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微生物検査について〜乳酸菌、低温細菌の特徴


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ビューローベリタスは、食の安全をより確実に守るためのお取り組みをサポートする様々なサービスをお届けしています。
そのサービスの1つである微生物検査では、食品衛生検査指針に準拠した方法で、一般生菌数や大腸菌群などの衛生指標菌や黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌などの食中毒菌の検査を実施します。また、関連サービスとして微生物の繁殖による食品変色によるクレームなどに対応する異物・異臭検査も承ります。
2015年8月号では食中毒菌(サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌)の特徴と真菌の特徴について紹介しましたが、今回は食品の腐敗・変敗、変色などの原因菌の中の一つである乳酸菌、低温細菌の特徴について紹介します。お取引先に対する製品の安全性証明や、苦情発生時の原因調査にお役立て下さい。


乳酸菌

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乳酸菌とは、グラム陽性、カタラーゼ陰性、いずれも酸素の少ない環境に好んで生育し、消費したブドウ糖に対して50%以上の乳酸を生成する菌を指します。
形態的には球菌(Lactococcus, Pediococcus, Leuconostoc, Onenococcus, Vagococcus)と桿菌(Actobacillus, Weissella,Carnobacterium)に分けられます。現在、細菌分類学の進展により、乳酸菌の定義に属する菌属として12菌属が提案されており、発酵形式の違いによりホモ型乳酸菌とヘテロ型乳酸菌に分かれます。ホモ型乳酸菌はブドウ糖から乳酸のみを生成し、ヘテロ型乳酸菌はブドウ糖から乳酸と乳酸以外の物質(アルコール、酢酸、炭酸ガス)を生成します。
乳酸菌の多くは他の有害菌の生育を抑制することが知られており、乳酸菌の力を巧みに利用しこれらをスターターに使用した発酵乳製品を製造する技術が発達し、現在は他の食品加工にも応用され、さらにプロバイオテックスにも広く応用されています。
しかしながら一方で、乳酸菌は自然界に広く分布していることから、食肉製品や魚肉製品などの食品を汚染する機会が極めて多く、さらに0℃付近の低温や45℃以上の高温、pH4前後の酸性域で増殖するものもあり、酸素の有無に関係なく増殖し、また多くの保存料にも強く抵抗性を示すなど、食品保存において制御しにくい菌群でもあります。特に包装食肉、魚肉類の緑色変色、退色、ネトの原因として知られており、食品の品質を腐敗や変色などから劣化させるため、衛生的品質を評価する衛生指標菌とされています。


低温細菌

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低温細菌は、生育の最適温度とは関係なく低温で比較的速やかに生育できる細菌群です。通常は5〜10℃、7〜10日間以内に肉眼で認められる集落を形成する細菌群で、グラム陰性、陽性、好気性、嫌気性などの性状に関わらず、広い範囲の細菌群にわたり、水や土壌、生乳、食肉、生鮮魚介類など自然界に広く分布しています。
低温細菌は主としてグラム陰性好気性桿菌で、シュードモナス(Pseudomonas)が代表的な菌種で、多くは、プロテアーゼやリパーゼなどの酵素を生産し、低温下での流通、貯蔵過程で食品を腐敗・変敗させ、特にシュードモナスが生産するプロテアーゼやリパーゼは耐熱性が強いものが多く、食品の長期冷蔵中に徐々に作用し品質劣化の原因となります。
低温細菌数の少ない場合、加工食品については全製造工程にわたって衛生的な取り扱いがなされたことを意味し、生の食材であれば新鮮な材料であることを表しています。また菌数が多い場合には、濃厚汚染か、長期冷蔵保存されたことを意味し、加熱処理された加工品からの検出は、低温細菌が熱に弱いことから、環境からの二次感染が示唆されます。

引用・参考文献
・厚生労働省監修「食品衛生検査指針 微生物編」(日本食品衛生協会/2004年)
・厚生労働省監修「食品衛生検査指針 微生物編」(日本食品衛生協会/2015年)
・森地敏樹監修「食品微生物検査マニュアル《改訂第2版》」(栄研化学/2009年)


食品検査事業部 管理グループ 小川俊彦


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