレン、ホルムアルデヒドなどのドライクリーニング、製造、または建設に使用される工業用化学品、染料、または溶剤があります。さらに、自動車排ガス、航空機排気、タバコ煙および燃焼天然ガスなど、特定の燃焼プロセスの副産物であることもあります。発がん物質と生殖毒性物質である鉛は、最も頻繁に訴訟を起こした化学物質のひとつです。


■ 化学物質はどのようにリストアップされるのか?-

化学物質は、次のいずれかの組織によって発がん物質または生殖毒性物質に分類されている場合にリストアップの対象となります。

  • 米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency)
  • 米国食品医薬品局(FDA, U.S. Food and Drug Administration)
  • 国立労働安全衛生研究所(National Institute of Occupational Safety and Health)
  • 国家毒性プログラム(the National Toxicology Program)
  • 国際がん研究機関(the International Agency for Research on Cancer)

化学物質は、州または連邦政府機関によって発がん物質または生殖毒性物質として表示または識別される必要がある場合にもリストへの追加対象となります。さらに、その化学物質が明らかにがんまたは生殖害の原因であるという科学的証拠に基づいて、リストに列挙されるべきかどうかを判断できる科学者および保健医療専門家の2つの独立委員会を州知事が任命します


■ プロポジション65化学品リストの850種類以上の化学物質すべてに対して検査する必要がありますか?-

カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)の定める安全閾値であるセーフ・ハーバー・リミット(safe harbor limits)は、プロポジション65リストに記載されている各化学物質に関連していますが、特定の製品に含まれる化学物質の量に関する規制上の制限は含まれていません。したがって、リストにある850種類以上の化学物質すべてを検査することはお勧めしません。ビューロー・ベリタスがまずお勧めするのは、当社が認識している示談例で、限界値および/または表示要件が確立されており、特定の製品に関係するものを検査することです。


■ プロポジション65で要求される警告表示とは?-

法律で定義されている有害化学物質に人がばく露する可能性があることを事業者が知っているか、知っているべきである場合は、プロポジション65の下で警告が必要です。プロポジション65には広範な記述がありますが、すべての有害物質にプロポジション65に従った予告および警告義務が生じるわけではありません。プロポジション65の警告要求事項が、リストに掲載された化学物質の潜在的ばく露に適用されない状況とは以下のとおりです。

  1. 連邦法が州の権限を控除するかたちで警告を管理する化学ばく露。
  2. 化学物質が最初に知事リストに掲載されてから12カ月以内に行われるばく露。
  3. 癌を引き起こすことが知られている物質について「問題となるレベルで生涯ばく露すると推定しても重大なリスクを有さない」ばく露または「生殖毒性を引き起こすことが知られている物質について、問題のレベルの1000分の1でばく露すると仮定したときに、目に見える影響がない」ばく露。
  4. ばく露が、食物中の天然に存在する化学物質に対するものである場合。

しかし、プロポジション65関連の訴訟では被告側がこれらの例外のひとつにあたることを証明しなければなりません。これは証明するのが非常に難しく、高額な費用のかかる弁護になる可能性があります。


■ 警告文の例と配置の要件は?-

発がん物質の場合:

「警告:この製品を使用すると、カリフォルニア州でがんを引き起こすことが知られている化学物質にばく露します」
"WARNING: Using this product will expose you to a chemical known to the State of California to cause cancer."

生殖毒性物質の場合:

「警告:この製品を使用すると、先天異常やその他の生殖障害を引き起こすことが知られている化学物質にばく露します」
"WARNING: Using this product will expose you to a chemical known to the State of California to cause birth defects or other reproductive harm."

これらの警告は、示談条件に応じて以下のいずれかの方法で表示する必要があります。

  • 製品ラベリング
  • 小売店の警告
  • 警告情報システム

■ プロポジション65を施行するのは誰ですか?-

  • カリフォルニア州検事総長室
  • 地方都市弁護士
  • 弁護士、環境保護者、一般市民を含むその他

注:カリフォルニア環境保護庁の有害物質管理局(OEHHA)は、知事によってプロポジション65の実施の主導機関として指定されていますが、施行権限はありません。


■ プロポジション65に基づく科料と罰金は?-

  • プロポジション65は、1日あたりのばく露当たり2,500ドルの罰金を科すことができます。
  • 示談1件あたりの平均コストは約65,000ドルです。
  • 科料と罰金は州と原告の間で折半されますが、原告は弁護士費用と損害費用を裁判所に申し立てることができます。
  • 大規模なグループの製造業者および小売業者を含む示談訴訟では、合計で100万ドルを超える規模になることが知られています。例としては、釣り道具、蛇口、おむつクリームの示談などがあり、すべて合計で100万ドルを超えています。

■ プロポジション65に関する詳しい情報はどこで入手できますか?-

プロポジション65に関する追加情報については、環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)の「Proposition 65 in Plain Language」と題する文書をご参照ください。
Proposition 65 in Plain Language(英語)

プロポジション65化学物質の全リストについては、以下のウェブサイトをご参照ください。
Chemicals Considered or Listed Under Proposition 65(英語)


ビューローベリタスの検査サポート

ビューローベリタスは、カリフォルニア州プロポジション65の最新の示談例にもとづく基準情報を保持し随時更新しています。米国カリフォルニア州で製品を販売・流通される企業様に、個々の製品の示談例に沿った基準の有無の確認や、検査を提供いたします。

最新のカリフォルニアプロポジション65の示談例は、以下のリンクをご参照ください。
New California Proposition 65 Settlements(英語)

過去にカリフォルニア州プロポジション65の示談例のない製品について、カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)に受け入れられる有害なリスクのないレベルを特定するためのセーフ・ハーバー・アセスメント(Safe Harbor Assessment)もおこなっています。セーフ・ハーバー・アセスメントについては、以下の弊社ウェブサイトをご参照ください。
California Proposition 65 - Safe Harbor Assessments(英語)


消費財検査部門 金盛 葉子


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