製品規制のグローバル潮流(事例編)
〜バッテリ、廃電気電子機器、有害物質含有制限、エコデザインの成り立ちと最近の動向


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2012年よりビューローベリタスとパートナーシップを結ぶEnhesa(エンヘサ)社が執筆する、「海外における法規制」に関する記事を連載しています。

 

現在、世界中で上市、販売されている製品には、各国において様々な環境規制が課されていますが、全くのゼロベースから起草、導入された法令というのは、 実はあまり多くはありません。多くの場合、特定の課題についてある国で規制の枠組みや法案が起草され、独自の試みとして他国に先駆けて導入されます。 むろん、規制としての効果が出なければ、その試みは自然と忘れ去られていきます。反対に、規制の効果が示されれば、国際的な注目を浴び、他国での規制 制度設計にも大きな影響を与えるのです。ある意味、規制が国境を越えて「コピー」されていく状況において、実際、その規制は多国間で同一あるいは似た ようなものになるものでしょうか?

前号に引き続き、以下11の代表的な分野からバッテリ(電池)、廃電気電子機器(WEEE)、有害物質含有制限(RoHS)、エネルギー使用製品のエコデザイン(EuP)の 成り立ちを整理し、併せて最近の動向を紹介します。

1. オゾン層破壊物質
2. エコラベル/エネルギースター/環境性能表示
3. 容器包装廃棄物
4. バッテリ
5. 廃電気電子機器(WEEE)
6. 有害物質含有制限(RoHS)

7. エネルギー使用製品のエコデザイン(EuP)
8. REACH - 化学物質登録/審査
9. 地球温暖化ガス
10. 紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)
11. ナノテクノロジー


4.バッテリ(電池)

バッテリ規制は、重金属の含有制限と回収リサイクルの推進を目的として開始されました。EUでは1991年3月18日に廃電池指令91/157/EECが採択され、 米国でも多くの州においてバッテリが規制の対象とされています。さらに、1996年5月13日には、蓄電池メーカーや機器メーカーによるニカド電池および 小型シールド鉛蓄電池の回収・リサイクルを促進するために、米国連邦議会が水銀含有及び蓄電池管理法を採択しました。現在ではアジアや中南米の 複数の国が同様の取組みに手をつけています。

【規制目的】地域限定的な廃棄物管理
【規制内容】化学物質制限・その他の設計要件、上市規制、表示義務、金銭的措置、報告義務
【影響を受ける製品】電池、電池を搭載する機器
【規制の広がり】EU全域、北米。アジア・中南米で拡大中
【スケジュール】対象となる電池・製品を徐々に拡大しながら拡散中

【最近の動向】
トルコ:通知2014/15の対象となる電池および蓄電池の輸入者は、環境省より環境適正認証(Cevre Uyum Belgesi)を取得しなければなりません。通知対象 外の電池・蓄電池の輸入者は、TAREKS番号232013015773484を提示することで、税関当局に対して、規制対象外である旨を宣言することができます。

米国ウィスコンシン州:ウィスコンシン州法305(2013年)により、特定の鉛蓄電池を販売する企業は、2014年4月より10ドルのデポジットを収めなければなりません。このデポジット金額は、最終処理場や水系における廃電池の廃棄を防止する電池リサイクルプログラムの運営に要した実費に応じて、増加する可能性があります。

5.廃電気電子機器(WEEE)

容器包装廃棄物に対する規制の成功を受け、廃電気電子機器にも同様のアプローチが採られました。スイスが1994年に自主回収の枠組みを開始すると、 すぐにオランダ、ベルギー、スウェーデン、ノルウェーが、業者による回収義務を定めることで続きました。これらのイニシアチブは後にWEEE指令(2002/96/EC) に結実し、EU全域に広がりました。容器包装の場合と同様に、加盟国での導入に際しては、規制対象製品や除外製品、費用、報告義務などについて、 多くの細かなバリエーションが存在しています。また、アジアでも多くの国が同様のイニシアチブを導入し、この数年間に中南米にも拡散しています。 同様の規制は米国やカナダの州にも拡がりをみせています。

【規制目的】地域限定的な廃棄物管理
【規制内容】設計要件、上市規制、表示義務、金銭的措置、報告義務
【影響を受ける製品】ほとんどの電気電子製品(国による多少の差異あり)
【規制の広がり】EU全域、アジア・中南米諸国、北米の州レベルに拡散中、アフリカ大陸で初の制度導入あり
【スケジュール】EUの2016年、2019年、2020年ロードマップに呼応して拡大中

【最近の動向】
韓国:17種類の電気電子機器を10億ウォン相当以上販売する製造業者と3億ウォン相当以上販売する輸入業者は、2014年1月1日以降、リサイクル達成率に 応じて廃機器をリサイクルしなければなりません。

EU:プラスチック含有製品やプラスチック容器を上市する企業には、廃電気電子機器(WEEE)、廃自動車を含む様々なプラスチック廃棄物の回収・分別・ リサイクルの必須達成率が課される可能性があります。さらに、プラスチック製造業者は、有害プラスチックと特定のプラスチック袋の使用が2020年まで に禁止される可能性に備えておく必要があります。これらの政策に関する助言が、2014年1月に欧州議会で採択された「環境におけるプラスチック廃棄物に 関する欧州戦略」の中で提唱されています。

また、EU加盟国は、対象製品の拡大やより高い回収リサイクル率目標を掲げた改正WEEE指令(2012/19/EU)を、2014年2月14日までに国内法に導入しなければ なりませんでした。2016年から2018年末の間には、少なくとも45%の製品が回収されなければなりません。2019年からは、直前3年間に上市された電気電子 機器の平均重量の少なくとも65%の回収、または製造された電気電子機器の85%の回収が義務付けられます。

ブラジル:2014年3月19日、連邦議会の固形廃棄物小委員会は、国家固形廃棄物政策に規定されているリバースロジスティクスに関して、業界ごとの官民合 意形成を議論するため、パブリックコンサルテーションを開始しました。リバースロジスティクスを推進するにあたって、政府はまず5つの業界(ランプ及び 電気電子機器、電池、農薬、タイヤ、潤滑油)のそれぞれと合意をまとめることを優先し、合意に至らない場合にのみ全社に適用される規制を導入する方針で 進めています。現在のところ、企業に直接規制が課されることはありませんが、企業としては、今後各業界が政府と合意した事項を遵守する必要があります。

コスタリカ:2014年9月24日より、廃棄時に特別管理廃棄物とみなされる物品の製造業者及び輸入業者は、特別管理廃棄物の適正な処理を監視するコンプラ イアンス・ユニット(企業団)を2社以上により組織し、衛生省に登録しなければなりません。特別管理廃棄物にはエアコン、白物家電、時計用電池などがあり、 今後対象製品の拡大が予測されています。また、これらの企業は、自社製品の製品サイクルの各ステージにおける廃棄物管理プログラムと具体的な対策を 規定した、コンプライアンス計画書を作成しなければなりません。

6.有害物質含有制限(RoHS)

電気電子機器における含有有害物質の制限を導入した最初のケースは、オランダで1999年に採択されたカドミウム規制であると言えるでしょう。このカドミウム 規制により、ケーブルに規定以上のカドミウムが含有されているとして、SONYが2001年12月にプレイステーション2の大々的なリコールを命じられたことで、 メディアの大きな注目を浴びました。オランダ税関は、180百万ユーロ相当とされる130万個のゲーム機と80万のアクセサリー・パックを押収しました。 2003年2月にEUで採択されたRoHS指令は、このアプローチを6の有害物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDE)に拡大して電気電子機器に適用しました。 2006年7月1日までには、RoHS指令がEU全域に導入されました。2011年には改正RoHS指令(2011/65/EU)が採択され、制度がより洗練されると共に、禁止対象物質を 拡大する道が開かれました。

【規制の目的】地域限定的な廃棄物管理
【規制内容】化学物質含有制限、上市制限、表示義務
【影響を受ける製品】ほとんどの電気電子機器
【規制の広がり】ヨーロッパ全土、アジアの数カ国、その他地域の複数の国・州
【スケジュール】さらなる対象の拡大と地域的な広がりが予想される

【最近の動向】
韓国:16種類の電気電子機器の製造業者と輸入業者は、2014年7月1日より有害物質制限の対象となっています。

ロシア:ロシアとその関税同盟国に適用される電気電子機器の有害物質含有を制限する技術規則案が、2014年3月から5月までパブリックコンサルテーションに かけられました。技術規則案では、ロシアと関税同盟国の規制とEUの改正RoHS指令の調和を目指していますが、適用除外品目に相違があるなど、必ずしも同一 ではないことに注意が必要です。

ベトナム:2014年4月25日付指令No. 16/VBHN-BCTにより、電気電子機器の製造業者と輸入業者は、自社製品に指定有害物質が規定値以上含まれていないことを 証明する検査認証を取得する必要があります。

EU:禁止対象物質への追加が検討されてきた難燃剤のHBCDD、フタル酸エステル類のDEHP、BBP、DBPに加え、DIBPを対象に加えることが検討されています。

7.エネルギー使用製品のエコデザイン(EuP)

2005年、EUはエネルギー使用製品のエコデザイン要件を定める枠組みとして指令2005/32/EC(EuP指令)を採択しました。この指令は、製品設計の早い段階から 体系的に環境側面を考慮することで、製品のライフサイクルを通じてエネルギー・環境性能を高めることを狙いとしています。エネルギー効率が最も低い製品を 段階的に市場から排除しようとする一方、エネルギーラベルによって消費者がよりエネルギー効率が高い製品を選ぶことを推進しています。2012年までには 合計で18の製品群を対象とした37の予備調査が開始され、具体的な製品タイプに対する17の導入措置(12のエコデザイン規制と5のエネルギーラベル規制)が採択 されました。2014年7月の段階では、コンピュータ、テレビ、電気モーター、冷蔵庫・冷凍庫、エアコンなどの21の製品群について、エコデザイン基準が設定 されています。2015年から2017年の実施計画を作成するため、調査は引き続き実施されており、ヘアドライヤー、映像機器、携帯電話とスマートフォン、 エレベーターやエスカレーターなど、さらに28の製品群に基準が設定されると見込まれています。

【規制の目的】グローバル及び地域的、廃棄物、エネルギー使用、騒音
【規制内容】設計要件、上市制限、表示義務
【影響を受ける製品】エネルギー使用機器
【規制の広がり】ヨーロッパ
【スケジュール】対象製品と規制内容が急速に拡大中

【最近の動向】
EU:2015年2月20日以降にEU市場に上市されるオーブン、ホブ、レンジフードは、最低限の省エネ要件を満たしている必要があります。この省エネ要件は 段階的に厳しくなります。また、2015年7月1日以降にEU市場に上市される小型、中型、大型電力変圧器は、2014年6月12日改訂のエネルギー効率新基準に適合 している必要があります。全ての型の電力変圧器は最低限のエネルギー性能を満たし、製品情報と技術文書の提供義務を遵守しなければなりません。

次号では、化学物質登録/審査(REACH)、地球温暖化ガス、紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)、そしてナノテクノロジーについて紹介します。

Enhesa社 宮田祐子


当記事は Going Green - CARE Innovation 2014, Vienna に提出され採用されたComparative assessment of present legislation and policies (Thierry Dumortier, Cecile Baudon and Yuko Dvorak-Miyata著) を、共著者の責任で要約し翻訳したものです。

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