Business Vision

地域の保健医療に貢献する薬局を目指して店舗を拡大
店舗間の業務品質の統一と改善のためにISO9001を取得、活用

一般社団法人 ヘルスプランニング金沢
(石川県金沢市)

http://nanohana-pharmacy.com/


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店舗間の業務統一をISO9001で

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一般社団法人ヘルスプランニング金沢は、現在、「菜の花薬局」および「しいの木薬局」の名称をもつ保険薬局を、石川県内で展開している。その丁寧で顧客思いの対応にファンが多く、この20年あまりの間に、求められて店舗を7つにまで増やしてきた。
その過程で、2006年にトップから全職員に宣言されたのがISO9001の取得だった。当時は店舗拡大が一段落した時期であり、トップは「店舗が増えても、業務やサービスの品質は統一されていることが望ましい。それが『菜の花薬局なら大丈夫』というお客さまの安心感につながり、引いては地域の保健医療への貢献にもなる」と考えた。そこで、どの店舗でも等しく患者さんたちの声を反映し、「継続的改善」を実現するためのシステムとして、ISO9001を活用することがよいと判断したのだ。
さらに1990年代初めから医薬分業が進み、従来に比べて薬局や薬剤師の責任が明確かつ重大になってきたことも、品質保証システムの導入の必要性を感じるようになった要因のひとつだ。
こうして決断されたISO9001の取得への取り組みは、キックオフ宣言後すぐにISO推進委員会を発足させて、職員が自分たちの業務を見直すことから始まった。一つ一つの業務の仕組みを整理検討して改善点をピックアップしたり、安全で適切な調剤サービスを行うための日々の業務を見直したり、またそれらを記録に残したりと、いざ取り組んでみるとしなくてはならない見直しや改善が山積していたという。
これらの課題は、大きく「文書」「教育」「設備」の3種類に振り分けられ、それぞれのジャンルで必要なPDCAが検討されていった。
しかし一方で、忙しくまた膨大な件数にのぼる調剤業務を統一的なやり方で規定され、業務記録も万全に残していくというISO9001の命題は、現場の職員にとっては負担が増えるということでもある。
こうした現場の矛盾した気持ちや実情を汲み取りながら、それだからこそISO9001取得がこれからの「菜の花薬局」にとって重要な布石となることを理解してもらえるように、推進委員による現場への説明は繰り返し、丁寧に行われた。
こうして急がず、焦らず、丁寧に時間をかけて行われた取り組みの結果、2年後の2008年4月に、ISO9001認証を取得したのだった。

理想に終わらせない、やりっぱなしを許さない

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ISO9001を取得して9年。この間、多くの取り組みや改善が行われてきた。たとえば、全体の品質目標に加えて各店舗でもそれぞれが品質目標を作って、それを年度の途中でも細かく見直している。その結果、必要だと判断されれば、改善するための学習教材が職員や各薬局に渡され、その結果や取り組み状況についても、月2回開かれる薬局長会議において確認される。さらに、薬局長会議に持ち寄られる各薬局の月報の中には品質目標の取り組み状況が組み込まれており、年度初めに立てた品質目標を毎月意識できるようにしている。
また各店での取り組みが有効だと判断されれば他店にも展開される。取得後、やりっぱなしを許さないシステムが数々考案され、薬局長会議を軸に 垂直にも水平にも展開されているのだ。
もう一つ、取り組みに関する大きな特徴は、内部監査員の育成増強だ。現在、常勤職員はほとんどが内部監査員になっており、自分が所属する以外の店を監査しあう。
「職員の多くが内部監査員になることで、外部監査で受けた指摘をちゃんと理解して正確に対応や改善ができるようになりますし、何より自分たちで良いか悪いかの判断がつき、必要な対応や改善ができるようになります。これほど力強い品質マネジメントシステムはないのではないでしょうか」と武田美香専務理事はいう。
こうした取り組みからは、「ISO9001は、高らかに方針や理想をうたいあげるためではなく、一人ひとりがどうするかを明確にするために取得する。取得することが目的なのではなく、取得後に何度も見直しながら前に進むことが目標であり目的」という、明確で強い意志と意識が感じられる。
「でも、その一方で弱点も生まれました。要求事項やマニュアルに入っていない事柄については意識がいかなくなる傾向があるのです」と中谷浩子代表理事は苦笑する。この弱点を補うために、品質目標に掲げた以外のことでも年度の総括と次年度の課題を各薬局長に短い文章でまとめてもらっている。

地域の保健医療への貢献も視野に

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このように内部の業務に関する改善や改革に大きな役割を果たしてきた同法人のISO9001だが、昨今では地域の保健医療を担うためのツールとしても存在感を増している。
お年寄りが病院に頼らず、なるべく長い間、在宅で過ごすことを求められるようになった昨今、そのよりどころとして薬局の果たす役割、または薬局に期待される役割がどんどん大きくなっているからだ。
単に薬を調剤するだけでなく、気軽に健康状態のチェックや相談などができる健康サポート機能を持つことや、今後増えるであろう在宅医療の一翼を担うことが、これからの薬局には求められているし、「菜の花薬局」ではむしろ積極的にその役割を引き受けることに取り組んでいる。
たとえば、ひとりの患者さんに対して1人のかかりつけ薬剤師が、患者さんの情報を一元的かつ継続的に把握して対応すること、地域の医療機関等と連携して地域住民の健康づくりのお手伝いをすること、それらの実績等を基に「健康サポート薬局」への申請ができる。「こういう局面にも、ISO9001の取得と運用の過程で得たさまざまな知識や経験、そして『品質』に対する理解と対処は間違いなく役立ちます」と中谷代表理事は言う。
2018年2月には2015年版での受審を予定している 。2015年版は、トップマネジメントの要求事項が従来より増えており、その解釈や対応についての準備を、6名から成る「ISO推進委員会」(2ヶ月に1回開催)が中心となっておこなう。具体的には7月と8月の2ヶ月間かけておこなう内部監査とe-ラーニングを通じた2015年版の学習を計画し、本審査に備える。
認証取得して9年、同法人のISO9001は輝きを増しながら進化し続けている。


(2017年6月6日取材)


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