Business Vision

労働安全衛生に係る監査および既存建物の遵法性調査


PDF版はこちら PDF


企業がビジネスを展開するうえでコンプライアンスの重要性はますます高まっています。CSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも「労働安全衛生の管理」は投資家の大きな関心事となっています。労働災害の発生は、社会からの信頼を失い、労働災害のもたらす多大なコストが企業の基盤を揺るがすリスクとなります。
また、従業員・お客様が利用する建物に関して、増築や改修工事を経て建築基準法や消防法における遵法性の確認が充分になされず、安全で安心な建物から逸脱した、ルールに適合しない建物となってしまったケースもあります。既存不適格建物を含めこういったケースでは、利用者の安全確保、さらには投資家・株主などのステークホルダーへの説明責任の必要から、施設の良質な維持管理・将来的な増改築計画のための対応策が緊急の課題です。


1.労働安全衛生法とは

-

労働安全に関する法律は、労働安全衛生法をはじめいくつかの法律により構成されています。労働災害防止のために守らなければならない事項が法で定められ、具体的な事項が政令、省令、告示により定められています。
昭和47年、急速に進展する産業社会のなかで、労働者の安全と健康を確保する法制を充実・強化するために、労働基準法(昭和22年法律第49号)などを母体とする「労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)」が制定されました。

労働安全衛生法の目的は、労働災害防止の基準の確立や、責任体制の明確化、自主的活動の促進など、労働災害防止対策を推進することで、労働者の安全・健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成することです。


図1 :安全衛生に関する法体系(出典:厚生労働省)


2.労働安全衛生の管理体制

-

労働安全衛生の管理体制は、大きくふたつに分けられます。(1)事業場の安全衛生管理体制と、(2)工事現場の安全衛生管理体制です。

(1) 事業場の安全衛生管理体制
事業場の規模により安全衛生管理体制の整備が義務づけられています。

図2 :事業場規模別安全衛生管理体制(出典:厚生労働省)

(2) 工事現場の安全衛生管理体制
建設業においても、労働者を雇用するそれぞれの事業者に労働災害防止の責任がありますが、建設業の現場では、異なる事業者に雇用された労働者が混在して作業しているため、下請け労働者も含めた労働災害防止体制を整備することが要求されます。

図3 :1社が受注し、2社以上に下請けさせた場合の管理体制(出典:国際安全衛生センター)

3.労働災害に対する企業の責任

-

企業は事業活動を行なう目的に応じ従業員を雇用します。企業は、その目的達成のために組織を構築し、管理運営を行なう存在です。
そのため、企業は労働者の労働災害に対し、責任を負うこととなります。その責任とは次のような内容となります。

(1) 刑事上の責任
労働安全衛生法は、事業者に対し、労働災害防止のための安全衛生管理措置を定めています。安全衛生管理を怠った場合、労働災害発生の有無を問わず、刑事責任が課せられます。また、労働者の生命・身体・健康に対する危険防止の注意業務を怠って、労働者を死傷させた場合、業務上過失致死傷罪(刑法第211条)に問われます。

(2) 民事上の責任
労働災害が発生した場合、事業者は、被災した労働者または遺族から、不法行為責任や「安全配慮義務違反」で損害賠償を請求されることがあります。賠償請求に対して労災保険が給付された場合も、精神的苦痛に対する慰謝料など労災保険給付を超える損害については、民事上の損害賠償責任が生じます。

【安全配慮義務違反】
安全配慮は、使用者の義務です。労働契約法(平成19年法律第128号)第5条は「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」としています。ここ最近、安全配慮義務を怠ったとして、債務不履行による賠償責任(民法第415条)で、損害賠償を認める裁判例が多くみられます。
労働安全衛生法上の刑事責任と、民事上の損害賠償責任は、必ずしも一致しません。労働安全衛生法は守るべき最低限であり、企業は法定基準以外の労働災害防止についても安全配慮義務を負っているからです。



(3) 補償上の責任
労働災害が起きた場合、被災労働者やその家族が生活に困らないよう保護する必要があります。労働基準法および労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)は、業務の遂行に内在する危険が現実となって事故が起きた場合に、労働者の治療と生活の補償を、使用者に義務づけています。

(4) 行政上の責任
労働安全衛生法違反や労働災害が発生しそうな場合に、機械設備の使用停止や作業停止などの行政処分を受けることがあります。また、取引先(他官庁)から取引停止などの処分を受けることがあります。

(5) 社会的責任
企業は、労働安全衛生管理に関して、刑事・民事・補償・行政上の責任を負っています。労働災害の発生は、社会からの信頼を失うことにつながりかねず、労働災害がもたらす多大なコストは、企業の基盤を揺るがす可能性があります。


4.建築基準法と消防法

-

建物利用者の安全確保に関わる法律としては、おもに建築基準法と消防法に定められています。

(1) 建築基準法には、建物利用者の安全確保に関する項目として、以下が定められています。

● 建物の耐火性能
● 採光および換気
● 階段の構造
● 排煙規定
● 防火・避難規定、など

・避難経路上に障害物はないか
・排煙設備は作動上問題ないか
・防火区画は成立しているか
・非常用照明は適切に設置されているか
・避難距離は確保されているか


(2) 消防法には、建物利用者の安全確保に関する項目として、以下が定められています。

● 火災予防のため組織体制
● 危険物の取り扱い
● 消防設備の設置・点検
● 消火体制
● 火災の調査、など

・定期点検記録はあるか
・防火管理者は任命されておるか
・避難訓練を実施しているか
・感知器が設置されているか
・避難経路が掲示されているか


5.ビューローベリタスが提供するサービス

-

労働安全衛生においては、事業場、工事現場における労働安全の観点から、依頼者の要求する労働作業環境が確保されている事を確認するため、以下のサービスを提供しています。

(1) 労働安全衛生監査(事務所)
● 災害時に建物利用者は安全に避難できるか?
● 消防設備は適切に機能することが確認されているか?
など、事業所における労働安全衛生について監査を実施し、ご報告致します。

(2) 労働安全衛生監査(工事現場)
● 工事現場で施工管理体制が適切に整備されているか?
● 資格管理は実施されているか?
● 安全通路など、必要な掲示がされているか?
● 作業員は労働安全衛生法に準拠した作業を行っているか?
など、工事現場における労働安全衛生について監査を実施し、ご報告致します。

また、建物の遵法性においては、以下内容のサービスを提供しています。
(3) 建物の遵法性調査
● 建物の既存不適格調査を計画している方
● 増改築や用途変更をお考えの方
● 検査済証が無い物件をお持ちの方
● コンプライアンス上遵法性確認を考えている方
など、遵法性、安全性、施工運用計画などの観点より、お客様のニーズに最適な形で監査サービスを提供しています。


建築認証事業本部建築評定部 佐々木輝


【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン(株) 建築認証事業本部 最寄りの事務所まで
お問い合わせフォーム

- ビューローベリタスのサービス:工事現場における労働安全衛生(HSE)監査

www.bureauveritas.jp

© Bureau Veritas Japan