SNT-TC-1A〜非破壊検査(NDT)技術者の資格認定基準〜について
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SNT-TC-1Aはアメリカ非破壊検査協会(ASNT : The American Society for Nondestructive Testing, Inc.)が定めた非破壊検査(NDT)技術者の資格認定基準であり、雇用者責任に基づくNDT資格認定システム(*)です。
本稿では、SNT-TC-1Aの2006年版に基づきSNT-TC-1Aの概要を紹介します。
(*) SNT-TC-1A制度は社内認定制度で、当社のような第三者検査機関が認定を与えるものではなく、雇用者にて認定する制度です。詳細および関連資料は、ASNTのウェブサイトをご確認ください。
1.SNT-TC-1Aの概要

SNT-TC-1AはNDT要員の技量認定と資格要件のガイドラインとして適用されます。
このガイドラインに基づいて、雇用者が認定手順書を作成します。また、認定手順書には自社の要求を満足するように修正することが認められます。雇用者はSNT-TC-1Aをベースとして作成した認定手順書に基づき、自社のNDT要員をトレーニング、試験により認定し、合格者に資格を与え、それに基づきNDT業務を行うことができます。
2.SNT-TC-1Aの内容

(1) SNT-TC-1Aが適用できるNDT検査方法の範囲
● Acoustic Emission Testing (アコースティック・エミッション (AE) 試験)
● Electromagnetic Testing (電磁探傷試験) *渦電流探傷試験を含む
● Laser Testing Methods (レーザ試験)
● Leak Testing (漏れ試験)
● Liquid Penetrant Testing (浸透探傷試験)
● Magnetic Flux Leakage (磁束漏れ試験)
● Magnetic Particle Testing (磁粉探傷試験)
● Neutron Radiographic Testing (中性子線探傷試験)
● Radiographic Testing (放射線透過探傷試験)
● Thermal/Infrared Testing (熱赤外線試験)
● Ultrasonic Testing (超音波探傷試験)
● Vibration Analysis (振動分析)
● Visual Testing (目視検査)
(2) 資格レベル
● NDT Level I、NDT Level II、NDT Level IIIと3段階の資格レベルを設けています。
● 初回認定時、NDT候補者は有資格者の指導を受けながら、トレーニングを行う必要があります。
● NDT資格レベルごとに、業務と責任の範囲が下記の通り規定されています。
NDT Level I
資格者
|
✓ |
指定されたNDT検査方法の手順書通りに業務を実施できるが、NDT Level II又はNDT Level
III資格者の指導を受けなければならない。 |
|
NDT Level II
資格者
|
✓ ✓ ✓ |
検査装置の校正、規格の検査方法の解釈、検査結果の判定を行うことができる。
該当検査方法の適用範囲と適用性の知識を十分有すること。
NDT I要員のトレーニングを行うことができる。 |
|
NDT Level III
資格者
|
✓ |
要領書の作成と承認、検査方法に関係する法規、規格の解釈、特殊検査方法の指定を行うことができる。資材及び加工方法と製造などにおいて十分な知識を有すること。
|
✓ |
該当検査方法に関わる業務に責任を持ち、規格の検査方法の解釈、検査結果の判定ができる。
|
✓ |
雇用者に指定されたNDT Level III資格者は認定手順書に基づいて、NDT Level I及びNDT Level II候補者に資格認定のためのトレーニングと試験業務を行うことができる。
|
|
(3) 認定手順書(Written Practice)
●
●
● ●
|
雇用者はNDT要員のトレーニング、試験、認定及び管理の実施のため、認定手順書を作成しなければなりません。
認定手順書には、NDT資格認定に関わるトレーニング、経験、試験要求、認定及び資格者の業務責任と範囲について詳細な規定が含まれる必要があります。
雇用者に指定されたNDT Level III資格者は認定手順書をレビューし、承認を行う必要があります。
認定手順書の文書管理は適正に行わなければなりません。
|
(4) 初回認定のための教育、トレーニングと経験要求
●
●
●
|
NDT候補者の初回資格認定の前に、十分な学歴、該当検査方法のトレーニング、実務経験に関する要求事項が充たされていることを確認しなければなりません。
認定手順書作成前に、NDT候補者の過去のLevel I、II、又はIIIのトレーニング及び実務経験等の証明書類は初回認定時のトレーニングと実務経験の要求に加味できます。
NDT Level I & II候補者のトレーニングと実務経験に対する要求は下記表(主なNDT要求の抜粋)を参照下さい。 |
NDT試験 |
レベル |
トレーニング時間要求(単位:時間) |
実務経験時間要求(単位:時間) |
高校卒又は
相当学歴
|
2年制短期
大学以上
|
該当NDT検査 法最低実務時間 |
NDT業務の合計 実務時間 |
PT |
I |
4 |
4 |
70 |
130 |
II |
8 |
4 |
140 |
270 |
MT |
I |
12 |
8 |
70 |
130 |
II |
8 |
4 |
210 |
400 |
RT |
I |
40 |
30 |
210 |
400 |
II |
40 |
35 |
630 |
1200 |
UT |
I |
40 |
30 |
210 |
400 |
II |
40 |
40 |
630 |
1200 |
(5) トレーニングプログラム
● ●
●
|
初期認定の候補者は、NDT業務に必要な知識を含むトレーニングを受ける必要があります。
トレーニングプログラムは、ASNI/ASNT CP-105 - Topical Outlines for Qualification of Nondestructive Testing Personnelを参照することが推奨されます。
雇用者はトレーニング業務をNDT Level IIIサービスを提供する外部機関に委託し、認定手順書の要求事項に基づいて実施することができます。
|
(6) 試験
●
●
●
●
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雇用者に指定されたNDT Level III資格者は、NDT Level I、NDT Level II、NDT Level IIIの候補者の資格試験に対する、管理と評価の責任を有します。
NDT Level IとNDT Level II候補者の資格試験には、筆記試験、実技試験と視力試験が要求され、筆記試験は一般試験と専門試験に分けられています。
NDT Level III候補者の資格試験は、基礎試験、検査方法試験、専門試験と視力試験が要求され、実技試験は要求されません。
合格点数について、視力試験以外の総合点数は80%以上、尚且つ各試験の最低点数は70%以上であり、不合格の場合は再試験を受けることができます。 |
(7) 認定
●
●
●
|
全レベルのNDT技術者の認定責任は雇用者にあり、外部機関に委託してトレーニングと試験を行う場合でも、NDT技術者認定責任は雇用者に限定されます。
雇用者は自社又は外部機関で行ったトレーニング及び資格試験が認定手順書通りに行われたかを確認し、全ての事項が充足していれば、NDT技術者に認定書を発行し、NDT業務を行わせることができます。
認定手順書に定められた期間中、資格認定書を保管する必要があります。 |
(8) 最後に
SNT-TC-1A(*)には雇用者技術実施評価、NDT技術者の再認定、資格停止及び資格復帰に関する内容が含まれますが、別の機会に改めて紹介します。
(*) SNT-TC-1A制度は社内認定制度で、当社のような第三者検査機関が認定を与えるものではなく、雇用者にて認定する制度です。詳細および関連資料は、ASNTのウェブサイトをご確認ください。
産業事業本部 黄 永剛
(2018年10月更新)
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