ISO14001:2015の改訂動向

1.ISO改訂の流れ
国際標準化機構(ISO)では、国際規格が所定の段階を踏んで策定・改訂されています。表1は、2015年に大幅な改訂が予定されているISO14001の改訂スケジュールです。

表1:ISO14001の規格改訂スケジュール

名称()

名称()

予定

CD (Committee Draft)

委員会原案

20133月発行

DIS(Draft International Standard)

国際規格原案

2014628日発行

FDIS(Final Draft International Standard

最終国際規格原案

20154月発行予定

IS(International Standard)

国際規格

20156月発行予定

2014年8月現在、国際規格原案(DIS)の段階にあります。このDISに対して、8月28日から11月28日まで、コメントの募集及び投票が実施されます。その結果をもとに2015年2月に開催が予定されている東京会合で、最終国際規格原案(FDIS)への移行が検討される予定です。現時点では、最終国際規格原案(FDIS)発行は2015年4月、国際規格(IS)は2015年6月の発行が計画されています。

2.DISの特徴

現在のDISの特徴は次の通りです。

(1)Annex SL対応
並行して改訂が進められているISO9001と同様、基本的にAnnex SLに準拠した形で開発が進められています。これにより、以下の内容が、ISO14001にも反映されています。
a) 組織及びその状況の理解(4章)
組織にとって、マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力に影響を及ぼす外部及び内部の課題を決定することを要求しています(4.1項)。また、利害関係者等のニーズや期待も決定することを要求しています(4.2項)。
b) リスク及び機会に対処する活動(6章)
上記a)にて決定した課題を考慮して、リスク及び機会を決定し、その計画の作成、有効性の評価を要求しています(6.1項)。従来からある「目的、目標及び実施計画」については、この条項の中で要求されています。
c) 運用の計画及び管理(8章)
8章の運用の計画及び管理では、6章で決定した活動を実施するために必要とされるプロセスの計画、実施、および管理が要求されています。ここでは、QMSでも要求されていた、外部委託したプロセスの決定及び管理も要求されています(8.1項)。また、「緊急事態への準備及び対応」が、この章に含まれています(8.2項)。
d) 監視、測定、分析及び評価(9章)
DISの内容では、6章、8章の活動について、監視、測定、分析、及び評価が要求されています。この章には、遵守評価および環境パフォーマンス評価が含まれています(9.1項)。また、マネジメントシステムの有効性の評価(DISでは、マネジメントレビューへのインプットが要求されている)も含まれています(9.3項)。
e) 予防処置の発展的解消
4章の「組織の状況の理解」、6.1章の「脅威及び機会に関連したリスクに対処する活動」により、予防処置の概念を網羅していると、説明されています。その活動は、8.1章にて、必要とされるプロセスの計画、実施、および管理に繋げて、運用することになります。

(2)CDからの変更点
委員会原案(CD)からDISへの主な変更点は、以下の項目となります。
a) 「リスク及び機会」の表現、「リスク」の定義
Annex SLの表現であった「リスク及び機会」という表現が、DISでは「脅威及び機会に関連したリスク」に変更されました。また、「リスク」の定義については、ISO31000との整合性がとられました。
b) 「バリューチェーンの管理」を「運用の計画及び管理」に統合
CDの8.2章には「バリューチェーンの管理」がありましたが、組織の事業プロセスに含まれるとの判断から、「バリューチェーンの管理」そのものの表現はなくなりました。 DISでは、8.1章の「運用の計画及び管理」に統合されました。
c) 手順の要求
8.2章の「緊急事態への準備及び対応」のみの、手順の要求となりました。
d) 附属書Aについて
組織に適用するための補足情報を含んだ、「附属書A」が、規格の利用の手引として、記載されています。
表2に2004年版とDISの関連性を示します。

表2:ISO14001:2015 DIS とISO14001:2004の対比表

ISO14001:2015 DIS

ISO 14001: 2004

1.適用範囲

1.適用範囲

2.引用規格

2.引用規格

3.用語及び定義

3.用語及び定義

4.組織の状況

4.1 一般要求事項

5.リーダーシップ

4.2 環境方針

4.4.1資源、役割、責任及び権限

6.計画

4.3 計画

7.支援

4.4 実施及び運用

4.5.4 記録の管理

8.運用

4.4.6運用管理

4.4.7緊急事態への準備及び対応

9.パフォーマンス評価

4.5.1 監視及び測定

4.5.2 遵守評価

4.5.5 内部監査

4.6 マネジメントレビュー

10.改善

4.5.3 不適合並びに是正処置及び予防処置

3.まとめ

ISO14001:2015の改訂作業は、ようやくDISとなりましたが、今後も、まだ注意する必要があります。それは、他のマネジメントシステムとの整合性を考慮した変更が生じる可能性があると思われる、ということです。
例えば、用語や整合性に伴う変更及び追加としては、ISO9001や他のマネジメントシステムでは「リスク及び機会」ですが、ISO14001は「脅威及び機会に関連するリスク」です。表現が違うことで良いか否か等、DISにおけるコメントが募集・投票されますので、まだ検討される可能性もあると思われます。

DISが発行された時点では、次のような点で現行規格との差異があると思われます。
・Annex SLの要求する内容(予防処置の発展的解消、リスクマネジメントの導入等)が構築され、運用されていることが求められています。
 −ISO9001と同様に、外部委託したプロセスについて、明確な管理が要求されている。
 −環境パフォーマンスの監視及び測定や、評価だけでなく、「分析」も要求されている。
 −マネジメントシステム自体の有効性の評価が要求されている。等
・CDの8.2章にあった「バリューチェーンの管理」は、簡素化した表現となり、8.1章の「運用の計画及び管理」に統合されました。

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