Case Study: 株式会社竹田鉄工所


海外取引に不可欠なJISQ9100認証
中小企業にこそ、認証取得は大きな武器になる


株式会社竹田鉄工所(岡山県備前市)
http://takeda-tekko.co.jp/


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ガスタービンからジェットエンジン部品へ
岡山県の東端に当たる備前市にある竹田鉄工所は、船の焼玉エンジンの設計製作から始まったものづくり企業だ。数年前までは船の部品も多くつくっていたが、近年ではエネルギー関連(主に大型発電機用)の大型部品づくりをよく手掛けている。
中でも得意な製品の1つにガスタービンがある。1メートル以上の直径をもつ円形のこの大きな部品を、1回の発注で15〜16枚つくる。このことからも分かるように、多品種少量生産ができる体制と大型の製作機械が必要となる業種だ。
JISQ9100認証の取得は、ガスタービンと形状がよく似ていることから、ジェットエンジン部品の製作ができないかという大手メーカーの引き合いがあったことがきっかけとなった。その引き合いの大元であった海外の航空機メーカーが、部品メーカーにJISQ9100認証の取得を要求してきたのだ。
ちょうどその頃、別の国内取引先からも、ISO9001認証の取得を求められていた。そこで同社では、2つの認証の同時取得に挑戦することを決めた。
「3〜4カ月間、同時取得を目指して走ったのですが、初めての認証取得で2つを同時取得するのはやはり無理がありました」と、品質管理者で認証担当の坂井善範さんは苦笑する。「それでどちらか1つに絞ることになったのですが、これからのうちの方向性を考えて、航空宇宙産業で国際的に認められた品質マネジメントシステム規格であるJISQ9100の認証を取得しようという結論になりました」(坂井さん)。



現場を説得した4つのポイント
しかし、ISO認証の取得経験が無いまま、いきなりJISQ9100認証の取得に挑戦するのはやはりかなり高いハードルだった。しかも同社にはとびっきりの職人気質の従業員が多い。アシスタントとの2人体制で取得への準備を任された坂井さんは、慣れない必要書類の整備と、書類嫌いの従業員の説得に懸命の日々を送った。「正直なところ、一番大変だったのは現場スタッフの説得だった」と坂井さんは言う。中には「こんなに書類が増えたら作業効率が落ちて利益に響く」と明快な反対理由を述べてくるスタッフもいた。
そうした現場の声を和らげたものが4つあった。
1つは、認証取得が、強いリーダーシップを発揮する竹田喬二社長によるトップダウンの指示だったこと。
2つ目は、坂井さんが現場で叩き上げた職人の出自だったことだ。「僕が元職人で、現場の気持ちや仕事の大変さを重々分かっていることを知っているから、最終的には納得し、協力してくれたのだと思います」。
3つ目は、半年に1度あるクライアントの現場監査が非常に厳しかったこと。その厳しさに毎回戦々恐々としていた現場は、坂井さんの「日頃からJISQ9100に基づいて仕事を進めていれば、クライアントの現場監査にも不安なく平常心で対応できるようになるはず」という言葉に反応した。
そして最後に、「認証を取得することで、今まで縁が無かった仕事を受注できる可能性が高くなる。よりハイレベルな仕事をしたくないか?」という呼びかけだった。自分の腕に自信と誇りを持ち、向上心が旺盛な同社の従業員に、この呼びかけは効を奏した。
次第に協力的な従業員も増え、セミナーなどに参加しながらJISQ9100に関する理解を深めていた坂井さんの努力の成果もあり、2012年5月、同社はISO認証取得経験無しにJISQ9100認証を取得するという離れ技に無事成功したのだった。


JISQ9100認証取得から始まる成長
認証取得後、社内はどのように変わったのだろうか。
まず、工場内がきれいになった。次に出荷する製品がきれいになった。解説すると、同社は以前、粗加工品を手掛けることが多く、仕上げは納品先の工場で行われるため、多少汚れていても傷ついていても大丈夫という風潮があったのだが、仕上げ加工品が取り扱いのメインとなった今では、傷や異物残留などがあると不適合チェックを受けて差し戻されるケースもあるため、きれいに仕上げ、検査を経た上で、出荷されるようになったのだ。
また技術の継承がしやすくなったことも挙げられる。前述のように、同社は職人集団のため、「技術は身体で覚えろ。盗んで覚えろ」という傾向があり、聞いても開示されないことが多かった。しかし、マニュアルを作成するための取材を通してこの部分がかなり明文化された。これが次代の職人育成のガイダンスになることは間違いない。また、技術や情報が職人の手中にだけあった時代には、取引先から「トラブル時の仕様書は無いのか?!」と叱られることがあったが、手順やルールがマニュアルにまとめられた現在ではそういうことは無くなっている。
認証取得から3年が経ち、当初は「何が何だか分からず、教えてもらった通りにするのが精一杯だった」坂井さんも、今では「必要書類の見直しやシェイプアップを通じて、現場の負担を軽減しつつ効果をさらに高めることを考えている」というレベルにまでに経験を積み、認証取得セミナーのゲストスピーカーを担当することもある。
そんな坂井さんに、認証をまだ取得していない企業、もしくは取得を迷っている企業へのメッセージを聞いてみた。
「認証は、知名度が既にある大企業よりも、自分たちをアピールしていく必要がある中小企業にこそ有効なツールだと思います。認証を持っていることで大きな仕事が取れる可能性が出てきて、大きな仕事を取れば、今度はそれをアピールしてさらに大きな仕事を取ることができます。こうした成長のスタートのところにあるのが認証です。ですから技術に自信のある中小企業は、ぜひ認証取得に取り組まれることをお勧めします」。
リアリティと含蓄の両方を感じるメッセージだ。


(2014年9月11日取材)
 

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