Business Vision

無駄と無理のないOEMビジネスのために、
自主基準を卒業してISO22716認証へ移行

株式会社 ナリス化粧品 兵庫工場
(兵庫県三木市)

http://www.naris.co.jp/


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OEM顧客の要求に適切に応えるために

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「無香料・無鉱物オイル・無タール系色素」をいち早く実現した老舗化粧品メーカーとして知られるナリス化粧品。一般的には訪問販売の化粧品として認識されているが、実はその生産量におけるOEM製品の比率が増加している。今年3月に、同社がISO22716認証を取得しようと決めたことにもこのことが大きく影響している。というのは、OEMの顧客は自社で販売する製品の品質の維持向上のために、同社を厳しく監査し、設備や生産体制に対してレベルアップを求める傾向がある。そうした要求に対して、同社では今まで自主規格の化粧品GMPに照らし合わせて対応や回答を鑑みていた。しかし、2007年に化粧品GMPがISO22716認証として国際規格化され、翌2008年に日本化粧品工業連合会がISO22716を自主規格として採用するという動きがあったことからしても、「顧客からの複数の改善要求に対応していくうちに、自分たちのGMPルールで戦っていけるのか」という声が社内に高まっていたのだ。そこでISO22716という国際規格認証を取得し、第三者からの評価で顧客に対応するという結論が出された。

ISO22716の取得理由はもう一つある。海外OEM顧客に情報を発信するサービスである。
同社では昨今、アジア地域を中心に海外のOEM顧客が増えている。海外OEM顧客は、品質確認のためにたびたび工場を訪問に来られるわけではない。そこで、国際規格であるISO22716を示すことで、世界標準レベルでの品質管理手法を実行している証明とし、現場を見なくても品質についての安心感を得てもらえるようにしようと考えたのだ。今後、拡大路線と位置づける海外新市場の開拓には、ISO22716取得が必須だという背景もある。
「つまり、我が社にとっての成長戦略であるB to Bビジネスを、海外まで含めて拡大していくために、ISO22716の取得はぜひ必要だという認識だったのです」と品質管理課課長(当時)の藤田真秀さんは言う。
現に、海外の営業マンからは「ISO22716の認証書を持って新規開拓に行くと、とても商談がしやすくて助かる」という喜びの声が届いているそうだ。


現場に「品質管理も自分の仕事」の認識を

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一方、工場内の事情においてISO22716取得の必要性を感じていたのが、GMP事務局として奮闘した品質管理課の西山明子さんだ。「兵庫工場では約220人のスタッフが働いていますが、そのうち150人は生産現場で働いています。ところが、これまで、その現場スタッフに、『生産だけでなく品質管理も自分たちの仕事』という認識が足りないような気がしていました」と西山さんは言う。つまり、今までは「品質に関することは、品質管理課の仕事でしょう」という認識と雰囲気だったそうだ。
しかし、現実問題として、品質管理にいちばん近いところにいるのは現場の作業員たちであり、現場の認識が低いと、特に多品種小ロット生産の多い同工場では品質事故が起きやすくなる。そこで西山さんはじめ品質管理課のメンバーや上層部は、この「現場と品質管理の距離感」を埋める方法をずっと探していた。
「そんな時にISO22716取得の取り組みが始まり、製造現場のメンバーも自主的に品質の世界に関わらざるを得なくなりました。なぜなら審査では、入社2年目の新米社員にもインタビューのお鉢が回ってきたりしますから」と西山さん。 こうして、認証審査を通して現場のメンバーの、「品質管理は自分たちの仕事、自分たちの問題」という認識が高まり、特に20歳代の若手が成長したと、西山さんは感じている。
さらに、「これまでは品質管理について学んだり覚えたりしようとすると、品質管理課に配属されなくてはそのチャンスがありませんでしたが、ISO22716は更新の機会に従業員全員体制で品質管理に携わることになります。このことは品質管理に関する学びのチャンスを増やし、モチベーションを高め、それによって人材の層も厚くなるだろうと期待しています」と言う。


ISO22716が浮き彫りにした弱み

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ISO22716取得の過程において、もう一つ興味深い現象が起きた。それは、今まで工場に欠けていたものが浮き彫りになるという現象だ。その欠けていたものとは? 「それは教育面です」と、藤田さんと西山さんは声を揃える。
「取引先様の審査では、製品に対しての品質チェックは厳しくされますが、製造スタッフについてのチェックは行われません。ですから、お客様の監査に頼っていた今までは、『スタッフの品質』という部分が見過ごされ、自己満足で終わっていたのです」(藤田さん)。
ところが、ISO22716の審査では、従業員教育についても初めて厳しくチェックされ、衛生管理計画や実効性の評価など教育管理の面で弱みがあると気づかされた。
同社では、メンター制度を設けて課題を抱える従業員をフォローし離職を防いだり、所属グループを明確にしてその中で必要なスキル教育を行う取り組みを始めており、人的な教育体制が品質管理につながってきている。
「こうした取り組みによって現場が変わることで、品質管理課も現場を巡視するだけでなく、品質向上の次の一手を考える戦略的な部署へと変化できると思うのです」と藤田さん。
そのための具体策として、西山さんは、@現場のリーダーを、両隣の現場の仕事の半分までを理解し、そのやり方を自分のチームのやり方と比較対象できるまでに教育すること。A次の維持審査までに内部監査員をつくること、の2点をあげた。


最終目標は立会い監査ゼロ

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最後に、ISO22716取得にあたって、難しかったことや苦労したことについて聞いてみよう。
「事務上では特に問題や苦労はありませんでした。これまでも10年間、自主基準とはいえ化粧品GMPを運用していましたので、ISO22716のマニュアルもそれをベースにして文書化し、ISO22716の要求事項で足りない分だけを加筆するというかたちにしました」「これはビューローベリタスの担当営業の方にも助言されたことでした。今までのマニュアルをISO22716と照らし合わせることで、足りない部分を見極めて付加することが、いちばん実効力があり使いやすいマニュアルになるという考えでした。ISO22716のマニュアルは、実際にそうして完成させたのです。」と藤田さん。
肌細胞の覚醒に着目したエイジングライン「MAJESTA」 一方、現場を指揮した西山さんはこう言う。「いちばん難しかったのは、現場スタッフの気持ちを巻き込むことでした。特にベテランスタッフに、長年の経験を整理して他のメンバーに伝えてもらうことや、教育記録を付けることなどは、いくらルールだといっても、現場の理解と協力がないとなかなか浸透しないものです」「ただ、幸運なことに、こうしたことに積極的に取り組める好奇心とエネルギーのある若い従業員が、昨今の人事政策で増員していたので、ずい分助かりました。そういう意味では、会社の若さもISOを成功させるポイントになると思いました」。
会社の内外にさまざまな影響や発見を与えてくれた同社のISO22716取得。最終目標は、「見なくても安心できる」と、取引先が立ち会う監査をゼロにすることだが薬機法の兼ね合いで難しいですね、と藤田さんは笑う。

(2017年8月9日取材)


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  ISO22716 化粧品GMP(優良製造規範)

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