遠心コンプレッサーの性能試験


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遠心コンプレッサーは石油・ガス、石油化学等の分野で使用される産業機械の一種です。中でも、ガス流体を圧送する遠心コンプレッサーは近年ますます高速化、大型化され、その用途が拡大しています。ビューローベリタスは、これら遠心コンプレッサーの製造に関わる第三者/第二者検査サービスを提供していますが、本稿ではその最終検査段階においてメーカーで実施される性能試験の基本的な留意点を紹介します。


実際に石油・ガス、石油化学等のプラントサイト(以下、現地)で使用される遠心コンプレッサーは、可燃性ガス(主に炭化水素ガスの混合流体)を高圧、大風量で運転するケースが多く、その必要動力も数万KWから時には数十万KWとなり、メーカーが全く同じ条件下で性能確認を行うことは不可能です。そのためほとんどの性能試験が、熱力学的に現地での使用条件と相似となるようにテストガス(一般的には不燃性ガス)を選定し、実際の使用条件よりも低速、低圧、低風量、(その結果として)低馬力で性能試験を行う方法( "Type 2" Test)を規定したASME Power Test Code 10, 1997 (PTC-10) "Performance Test Code on Compressors and Exhausters" に従い実施されます。

因みに "Type 1" Test は実際に現地で使用される流体を使用した試験で、温度、圧力条件等も現地での仕様に近い条件で行われる試験方法ですが、現地では可燃性ガスを取り扱う場合が多いため、稀にしか採用されません。

 

1.

性能試験では、通常、予想性能カーブ上の保証点(定格点)、サージ流量点の2点を含む異なる流量5点に対して試験を行い、データを取得します。

2.

 

 

各運転点におけるデータ採取にあたっては、正確なデータ取得のため測定に用いる計器数は吸込、吐出等の圧力及び温度測定点で各4点、流量測定用のオリフィスの上流圧力・温度、差圧で各2点の計器を使用することがPTC-10で要求されていますので、試験開始前にこれらの確認が必要です。

 

3.

また、保証点を含む各運転点のデータを記録する前に、上記各計器の指示値の差異(フラクチュエーション)が吸込、吐出等の圧力で2.0%以内、温度で0.5%以内であることを確認します。

フラクチュエーションとは、各測定点における最大値と最小値の差を全ての計器の平均値で除した値(%)です。

 

4.

更に、各運転点のデータ記録前に、その運転点におけるコンプレッサーの運転が温度的に平衡状態に達したことを確認します。すなわち、10分以上の時間内で吐出温度と吸込温度の温度上昇ドリフトが温度上昇値の5%以内であることを、同一の時間間隔で最小6回測定して確認しなければなりません。

但し、本規定に従った場合、最短で運転点1点の条件設定から測定開始までに1時間以上は確実に必要となり、トータルの試験時間が長時間となる為、メーカーによっては客先との同意を得た上で、異なる条件(例として、温度上昇ドリフトを温度上昇値の2.5%以内であることを、30分以内に数回測定して確認)を提示するケースがあります。

 

5.

コンプレッサーの保証点においてデータを取得後、試験条件が熱力学的に現地での運転条件と相似であることを確認するための条件として、以下4つのパラメーターが許容範囲内となるよう規定されています。各パラメーターの詳細な計算式はPTC-10 を参照ください。

 

(1) Volume Ratio: (Qs/Qd)t/(Qs/Qd)sp
(2) Capacity ・Speed (Flow Coefficient) Ratio: φt/φsp
(3) Machine Mach Number: (Mmt - Mmsp)
(4) Machine Reynolds Number Ratio: Remt/Remsp

許容範囲

95 ~ 105%

96 ~ 104%

PTC-10 Fig. 3.3 に依る

PTC-10 Fig. 3.5 に依る

 

遠心コンプレッサーの性能試験立会い時に、保証点において上記条件が満足されていることを確認しなければなりません。

 

6.

各運転点でのデータを採取後、現地における実際の性能をこれらのデータよりPTC-10 に規定された計算式により求めます。式の詳細についてはPTC-10, Section 5 "Computation of Results" を参照ください。

 

以上、メーカーにおける遠心コンプレッサーの性能試験における基本的な留意点を紹介しました。実際の試験では上記以外に多くの留意点がありますので、まずはPTC-10 を一読されることをお奨めします。


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