Business Vision
 

原料高騰の中、FSSC22000を盾に価格競争を優位に
社内の意識も上がり、取引先との関係も良好に

黒岩食品株式会社 (茨城県古河市)

http://www.kuroiwafoods.co.jp/



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仲買商からメーカーへ。ISO9001からFSSC22000へ。

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茨城県がかつて唐辛子の一大産地だったことをご存知だろうか?黒岩食品は、初代黒岩桂三氏がそのことに着目し、唐辛子の仲買を始めたことからスタートした。当初は唐辛子を集荷して、調味料メーカーなどに卸す問屋だったが、やがて集めた唐辛子を粉末に加工して卸す原料メーカーになった。
ここで求められたのが品質管理の概念だ。一見、同じに見える唐辛子だが、実はデリケートな作物で、辛さ、色、カビの有無など、唐辛子の品質管理は予想外に難しい。特に殺菌は品質管理の重要なポイントで、同社ではいち早く蒸気圧を使った殺菌機械を導入し、一般生菌数1万個以下という社内基準を順守してきた。
こんな同社が、殺菌機械と同時に注目したのが衛生状態を管理するのに適したシステムだった。機械とシステムの両方から品質管理をすれば精度はかなり上がるし、このことは同社が他に認められるスパイスメーカーになるためには欠かせないことだった。

そこで当時、立志伝中の創業社長から家業を受け継ぎ、企業へと成長させるという課題を担っていた後継者の黒岩恭一氏は、2003年の社長就任と同時にISO9001認証を取得した。
それから現在まで14年が経つが、その間に状況にあまたの変化が起こった。まず、原料となる唐辛子の継続的な高騰。そして材料となる唐辛子のほとんどを輸入している中国で頻発する食品衛生の問題。さらに取引先の品質管理に関する要求のハードルもずいぶん上がった。

「そんな中で、ISO9001に対するマンネリもあり、ISO9001認証がちょっと物足りなくなってきたのです」と言うのは、北堀豪茨城工場長だ。取引先が次々とFSSC22000認証を取得し、さりげなく取得を促されたり、FSSC22000 認証取得の取引先の監査に対して荷が重いと感じることも増えていたという。
そのようなことが次第に増え、ついに昨年、経営陣はISO9001の返上とFSSC22000の取得を決断し、FSSC22000の要求事項への取り組みを開始したのだった。

ハードもソフトもゼロから構築

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いざFSSC22000取得に取り組んでみると、「同じ品質管理システムですが、ISO9001に比べてFSSC22000の要求事項は、ハード面もソフト面も、相当厳しいものでした。社長にも現場にも、それなりの覚悟がないと取得できないと思いました」と、渡部裕道特販部部長は言う。
まず社長には、要求事項に合わせて工場を改善するための費用を出すことを決断してもらわなくてはならなかった。かなりの金額だったため、社内には懸念する声もあったが、黒岩社長は「必要なことだから」と快く投資を決断した。
一方、従業員には、各工程のノウハウや手順を再度見直し、手順書をはじめとする書類をFSSC22000の求めるレベルで作り直すことが求められた。

こうした書類作成の中心となったのが、品質管理課の並木敬裕課長だ。生真面目な並木課長は「どうせ作り直すなら、現実に即していて嘘がないものでないと意味がない」と、現場と何度もやりとりして修正を繰り返しながら、現場も管理側も納得のいくマニュアルを作り上げた。
このようにハードもソフトも「ほとんどゼロから構築した」と言っても過言ではない黒岩食品ならではのFSSC22000の運用が始まったが、嬉しいことに、運用後の従業員の意識は予想以上にアップした。
「特に若いスタッフが細かくレポートをあげてくるようになりました」と北堀工場長。その他に、クレーム時の原因究明の仕方が厳しくなった、問題点が客観的に上がるようになった、問題点が他部署と共有できるようになったといった変化も起こっているという。
「投資は決して安いものではありませんでしたが、この変化を見ると、取得は投資を補って余りある成果を出していると思います」と黒岩社長は言う。


価格競争への防波堤にも

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FSSC22000の取得は、営業面でも効果的に働いている。実はスパイス業界は、長年にわたる原料高騰に苦しんでいる。スパイス全般に仕入れ価格が上がり続け、どこで落ち着くか見えない状況だ。
一方で、取引先からは厳しい価格交渉があり、同社としては防戦する必要がある。「取引先様にさりげなくFSSC22000 取得を報告して、『うちはこんなに品質管理に熱心取り組んでいます。その甲斐あって御社にも良質で安定した供給ができていますが、当然それなりの費用もかかっています』と言外に伝えています」と渡部部長は言う。実際に、仕入れした唐辛子の品質をより厳しく検証するようになり、商品の歩留まりが良くなっている傾向がある。
以前は苦しんでいたFSSC22000を取得している取引先の監査も、スムーズにクリアできる自信がついた。「これまではFSSC22000を持つ取引先様とはレベルの違いを感じることがあり、要求された書類がどんなものなのか分からなくて困ることも多かったのですが、これからは『ああ、あれですね』とすぐに出せるだろうし、質問にも的確に答えられると思うので、きっと心象的にも良くなると思います」と、苦労して書類作成に取り組んだ並木品質管理課長は嬉しそうだ。
最後にこれからの課題について尋ねてみると、「受発注をIT化し、一元管理したいと思っています。今はまだ手書きの伝票が多く、何かあると伝票の束を繰ったり、担当者に思い出してもらったりというアナログ状態なのですが、ゆくゆくはいかなる問い合わせにも、誰もがキーを叩いたらすぐに答えられるようにしたいと思っています」と黒岩社長。これもFSSC22000認証を取得したことから生まれてきた前向きなビジョンなのだろう。




(2017年1月31日取材)


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