Business Vision

統一認証を活用した品質ガバナンス体制の強化

ネスレ日本株式会社
生産本部品質保証部
木村 満 様
「統一認証セミナー」(2018年3月6日/大阪)でのご講演より

株式会社荏原製作所
ネスレ日本株式会社 (兵庫県神戸市)
https://www.nestle.co.jp/


PDF版はこちら PDF


皆さんこんにちは。ネスレ日本株式会社の木村と申します。 昨年、ネスレ日本はISO9001の統一認証を取得しました。その経緯をお話させていただきます。 皆さんのお役に立てればと思います。

■ ネスレ日本の認証取得の状況 -

ネスレ日本株式会社 生産本部品質保証部 木村 満 様

ネスレ日本ではこれまで工場やオフィスでISO14001、OHSAS18001、FSSC22000を取得しており、2017年に本社・支社・工場でISO9001を取得しました。ISO9001については本社、東京コマーシャルオフィス、3工場、6支社の全てのサイトにおいて統一で認証取得しました。
ネスレグループではネスレ日本をはじめ、多くのマーケットでビューローベリタスより認証を受けています。

■ ISO9001認証取得の経緯 -

ネスレ創業以来、品質はお客さんから信頼いただくための重要な要素と考え、ネスレクオリティマネジメントシステム(NQMS)という独自の品質システムをもって運用していたため、ISO9001は取得しておりませんでした。
図1は2014年版のNQMSに基づく品質方針を示したものです。「お客様重視」、「パフォーマンス重視」、「プロセス重視」、といった点において、ISO9001:2015と弊社のNQMSとは同等であると判断しました。それならば世界的認知度が高く、監査のレベルアップが期待できるISO9001のほうがガバナンス向上につながると考えたことから、ISO9001への移行がスイスで決定され、ネスレ日本においてもISO9001を取得することになりました。

図1

ネスレの品質方針

■ ISO9001取得までの道のり 〜社内への啓蒙〜 -

今まで直接製品に接しない部署では自分たちが品質に関わっているとは考えられていませんでした。ISO9001では適用外というものが認められませんから、そういった部署にも協力してもらわなければなりません。そこで私たちは、「品質」という言葉を「お客様の満足を満たす、もしくは向上させるために製品やサービスに備え付けられるべきもの」と再定義し、社内に展開をしました。 お客様の満足のためには製品の質だけでは不十分です。お客様が欲しいと思った時に欲しい物を欲しい量提供するのも重要です。また適正価格という観点ではコストダウンもまた品質です。サービスはお客様の満足に直結します。社内で品質につながらない業務はないという考え方をISO9001の説明会などを通し、社内に啓蒙していきました。その結果、内部監査で「あなたの部署は品質にどうやって関わっていますか?」という質問に対し、例えば製品に接しない工務部では「工場の機械を安定して運転させることによる、安定した製品の供給がお客様満足度に繋がります」というように、皆がそれぞれの仕事を品質に結びつけて話ができるようになりました。
こうしたマインドセットに加え、ISO9001のために新たな仕事や書類を作るのは極力避けようという方針にし、各部署が認証取得に取り組みやすいようにしました。


■ ISO9001取得までの道のり 〜NCEファウンデーション〜-

ネスレには昔から改善の文化というものがあり、昔からいろいろな手法を取り入れて改善活動を行ってきました。現在取り組んでいるNCEという活動は、業務改善を継続的に行っていくシステムです。
NCEとはネスレコンティニュアスエクセレンスの略です。その基礎となるのがファウンデーションと呼ばれるもので、コンプライアンス、リーダーシップデベロップメント、ゴールアライメントの3つで成り立っております。

(1) コンプライアンス
お客様の満足を得るためにはコンプライアンス遵守による信頼が大前提です。法律的なコンプライアンスを守るのはもちろん、ISO認証取得もコンプライアンスにつながります。また、スイスから来るインストラクションを指示書として手順通りに実践することもコンプライアンスと捉えております。
(2) リーダーシップ
ネスレではすべての人がリーダーでなければいけないとされています。個々や組織として必要な能力を明確にし、足りないものについては計画的にトレーニングしていきます。ISOでいう力量の部分です。
(3) ゴールアライメント
ゴールアライメントでは会社の目標が各部署、最終的には個人の目標まで落とし込まれ、それらが全て整合性が取れていることが求められます。個人の目標がその部署の、最終的には会社のどの目標に直結しているのかが明確になり、モチベーションにつながります。目標はOMP(オペレーショナルマスタープラン)として管理されます。目標達成のためのアクションの進捗確認を日々行い、定期的なレビューミーティングで進捗を確認、評価し、進捗が悪ければさらにアクションを起こします。レビュー結果はシフトから課、部、部門、経営陣へと上がって行き、最終的に会社の目標がどうなっているかを把握することができます。
問題があったときには、GSTDやDMAIC等の問題解決ツールで修正だけでなく是正まで行います。
問題解決したら標準化し、ミスや再発のない状態に持っていきます。
ゴールアライメントは図2のようなサイクルで行っています。

図2

Goal Alignmentの活動は、ビジネスの必要性に基づき全てのレベルへの展開を図ります

ゴールアライメントのサイクルはISOで言うところのPDCAに非常によく似ております。PlanがOMP、Doがインストラクションや標準化された作業、Checkがレビューミーティング、ActがGSTDやDMAICにあたります。
そこで私たちは、ISO9001取得にあたって何も特別なことをする必要はなく、現在行っているNCE活動で要求事項を説明できることを各部署に話しました。審査においてもNCEに基づいた説明をさせていただきました。


■ 統一認証のメリット/デメリット -

統一認証には良い面悪い面どちらもありますので、どちらが良いとはいえないと考えておりますが、メリットとして次の点に期待し、最終的には早く認証が取れると考え、舵を切りました。

(1) 会社全体としての取り組みという位置づけ
会社全体の取組みという位置づけは適度な強制力を持ち、全社的な協力を得やすいと考えました。
(2) 方向性の一本化
統一認証にしてしまえばマニュアルも一つですみ、ガバナンスが効きやすいと考えました。
(3) シンプルな審査
全社で審査基準がはっきりしたレベルの高い審査を受けることができるのではないかと期待していました。
(4) 事務作業省力化
本社事務局の事務作業の労力は大きくても全体的には省力化できるのではないかと思っていました。

今回認証取得したうち6つの支社では同じ業務をしております。そのうちの3社でサンプリングが認められたこともあり、全体的な監査にかかる負担というのは少なくて済んだのではないかと思います。
実際やってみたところ、やはり事務局は大変でした。全体としては省力化できたと思っていますが、事務局任せになる傾向がありました。各サイトで要求事項の意味合いを考え、それに対してどういった取り組みをしようか自分たちで考えるというマインドセットが若干弱くなると感じました。

■ 今後の課題 -

弊社の場合、もともと持っていた認証を合わせたのではなく、ゼロベースからまとめて認証取得しましたので、内部監査員そのものの数も少なく、レベルアップも必要と感じました。これは今後の課題です。
今回ISO9001を取得したことにより、ISO14001、OHSAS18001、FSSC22000と合わせてサイト毎の負担を考えながら最適な状態で維持していく方法を見つけ出すのも今後の課題と考えております。
また、サイトごとのNCEもしくはISO9001の習熟度のギャップを埋めていく必要があります。いずれにしても、この度ISO9001を取得することができましたが、取得がゴールではなく、これによりお客様の満足を向上させるという目的に向かって品質ガバナンスの強化を図ってまいります。
以上でございます。ありがとうございました。

※各図は講演資料より抜粋



-ビューローベリタスのサービス:
グローバル認証プログラム

www.bureauveritas.jp

© Bureau Veritas Japan