ISO9001/ISO14001規格改訂の最新動向〜FDIS解説


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ISO(国際標準化機構)において、品質マネジメントシステムのISO9001:2008、及び環境マネジメントシステムのISO14001:2004の改訂作業が、共に2015年9月の発行を目標に、最終段階を迎えております。
14001のFDIS(最終国際規格案)は2015年7月2日、9001のFDISは、2015年7月9日に回付されました。
FDIS14001の投票期間は2015年7月2日〜2015年9月2日、FDIS9001の投票期間は2015年7月9日〜2015年9月9日となっています。
投票終了後、2015年9月中に両規格ともISの発行、JISは2015年内の発行を予定しています。
本稿では2015年7月に発行されたFDISに関して、DIS(国際規格原案)からの主な変更点をお伝えします。

ISO9001改訂情報
2014年11月のアイルランドでの会議、及び2015年2月のリトアニアでの会議で、DISに対するコメント(約3,000件)を基に議論がなされ、FDISの発行に向けた処理が行われました。
 

ISO9001から用語の定義(箇条3)はなくなり、ISO9000(品質マネジメントシステム - 基本及び用語)が引用規格(箇条2)になりました。
要求事項に関しては、DIS版から大きな変更は無いようですが、以下の点が変化した部分です。

箇条4「組織の状況」

 

 

 

箇条4.1「組織及びその状況の理解」の注記に「課題には、考慮の対象となる、好ましい要因又は状態、及び好ましくない要因又は状態が含まれ得る」が追加されました。
箇条4.3「適用範囲の決定」では、適用範囲に関する文書化した情報として、QMSの対象となる「製品及びサービス(products and services)」が「製品及びサービスの種類(the types of products and services)」になりました。また、適用しない条件に「顧客満足の向上に影響を及ぼさないこと」が追加されました。
箇条4.4「品質マネジメントシステム及びそのプロセス」が4.4.1と4.4.2に分割されました。


箇条5「リーダーシップ」

 

 

箇条5.1.1の表題が「一般」になり、a)からk)まであった要求事項のb)とc)が合体され、a)からj)までとなりました。(14001と整合されました)
箇条5.1.2「顧客重視」の「c) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供することが重視され続けている」が削除されました。
箇条5.2.1と箇条5.2.2にそれぞれ以下の表題がつきました。
箇条5.2.1「品質方針の策定」
箇条5.2.2「品質方針の伝達」


箇条6「計画」

箇条6.1.1「リスク及び機会への取組み」に「b) 望ましい影響を増大する。」が追加されました。
箇条6.1.2に「機会」に関する効用が注記に追加されました。
箇条6.2.1の品質目標の”文書化された情報”は、保持(retain)から維持(maintain)に変更されました。


箇条7「支援」

 

 

 

 

 

 

箇条7「支援」 箇条7.1.4「プロセスの運用に関する環境」の注記に、環境への要因として、a) 社会的要因、b) 心理的要因、c) 物理的要因に関するそれぞれの具体例が追加されました。
箇条7.1.5は、7.1.5.1(監視測定にかかわる一般的な要求事項)と箇条7.1.5.2(トレーサビリティが要求される場合)に分割され、それぞれ以下の表題がつきました。
箇条7.1.5.1「一般」
箇条7.1.5.2「測定のトレーサビリティ」
箇条7.1.6は、注記1の説明が具体的になりました。
注記1 組織の知識は、組織に固有な知識であり、それは経験によって得られる。それは、組織の目標を達成するために使用され、共有される情報である。
箇条7.4「コミュニケーション」に「e) コミュニケーションを行う人(who communicates)」が追加されました。


箇条8「運用」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箇条8.1のe)項で要求している”文書化した情報”が、保持(retaining)から保管(keeping)に変更されました。
また、注記に「”保管”とは、文書化した情報を維持(maintaining)し、かつ、保持(retaining)することを意味している。」と補足されました。
箇条8.2の表題が「製品及びサービスのための要求事項の決定」から「製品及びサービスの要求事項」に変更されました。
箇条8.2.2「製品及びサービスに関連する要求事項の決定」で、顧客(customer)には潜在顧客(potential customer)が含まれるということから、潜在顧客の”潜在”が削除されて、顧客となりました。
箇条8.2.3「製品及びサービスに関連する顧客要求事項のレビュー」は、8.2.3.1と箇条8.2.3.2(文書化した情報)に分割され、終段の「変更」に関しては、箇条8.2.4「製品及びサービスに関する要求事項の変更」が新設されました。
箇条8.3.1「一般」の注釈は、内容の意図するところが明確でないために削除されました。
箇条8.3.3「設計・開発へのインプット」の以下の2つの項目が、8.3.2に移動されました。
d) 製品及びサービスの設計・開発に必要な内部資源及び外部資源
f) 利害関係者によって期待される、設計・開発プロセスの管理レベル
また、箇条8.3.3に設計・開発のインプットの文書化した情報の要求が追加されました。
箇条8.3.4「設計・開発の管理」に以下の2つの項目が追加されました。
e) レビュー、又は検証及び妥当性確認の活動中に明確になった問題に対して必要な処置をとる。
f) これらの活動についての文書化した情報を保持する。
箇条8.3.6「設計・開発の変更」に文書化した情報として具体的な事項が列挙されました。
a) 設計・開発の変更
b) レビューの結果
c) 変更の許可
d) 悪影響を防止するための処置
箇条8.4.2の表題が「外部からの提供に関する管理の方式及び程度」から「管理の方法及び程度(Type and extent of control)」に変更されました。
箇条8.5.1「製造及びサービス提供の管理」に「g)ヒューマンエラーを防止するための処置を実施する」が追加されました。
箇条8.5.5「引渡し後の活動」の引渡後の考慮事項は4項目から以下の5項目となりました。
a) 法令・規制要求事項
b) 製品及びサービスに伴って起こり得る、望ましくない結果
c) 製品及びサービスの性質、用途及び意図した耐用期間
d) 顧客要求事項
e) 顧客からのフィードバック
また、「製品及びサービスに関連するリスク」という表現はなくなったので、箇条6.1以外では「リスク」という用語を使用しなくなりました。
箇条8.5.6「変更の管理」の変更(changes)については、計画していない(unplanned)に限定することはないという理由から、計画していない変更の”計画していない”が削除されて、変更となりました。
箇条8.7の表題が「不適合なアウトプットの管理」に変更され、8.7.1と8.7.2(文書化した情報)に分割されました。


箇条9「パフォーマンス評価」

 

箇条9.1.1「一般」は、b)の”該当する場合には(as applicable)”が削除されました。
箇条9.1.2「顧客満足」は、顧客の”要求事項(requirements)”が”ニーズ及び期待(needs and expectations)”に変更されました。
箇条9.3「マネジメントレビュー」は、以下の3部に分けて構成し直されました。
箇条9.3.1「一般」
箇条9.3.2「マネジメントレビューへのインプット」
箇条9.3.3「マネジメントレビューからのアウトプット」


箇条10「改善」

箇条10.2.1「不適合及び是正処置」は、「e) 必要な場合には、計画の策定段階で決定したリスク及び機会を更新する。」が追加されました。
また、注記1と注記2が削除されました。


ISO14001改訂情報
2015年2月2日〜7日に開催された東京会合では、DISに対するコメント(約1,400件)のうち、箇条4と箇条6の部分に関して処理が行われ、2015年4月20日〜24日に開催されたロンドン会合では、箇条4と箇条6以外の箇条に関して処理が行われました。

 

箇条6「計画」の詳細箇条の構成が変更された以外は、DIS版から大きな変更はありません。
以下の点が変化した部分です。

箇条1「適用範囲」

3つの”意図した成果”に軽微な変更がされました。
・環境パフォーマンスの向上(enhancement of environmental performance) → (同じ)
・順守義務への適合(comforming to compliance obligations) → 順守義務を満たすこと(fulfilment of compliance obligations)
・環境目標を満たすこと(fulfilment of environmental objectives) → 環境目標の達成(achievement of environmental objectives)


箇条2「引用規格」

引用規格はなく、変更ありません。


箇条3「用語及び定義」

 

”リスク及び機会”が追加されました。
・リスク及び機会:潜在的で有害な影響(脅威)及び潜在的で有益な影響(機会)
他に、以下の用語の定義に変更がありました。
・環境マネジメントシステム:マネジメントシステムの一部で、環境側面をマネジメントし、順守義務を満たし、リスク及び機会に取り組むために用いられるもの。
・順守義務:組織が順守しなければならない法的要求事項、及び組織が順守しなければならない又は順守することを選んだその他の要求事項。
・ライフサイクル:原材料の取得又は天然資源の産出から、最終処分までを含む、連続的でかつ相互に関連する製品(又はサービス)システムの段階群。
注記:ライフサイクルの段階には、原材料の取得、設計、生産、輸送/配送(提供)、使用、使用後の処理及び最終処分が含まれる。


箇条4「組織の状況」

 

箇条4.4「環境マネジメントシステム」の前文が「環境パフォーマンスの向上を含む意図した成果を達成するため、組織は、この規格の要求事項に従って・・・」となりました。
また、後文が「環境マネジメントシステムを確立し維持するとき、組織は、4.1及び4.2で得た知識を考慮しなければならない。」となりました。


箇条5「リーダーシップ」

 

箇条5.2「環境方針」で、環境方針の伝達は、”組織の管理下で働く人々を含め”が削除されて、”組織内に伝達する”となりました。


箇条6「計画」

 

 

 

 

 

 

箇条6.1の表題は、「脅威及び機会に関連するリスクへの取組み」から「リスク及び機会への取組み」に変更され、附属書SLの表題と同じになりました。
箇条6.1.4「脅威及び機会に関連するリスク」が箇条6.1「脅威及び機会に関連するリスクへの取組み」に統合されたために、箇条6.1の詳細箇条は6.1.1から6.1.4までとなり、表題は以下となりました。
箇条6.1.1「一般」は変更ありません。
箇条6.1.2「著しい環境側面」から「環境側面」に変更されました(「著しい」がなくなりました)。
箇条6.1.3「順守義務」は変更ありません。
箇条6.1.4「取組みのための計画策定」から「取組みの計画策定」に変更されました。
また、箇条6.1.3「順守義務」に「c) 環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、継続的に改善するときに、これらの順守義務を考慮に入れる。」が追加されました。


箇条7「支援」

 

 

箇条7.2「力量」の1行目の「組織の環境パフォーマンスに影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を決定する。」が「組織の環境パフォーマンスに影響を与える業務、及び順守義務を満たす組織の能力に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を決定する。」となりました。
箇条7.5.1「文書化した情報」の注記以下の文書化した情報の程度が異なる理由として、以下が追加されました。
・順守義務を満たしていることを実証する必要性(the need to demonstrate fulfilment of its compliance obligations)


箇条8「運用」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箇条8.1「運用の計画及び管理」でライフサイクルの視点に従って、行わなければならない事項に、以下が追加されました。
a) 必要に応じて、ライフサイクルの各段階を考慮して、製品及びサービスの設計及び開発プロセスにおいて、環境上の要求事項が取り組まれていることを確実にするために、管理を確立する。
箇条8.2「緊急事態への準備及び対応」で「手順」が「プロセス」に変更されました。(これにより、FDISからは「手順」が完全になくなりました)
箇条8.2に以下の2つの事項が追加されました。
a) 緊急事態からの有害な環境影響を防止又は緩和するための処置を計画することによって、対応を準備する。
f) 必要に応じて、緊急事態への準備及び対応についての関連する情報及び教育訓練を、組織の管理下で働く人々を含む関連する利害関係者に提供する。
以下の事項はは削除されました。
c) 環境上の緊急事態及び事故の発生を防止するための処置をとる。
また、箇条8.2には、文書化した情報の維持が要求されるようになりました。


箇条9「パフォーマンス評価」

箇条9.2.1と箇条9.2.2にそれぞれ以下の表題がつきました。
箇条9.2.1「一般」
箇条9.2.2「内部監査プログラム」


箇条10「改善」

詳細箇条は、3部に分けて構成し直されました(ISO9001と同じになりました)。
箇条10.1「一般」
箇条10.2「不適合及び是正処置」
箇条10.3「継続的改善


以上の内容は、IS版で変更される可能性がありますので、あくまでFDIS版の情報としてご理解下さい。
 

システム認証事業本部 小西直人


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