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ISO45001:FDIS規格発行

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1. ISO45001:FDIS発行までの経緯 -

ISO 45001は、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格です。これまで長きにわたり国際規格化が提案され、議論されてきましたが、見送られてきました。2013年6月、労働安全衛生マネジメントシステム規格を開発するISO/PC283の設置が決定し、幹事国及び議長国に英国が割り当てられ規格開発がスタートしました。
2007年に改訂されたコンソーシアム規格OHSAS18001や2001年にILO(国際労働事務局)が発行した労働安全衛生ガイドラインILO-OGH2001を基に、初の労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格として開発が最終段階まできています。

当該分野では、OHSAS18001の他、厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムの指針」や中央労働災害防止協会、建設業労働災害防止協会などの業界が定めるガイドラインをはじめ、多くの標準が既に存在しております。
ISO45001はそれら従来の法令や規制と矛盾しない合意形成が進んでおり、2018年3月頃に発行される予定です。
OHSAS18001との大きな違いとしては、ISO45001では、ISOマネジメントシステム規格の共通テキスト(Annex SL)が採用されたことにより、ISO9001や14001など他のISOマネジメントシステムと規格の構成や用語の定義などを共通化している点が挙げられます。


2. 要求事項のポイント -

(1) 共通テキストANNEX SL文書の採用

ISO9001や14001に2015年版として採用された共通テキストが適用されています。HLS(High Level Structure)と呼ばれ、マネジメントシステム規格のプラットフォームを提供するものです。これにより、ISOとの親和性が高まったといえるでしょう。

(2) 「働く人」

DISまでは「Worker」の訳を「労働者」としていましたが、今回のFDISで「働く人」となりました。これはWorkerの用語の定義を尊重したもので、この「働く人」にはいわゆる時間管理される非管理職の人々はもちろんのこと、管理職及びトップマネジメントまで含まれるという概念を正確に伝えるためと考えられます。

(3) リスクの考え方

リスクの概念はその用語の定義(不確かさの影響)からは容易に理解し難いところですが、今回のFDISではOHSリスク(機会)とその他のリスク(機会)を明確に分類しました。OHSリスク(機会)は働く人が負傷、疾病するリスクを示すものですが、その他のリスク(機会)は箇条4.1/4.2で特定された組織の課題や利害関係者のニーズ及び期待から生じる経営上のリスクやシステム上のリスクと考えられます。例えば海外事業所の開設により発生する法規制や外国人労働者の能力、慣行なども考えられるでしょう。

(4) 参加及び協議について

規格では「参加及び協議」のプロセスを求めています。ここでいう参加(Participation)は意思決定に参加すること、協議(Consultation)は意思決定をする前に意見を聴くことであり、前者は危険源の特定やリスク評価、運用の計画やコミュニケーションといった現場の安全管理に密接に関連した項目が規定され、後者にはマネジメントシステム上の課題である方針の決定、目標の設定、監視方法や監査手順などが規定されています。


表1 働く人の参加及び協議

協議 参加
非管理職の協議及び参加のための仕組みを決定
利害関係者のニーズ及び期待を決定 危険源の特定、リスク及び機会の評価
労働安全衛生方針を確立 危険源を除去、労働安全衛生リスクを低減するための処置
組織上の役割、責任及び権限を割り当て 力量の要求事項、教育訓練のニーズを特定、教育訓練の評価
法的要求事項を満足する方法を決定 伝達が必要な情報及びコミュニケーションの方法を決定
労働安全衛生目標を確立、達成を計画 管理方法、それらの効果的な実施及び使用を決定
外部委託、調達及び請負者に適用される管理を決定 インシデント及び不適合を調査、是正処置を決定
モニタリング、測定及び評価を要する対象を決定 -
監査プログラムを計画、確立、実施、維持 -
継続的改善プロセスを確立 -

(5) 危険源とリスク対応策

危険源の特定については概ねOHSAS18001を踏襲してます。操業の状態(通常、非通常、緊急事態)を考慮することや、社会的要因や人の行動性向への配慮、そして訪問者(Visitor)への配慮も規定されています。また、リスクアセスメントの具体的手法については限定していませんので、組織の事業特性や規模などを考慮して決定することができます。


図1 危険源の特定

定常/非定常活動 緊急事態

(6) 外部委託について

外部委託したプロセスは管理される必要があります。しかしながらそのプロセスは委託先との契約の形態によって管理できる範囲、指示命令系統、権限が異なることが通常と思われます。例えば請負の形態であれば働く人への直接の指示はできないケースがほとんどと考えられますし、場内で外注作業をお願いしている人に対しては権限が及ぶ場合もあるでしょう。「調達」という用語が使用されていますが、この調達先との関係においてその契約内容に応じて適切な管理手法を決定していくことになるでしょう。


3. 認証制度の行方 -

(1) ISOの発行

前述のとおりISO45001の発行は2018年3月と予想されています。その後、JIS規格への翻訳作業が開始され、速やかにJIS Q45001が発行される見込みです。ISO45001をベースとした審査については海外の認定機関(UKASなど)が先行して認定を開始するものと想定されるため、早ければ2018年の秋には国内でも審査可能となる見込みです。

(2) JISの発行

ISO45001のJIS化について、国内では様々な議論が行われているようです。これまで日本国内で労働安全の効果的手法とされてきたKY活動や5S、安全パトロールなどを盛り込んだ日本独自の基準をJIS+αとして発行する動きも見え始めています。日本の認定機関(JAB)がこのJIS+αを取り込んだ認定制度を立ち上げることになれば、審査開始時期は少し後になるかもしれません。具体的な基準発表はこれからということになりますので、注視していきたいと思います。


システム認証事業本部 水城 学


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