Case Study: 株式会社ペリカン石鹸


OEM監査に同期し、信頼性を高めるために
自主基準GMPから第三者認証ISO22716へ


株式会社ペリカン石鹸(東京都港区)
http://www.pelicansoap.co.jp/


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製造ラインの追加がきっかけ


創業70年近くの歴史をもつペリカン石鹸。大ヒット商品の「泥炭石」や、「ファミリー石鹸シリーズ」などのオリジナルブランドのほかに、大手百貨店や化粧品メーカー、有名ファッションブランド、高級ホテル向けのアメニティ用石鹸のOEMも手掛けている。
月産150万〜180万個。あちらこちらで見かける石鹸は、実はペリカン石鹸製である確率はかなり高いかもしれない。
こんな同社が、それまで使っていたISO9001からISO22716へ認証を変更することを決めたのには、大きく2つの理由がある。
まず1つ目の理由は、2007年にそれまで2ラインだった製造ラインを3ラインに増やしたことだ。「2ラインであれば真ん中に立って目を光らせて、おかしいと思うことがあれば大声を出せば製造スタッフに届いていましたが、3ラインになるとそれでは追いつかなくなりました。

その結果、現場のよりどころとなるマネジメントシステムが必要になったのです」と言うのは、工場長の宮田誠さん。
もちろんそれまでも、同社にはISO9001に基づくマネジメントシステムがあった。しかし「大局的な品質管理マネジメントシステムであるISO9001では、どうしてもカバーしきれずあいまいになってしまうところがあり、その部分の対応をどうするかということは、以前からの課題でした」と、向井博之生産管理部長は言う。2ラインの時代には管理職がカバーしていたのだが、3ラインになるとカバーしきれないという問題が出てきたのだ。

ISO9001とGMPのギャップ


ISO9001からISO22716への乗り換えが望まれたもう1つの理由は、同社がOEMを受注しているクライアントの監査との関わりにある。
同社では今、平均月に1度の割合でクライアントの監査を受けている。そのクライアントの多くが、監査基準を、薬事法に基づいて厚生労働大臣が定めた、医薬品等の品質管理基準であるGMP(Good Manufacturing Practice)に置いているのだ。当然、クライアントはGMP基準で監査を行う。その際に受審側がISO9001基準で対応すると、どうしても違和感が残るのだ。
その調整のために読み替えなどを行うのだが、「手間が大変なわりにはしっくりしない感じがする。お客様からはだからGMPを導入すればいいんだと言われるし、監査を受けるたびに不安とフラストレーションを感じていました」と、小森良太製造部次長は当時を振り返る。
物差しの違いから生まれる隙間がなかなか埋まらない状態は、現場としてはさぞ不本意だったことだろう。その結果、「製造部門に特化したマネジメントシステムでやりたい」という気持ちが、次第に高まっていった。
しかし一方で、スタッフ、特に管理職たちは、マネジメントシステムが単なる自主基準ではなく国際基準に基づいていることや、第三者による認証を受けていることの重要性を、今までの経験を通じて充分に理解していた。「やはり年に一度の外部審査があるISOマネジメントシステムであることは大事だと、それはみんな感じていたんです」と品質管理部顧問の松田八士さんも言う。
そこで浮上したのが、化粧品に特化したISO規格であるISO22716への変更だった。業界の生き字引的存在である松田さんが、「日本の化粧品連合会がISO22716を業界基準として採用している」という情報を入手していたことや、社長が「やればいい」と快諾してくれたことも、ISO22716認証取得の気運を高めた。

顧客満足、意識向上、監査の省力化


ISO22716認証取得を決めた同社では、生産管理部の向井部長と製造部の小森次長を中心に、認証機関のサーチが行われた。ISO22716への対応が可能な認証機関はあまりなく、同社のクライアントである大手メーカーがビューローベリタスの審査を経てISO22716認証を取得していたことが決定打となり、ビューローベリタスが認証機関に選ばれた。
そして2013年春にキックオフ、その年末に受審、ISO22716を認証取得したのである。
取得後半年が過ぎた今、現場はどのように変化したのだろうか。「ISO9001に基づく品質マネジメントシステムでは描けなかった絵が、描けるようになりました」と言うのは向井博之生産管理部長。小森良太製造部次長は「役割分担がはっきりして、グレーゾーンであいまいなまま何かを進めるということが無くなった」と感じている。「より使い勝手の良いツール(ISO22716)を得たので、これを使って何をしようかというアグレッシブな気持ちが生まれました」とも。
気持ちの面だけでなく、具体的なメリットも生まれていると。例えば、クライアント側とチェック項目が同期したので、現場監査が免除され書面監査だけでOKになった部分も多く、監査にかかる手間やエネルギーが軽減された。ISO審査に対する従業員の考え方や姿勢にも変化が生まれた。「以前は、ISO審査員に指摘を受けたくない、何かを言われたらどうしよう、という対抗意識が強かったのですが、最近では、ありのままを見せて悪いところを指摘してもらい、改善することが大事で得だという風潮に、自分自身も含めて変化しつつあります」と宮田工場長は言う。
それゆえ、「ISO審査員もそういう気持ち、つまりどういう審査や指摘をすればペリカン石鹸がもっと良くなるかという視点で審査を実施して欲しい」と言う。
今後の課題としては、現場のラインで働く人にももっとISO22716を自分ごととして意識してもらうこと、そして使いこなしてもらうことが挙げられる。
「実はISO審査はそのための絶好のチャンスです。ISO審査員には、ぜひ現場の従業員へのインタビューを通じて、『これはあなたの問題なんですよ』と実感させて欲しい」と松田八士顧問は、ISO審査への期待を語る。
クライアントの満足度アップ、従業員のモチベーション向上、監査の省力化など、業種と現場にフォーカスしたマネジメントシステムがもたらしたものは大きいようだ。

(2014年7月30日取材)
 

ビューローベリタスのサービス
  ISO22716 化粧品GMP(優良製造規範)
 
品質マネジメントシステム認証(ISO9001)

 

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