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建築基準法施行令の一部を改正する政令(平成28年1月15日公布)
〜主な概要について


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建築基準法施行令の一部を改正する政令が平成28年1月15日に公布され、同年6月1日に施行されます。より詳しく知るためには関係する告示等を待たなければなりませんが、改正後の施行令を中心に主な概要をお知らせします。


1.定期報告を要する建築物等の指定

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定期報告を要する建築物として、法12条1項では法6条1項1号の建築物のうち、防火上又は衛生上特に重要であるものとして、政令で定めるもの及び特定行政庁が指定するものを定めており、政令にあっては高齢者・障害者等が就寝する施設や不特定多数の者が利用する施設で一定規模以上のものを規定しています。≪令第16条関係≫
この政令で定める建築物として、例えば物品販売店舗(法別表第一(い)1項)では、
● 地階又は3階以上の階を当該用途に供する建築物
● 当該用途に供する部分の床面積の合計が200u以上
が、対象となります。ただし政令には、「避難階以外の階を法別表第一(い)欄1項から4項までに掲げる用途に供しないことその他の理由により通常の火災時において避難上著しい支障が生ずるおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。」があり、当該告示(H28年国交省告示239号 公布1月21日 施行6月1日)を含めて表にまとめると、以下のようになります。


(1) 定期報告を要する建築物として、一定の用途規模等を規定

建築物(*1) 対象用途 対象用途の位置・規模(いずれかに該当するもの)
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場 @3階以上の階にあるもの
A客席の対象用途の床面積の合計が200u以上のもの
B主階が1階にないもの(*2)
C地階にあるもの
病院、診療所、児童福祉施設等(*3)、旅館、ホテル、下宿、共同住宅(*3)又は寄宿舎(*3) @3階以上の階にあるもの
A2階の対象用途の床面積の合計が300u以上であるもの
B地階にあるもの
学校、体育館(学校に附属するもの) 指定しない
体育館(学校に附属しないもの)、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場 @3階以上の階にあるもの
A対象用途の床面積の合計が2,000u以上であるもの  
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗 @3階以上の階にあるもの
A2階の対象用途の床面積の合計が500u以上であるもの
B対象用途の床面積の合計が3,000u以上であるもの
C地階にあるもの

(*1) 該当する用途部分の床面積が100u以下のもの又は該当する用途部分が避難階のみにあるものは対象外。
(*2) 劇場、映画館又は演芸場に限る。
(*3) 高齢者、障害者等の就寝の用に供するもの(グループホーム、老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等)に限る。


これと同様に、

(2) 定期報告を要する建築設備等として、一定の昇降機及び防火設備を規定

建築設備 対象 対象外となるもの
昇降機 令第129条の3第1項各号に掲げる昇降機(エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機)
戸建住宅のホームエレベーター
テーブルタイプ(床面から50cm以上)の小荷物専用昇降機
防火設備
法6条1項1号の建築物の防火設備
防火設備の設置が義務づけられている建築物(法6条1項1号の建築物を除く)のうち、病院、診療所、高齢者等の就寝の用に供するものの防火設備


常時閉鎖式の防火設備
防火ダンパー
外壁開口部の防火設備

(3) 定期報告を要する工作物として、遊戯施設等を規定

工作物 対象
準用工作物 令第138条第2項各号に掲げる工作物(観光用エレベーター、遊戯施設)

なお、これらの対象建築物等に加えて、特定行政庁が地域の実情に応じて指定するものがあります。また、定期報告・検査を行う「資格者」制度も確立されることになります。


2.防火・避難に関する規制の合理化

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屋根の燃え抜けが許容される建築物の対象、耐火性能検証の可燃物燃焼温度の定め、防火上主要な間仕切壁の方法、小屋組み木造の隔壁の適用除外、避難安全検証を適用できる建築物の対象の見直し、非常用進入口の設置を要しない建築物の対象を拡大するなど、防火・避難に関する規制の合理化が行われます。このうち、防火上主要な間仕切壁について記述します。
政令112条2項及び114条2項では、防火上主要な間仕切壁を小屋裏又は天井に達せしめなければならないとしていますが、次の部分にある間仕切壁については、小屋裏又は天井に達することが不要となります。≪第112条第2項及び第114条第2項≫
(1) 天井全部が強化天井(天井のうち、その下方からの通常の火災時の加熱に対してその上方への延焼を有効に防止することができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう)である階。
(2) 準耐火構造の壁又は法第2条第9号の二ロに規定する防火設備で区画されている部分で、当該部分の天井が強化天井であるもの。

図1

3.避難関係規定の合理化

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(1) 建築物の避難安全性能に関し、避難安全検証法ではなく、国土交通大臣が個別に検証して認定するものについては、対象建築物の限定を外し、木造建築物を含めた全ての建築物を当該認定の対象に含めることができることになりました。≪第129条第1項及び第129条の2第1項≫
(2) 全館避難安全検証法における屋内に設ける避難階段の基準について、避難階まで直通することとすること以外に、屋上広場等(屋外に設ける避難階段が接続しているものに限る)まで直通することとすることも認められることになりました。≪第129条の2第2項≫
(3) 建築物において開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されている部分以外に、建築物の2以上の部分の構造が、相互に火熱又は煙等による防火上支障のある影響を及ぼさないものとして一定の構造方法を用いるものである場合における当該部分は、廊下、避難階段及び出入口及び避難上の安全の検証の規定の適用等について、それぞれ別の建築物とみなすこととなりました。≪第129条の2の2、第117条第2項及び第137条の14第2号≫


4.排煙設備の性能規定化

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(1) 特別避難階段の構造≪第123条第3項第2号≫
屋内と階段室とが付室を通じて連絡する場合においては、付室又は階段室の構造が、通常の火災時に生ずる煙が付室を通じて階段室に流入することを有効に防止できるものとして一定の構造方法を用いるもの又は認定を受けたものとすることになりました。
(2) 非常用エレベーターの構造≪第129条の13の3第13項≫
非常用のエレベーターの乗降ロビーにバルコニーを設けるか、非常用エレベーターの昇降路又は乗降ロビーの構造を、通常の火災時に生ずる煙が乗降ロビーを通じて昇降路に流入することを有効に防止できるものとして一定の構造を用いるもの又は認定を受けたものとすることになりました。


5.既存不適格のまま増改築等を行うことができる建築部の追加

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既存不適格のまま増改築等を行うことができる建築物として、超高層建築物(高さ60mを超える建築物)を追加することになりました。≪第137条の2及び第137条の12≫


また、ここまで記載した内容に加えて、以下の部分も法令改正を受けて、今後必要に応じて告示等により詳細な技術的内容が示される予定です。

伝統的工法の利用促進のため「だぼ継ぎ」等により接合する方法が追加、また床組・小屋ばり組の変形防止法として、火打ち材を使用すること以外の基準が加わること。
建築設備に係る型式適合認定を受けることができる対象を拡大すること。

建築認証事業本部 松下博文


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