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安定同位体比分析について


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ビューローベリタス食品検査事業部は、うなぎ、わかめ等の産地判別(推定検査)や、蜂蜜、果汁等の異性化糖(C4植物由来)添加判別を受託していますが、これらの判別には、日本ではまだ特殊な安定同位体比分析を利用しています。
今回は安定同位体比分析についてご紹介します。


安定同位体比分析とは

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生物は炭素を骨格として主に水素、窒素、酸素の軽元素から構成され、これら軽元素には安定同位体(13C/12C、D/H、15N/14N、18O/17O/16O)が存在します。安定同位体比はその質量数の違いから様々な化学的過程で同位体分別を起こすことにより、起源生物や生合成過程、生育環境などの情報を保存しています。つまり、生物の軽元素の安定同位体比は、生育環境を普遍的に反映することから、同じDNA配列を持つ同一の生物であっても生育条件によって異なる値を示します。よって、DNA分析では不可能な食品の産地判別や有機栽培法の判別の可能性が報告されています。


分析の流れ

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試料を元素分析装置でガス化、クロマトカラムにより分離し、安定同位体比質量分析計で13C/12C、15N/14N、18O/17O、D/H比の測定を行います。


(1) TC/EA熱分解型元素分析装置とEA元素分析装置

酸素及び水素は、TC/EA(写真左)にて試料を高温熱分解により酸素をCOに、水素をH2にガス化します。
炭素及び窒素は、EA(写真右)にて試料を大過剰の純酸素と酸化触媒で燃焼させてCO2、NOX、水にしたあと、酸素を除去すると同時にNOXを還元処理し、水を除去することで最終的にCO2、N2にガス化します。さらにガス化したものをクロマトカラムにより分離します。

(2) IR-MS(アイソトープ・レシオ・マス・スペクトロメータ) 安定同位体比質量分析計

TC/EA、EAでガス化、分離したものをIR-MSに導入します。この装置ではガス化したものをプラス電気に帯電させ(イオン化)、磁場に磁力線を横切るように入射させます。イオン化した分子は進行方向に直行する力を受けるので(図1「フレミングの左手の法則」)行路が曲がります。行路の終端にある捕捉装置で各電気量を測定し(図2「質量分析計の概念」)、それを比較、分析して同位体比を求め、標準ガスの同位体比で規格化してδ(デルタ)値として表現します。単位は千分率(‰ / パーミル)です。

図1「フレミングの左手の法則」

図2「質量分析計の概念」


ビューローベリタスがお届けするサービス

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ビューローベリタスでは産地判別(推定検査)や、異性化糖(C4植物由来)添加判別産地判別以外にアルコール原料や化成品原料の由来判別にも安定同位体比分析を用いています。
安定同位体比分析は、他にも異物検査として混入毛髪の混入国の見当にも利用が可能です。
産地判別のトライアル試験も行っていますので、お気軽にご相談下さい。


参考文献
松葉谷浩「熱水の地球化学」(裳華房/1991年)
千葉仁「安定同位体比測定用質量分析計」(九州大学中央分析センター センターニュース52 Vol.13 No.4/1996年)
鈴木彌生子「日本食品科学工学会誌 第60巻 第1号」(2013年)


食品検査事業部 関口道絵


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