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ISO9001・ISO14001:2015への移行にいち早く着手
改定ISOに、ビジネスツールとしての強化を実感

株式会社イズミテクノ
株式会社イズミテクノ (長野県岡谷市)

http://www.izumitechno.co.jp/



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発行以来最大のドラスティックな改定

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写真:株式会社イズミテクノJR中央本線・岡谷駅の近くに社屋を構える「株式会社イズミテクノ(以下、イズミテクノ)」は、半導体や各種機器の表面処理加工を専門とする企業。従業員数約40人と規模こそ小さいが、アルマイトの表面処理加工では業界に名を知られた優良企業だ。
同社が2015年9月に発行されたISO9001・ISO14001:2015への移行を果たしたのは2016年4月。ビューローベリタスが認証する組織のなかでは、移行一番乗りだった。
当初は2015年11月に発行される日本語訳を確認してから移行時期を検討する予定だったが、統括マネージャーの小口孝一氏の判断によって、日本語訳の発行を待たずに移行準備を進めることを決定し、ビューローベリタスに審査を依頼する流れとなった。
2015年版への移行には3年間の猶予期間が設けられ、特に急ぐ必要はなかったのだが、小口氏は「いずれ移行するなら早いほうが良い」と思ったと言う。その考えの裏には、「2008年の改定も乗りきれたのだから、今回も大丈夫だろう」という自信とともに、2002年に初めてISO9001認証を取得した品質マネジメントシステ写真:統括マネージャー 小口孝一氏ムが、今やすっかり同社に馴染み、その活用、及び有効性の継続的改善が着実になされている実態があったので、「少しでも早く新しいバージョンに移行して活用したほうが、より効果が上がるに違いない」という判断があった。
ところが日本語訳が発行されてみると、そこには「規格発行以来最大」と呼ばれるほどドラスティックな変更があった。
例えば、2008年版の規格構成は、ISO9001が8章立て、ISO14001が4章立て(内3章は9001と同一項目)だったが、2015年版では、ISO9001とISO14001の構成が共通となり、どちらも10章立て、かつ項目が同一となった(比較図参照)。
となるとISO9001とISO14001のマニュアル両方を全て見直さなければならない。「早まってしまったと真っ青になりました」と小口氏は苦笑する。
ここで今回の改定の全体像を見てみよう。
今回の改定のポイントは2つあった。1つは、ISO9001の考え方をISO14001やOHSAS18001(労働安全衛生マネジメントシステム規格)などにも広げて、マネジメントシステムの仕組みの共通化を図ること。上述の規格章立ての共通化はその一環である。
もう1つのポイントは、製造業を基準にしている感が強かった従来のISO9001に汎用性を持たせて、サービス業などさまざまな業種でも使いやすくなるようしていることだ。
つまり2015年版では、2000年のISO9001の大幅改定以降に起こった産業界や市場の変化に応えるべく、構造、原則、概念が刷新されており、これが「規格発行以来、最大の改定」と言われるゆえんなのである。

図解:改定前と改定後の規格構成の変化

自主性や本質的な対応を求める2015年版

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すでに移行を決定したからにはやり遂げなくてはならない。そこで小口氏は品質保証グループの藤森一樹氏と飯塚容子氏に協力を依頼し、不安を抱えながら改定版認証取得への取り組みを開始した。
まず行ったのは、「2015年版はどこが変わるか」という読み解きだった。やがて見えてきたことは、「2015年版はリスクマネジメントをベースにして、より実務に近づいた規格構成になっている」ということだった。「リスク」という側面にスポットを当て、そこからマネジメントシステム全体を見直し再構築することが求められていた。
もう1つ小口氏が感じたのは「上位文書作成の要求が削除されるなど、自由度が高まる一方、リーダーシップという項目が新しく設けられるなど、自主性や本質的な対応を求めている」ということだった。
「要するに、2015年版の特徴は『リスクについてより真剣に考え対応しないと、困るのは他でもないあなたの会社ですよ』というクールさにあります」と小口氏は語る。
2015年版のこのコンセプトは、小口氏の不安を払しょくした。なぜなら「目標を達成していく上で潜むリスクは何か」とリスク要因を抽出し、「リスクを最小化するために何をしなくてはいけないか」と対策を検討する作業は、同社ではすでに毎年行われていたことだったからだ。
「それをリスクマネジメントという名前では呼んでいませんでしたが、これまで積み重ねてきたことはまさに2015年版が強く要求しているリスクマネジメントに相当すると、すぐに気が付きました」。つまり2002年にISO9001認証を取得してから14年を経て、従業員の日々の取り組みがそのまま規格要求事項に合致しているという理想のかたちが、同社にはすでに存在していたのだ。
そこで小口氏は、従来リスクとみなしてきたこと、または無意識にリスクと感じていたものを抽出し、「リスク」写真:品質保証グループ 藤森一樹氏 飯塚容子氏という言葉に紐づけてマニュアル化する作業に集中することにした。
「もし足りていない部分があれば、どんどん指摘を受けよう。その指摘を通して見落としていたことに気付き、大いに学んでいこう、という気持ちでした」と小口氏は言う。
認証機関にビューローベリタスを選んだ理由も、実はそこにあったと言う。認証機関の選定時、ビューローベリタス社は「業務に貢献してこそのISOだ」と強く主張しており、そういう考えをもつ認証機関であれば、「認証機関の胸を借りて学ぶ」という姿勢にも、可能な限り応えてくれるに違いないと思ったのだそうだ。


よりシンプルに分かりやすく

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こうして完成した同社の2015年版マニュアルの特徴は、よりシンプルで実務に結び付きやすくなったことだ。
マニュアル作成の実務を担当した飯塚氏は「とにかくスマートなマニュアルにすることを目指しました」という写真:認証書。その工程の中で最も難しかったのは、それまでの取り組みとリスクマネジメントの紐づけだった。「果たしてこれはリスクだろうか?」とリスクという言葉の規定にとらわれて前に進めなかったり、一番乗りの功罪で他に参考になるようなマニュアルの前例がなかったりで、「これでいい、これで行こう!と決める、つまりブレイクスルーするまでがかなり大変でした」と苦笑する。
またその様子を見て小口氏が感じたのは、「マニュアルをシンプルに分かりやすくすると、努力していないと思われるのではないかと不安になる心理的葛藤」だったという。「この葛藤を乗り越えて、マニュアルの形骸化を防がないと、2015年版の改定の本質をマニュアルに反映し、ひいては業務に活用することが困難になるので、注意した方が良いと思います」とは、その体験に基づくアドバイスだ。
2015年版に移行したメリットについては、「まず2015年版の理解も含めて移行のプロセス自体が、マネジメントシステムのさらなる有効活用や継続的改善に向けて力を付けてくれたと思う。次に、従業員個々のもつ技術や知的財産をきちんと管理・保守していくことを要求している点に強く共感している」と言う。
時代の追い風を受け、業績を伸ばしている同社にとって、自己責任とPDCAを強く意識させ、より本質的な要求事項を含む「ISO9001・14001:2015」は、大きな武器になりそうだ。


(2016年10月20日取材)


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