Case Study: 九州ペットフード株式会社

健康食品メーカーとしての責任感と、
近未来の海外進出も視野にいれて
FSSC22000
認証を取得。


九州ペットフード株式会社(福岡県粕屋郡)
http://www.kyushupet.co.jp/

もの言えぬペットに対する責任

博多から電車で30分ほどの郊外にある工場
(福岡県粕屋郡)

「私たちはペットフードという名前の健康食品を作っていると自負しています」。九州ペットフード株式会社の岩田澄博社長は、開口一番にこう言った。
同社は、ジャーキーをはじめとするペット用のおやつを作っているメーカーだ。手に入る限りは国産材料を使い、自社工場のみで、さまざまなペットの間食商品を製造している。
驚くのはその工場内の様子。人のための食品工場に勝るとも劣らないレベルで厳重に管理されている。この厳しい管理体制の根底にあるのが、2012年に認証を取得したFSSC(*1)22000規格に準じたルール構築と環境改善だ。


各室への入退室はICカードで厳重管理

「認証は取ってからがスタート。名前だけの取得企業になるようなことがあっては意味がない」と言う岩田社長。その言葉は、現実となって工場内の隅々にまで行きわたっている。
完全防護の作業服と入場時のエアシャワーまではよくあるところだが、工場内の主要な部屋への立ち入りはICカードで管理され、開口部で不審な出入りがあるとたちまちアラームが作動して知らせる。


要管理ポイントにはCCPの札が

工場内の重要な設備や管理ポイントには「CCP(*2)」と大きく赤字で書かれた札が取り付けられていて、取り扱いのリスクを改めて意識できるようになっている。さらに備品はボールペンの1本まで員数管理されて、その置き場所も決められている。もし新規に必要に備品が出た場合は、勝手に持ち込むことはできず申請をして許可を得る必要がある。
ガラスは飛散防止ガラスに入れ替えられ、バインダーもプラスチック製か


製造釜には釜蓋が

ら割れないステンレス製のものに変えられた。また鶏肉ペーストを練る釜には蓋が取り付けられ、作業中の衛生確保や異物混入のリスクを排除するといった工夫が施された。これらはFSSC22000導入後に改善された点の一部である。

食品を扱う企業として、あらゆるリスクを徹底的に排除する責任がある。何か不都合があっても言葉で訴えることができないペット用の食品を扱うのであれば、なおさら厳しくリスク管理をしなくてはいけない。
同社の工場からは、そんな思いがひしひしと伝わってくる。

(*1)FSSC:Food Safety Systems Certification(食品安全システム認証)
(*2)CCP:Critical Control Point(重要管理点)

 

大手流通のOEMと輸出を見据えたFSSC22000認証取得
こんな同社とISO規格との歴史は、2003年のISO9001認証取得に始まる。その後、2009年に食品安全のためのマネジメントシステム規格ISO22000の認証を取得。2年後の2011年に産地から食卓までの安全を包括的に確保するトレーサビリティのマネジメントシステム規格ISO22005の認証を取得。そして2012年に、ISO22000と食品製造に関する一般的衛生管理の基準である英国規格協会のPAS220「食品製造における食品安全のための前提条件プログラム」を組み合わせたスキームであるFSSC22000の認証(以下FSSC認証)を取得した。
同社がこのように次々と上位の規格取得に取り組んだ最大の理由は、最初に紹介した岩田社長の言葉にもあるように、「わが社はエサのメーカーではない、家族の一員であるペットのための健康食品を作っている食品

  
    

ジャーキーを主流とする同社のバラエティ豊かな商品。

入手できる限り国産原料を使用することと添加物の軽減にこだわる

会社だ」という企業思想を裏付けるためだ。

なかでも厳しいFSSC認証の取得を決めたきっかけとなったのは、岩田社長が、さる大手流通企業の社長が、「今後うちのプライベートブランドを作る会社は、FSSC認証を取得していることが条件だ」と言ったのを聞いたことだった。この時、大手流通企業の社長が言った「プライベートブランド」とは人間用の食品のことだったが、日ごろ自社製品の品質を「人間用の食品と同じ」とうたっていた岩田社長は、「この要求はペットフードにも適用されてしかるべきだ」と思ったという。「それで帰社してすぐにFSSC認証を取れ!と社内に言明しました」と言う。この読みは当たり、実際にFSSC認証取得後に、それを高く評価した大手企業のOEMの商談が成立した。いま工場ではその商品を日々順調に製造、出荷している。
この話の先にはもうひとつ見据えられているものがある。それは輸出対策だ。国内市場は少子高齢化で頭打ちになることが見込まれることから、今後は海外進出することが必要だと考えているのだ。「そのときに国際規格であるFSSCの認証は、きっと頼もしい武器になるはずなのです」と岩田社長は言う。認証機関にビューローベリタスを選んだのも、グローバル展開を予測してのことだ。
 

改善提案には100%即OKを出す

もう一つの大きな取得理由は、「信頼できる企業と認められたかったから」だと岩田社長は言う。というのも、当初5人でスタートした同社は、最初なかなか家業のイメージから脱却できなかった。そこで岩田社長はISO認証を取得することで、「家業から企業へ」のイメージチェンジと、企業としての信頼性を証明したいと考えた。「もちろん取得するだけではダメだと思っていたので、取得にかなう中身にすべしと、従業員たちに檄を飛ばしました」。


備品の勝手な持ち込みは禁止!

檄を飛ばすだけでなく、岩田社長は、現場からあがってくる改善要求に対しては100%すぐにOKの決済をすることを自分に課している。
その結果、工場内の環境は速やかに着実に改善され、リスクが排除されると同時に、スタッフの働きやすさも増している。

たとえば、各自に5枚ずつ与えられている作業服は、それまでは各自が持ち帰って洗濯していたが、FSSC認証取得後はそれを就業後に毎日クリーニング業者に出すシステムに変えた。

待機する原料に水や埃
がかかりにくいように、
ステンレスの囲いを設置

こうすることで「毎日洗い立ての清潔な作業服で作業をする」というルールが確実に実行されるようになるというわけだ。

工場内の照度や温度もルールに従って一定に管理され、見落としなどのミスを防ぎ、快適に作業ができる環境を整えた。
また私物の持ち込みも厳しく制限・管理しているが、水筒の持ち込みを禁止したときには、代わりに給水器を備え付けて不便がないようにしている。
「ただ厳しく締め付けて禁止事項ばかりを増やしても効果も効率も上がりません。大きな投資が要ることは少し時間がかかるにしても、少しの金額と工夫でできることは速やかに改善して、従業員を物心両面でサポートするようにしています」と岩田社長は言う。

 

認証機関のクオリティを追究
実際、この方針でシステムを運用するようになってから、従業員が自発的に片づけや掃除、整理整頓をするように変化してきたという。さらに従業員から出される改善点の提案についても、質量ともに向上している。会社側の要求や対応に応えて、従業員の意識やモチベーションが高まってきているということだろう。
「まだまだこれからではあるけれど、成果は確実にあがってきていると思います。今のところ70点ぐらいまでは来ているんじゃないかな」と岩田社長は言う。
その感触が正しいことは現実が示している。FSSC認証を取得してから新規の引き合いが増え、検討材料にするための工場見学者も増えた。そしてFSSC要求事項に準じて稼動する工場を見た商談相手から「この工場なら大丈夫」と信頼を得て、見学をきっかけに一気に商談が進むケースが出てきている。

      
   

[写真左]機械設計の技術者から転身し、20年前に創業した岩田澄博社長
[写真右]岩田社長の号令を実現・実践していく現場リーダーたち。左から熊本秀雄品質保証部課長、松原誠生産本部長、黒川靖典生産本部生産課長。

「こうした現象を見ても、認証機関は厳しくやってくれるところでないとダメだと思う」と岩田社長は言う。「ただ認証を出すための審査ではこうはならない。厳しいながらも的確で分かりやすい指摘をしてくれる認証機関とお付き合いしているから、こういう結果がもたらされていると思います」と。
実は同社は、審査のクオリティを追究して、認証機関を他社からビューローベリタスに移行した経緯がある。
「認証機関を変えてでも、名実ともに恥ずかしくない認証取得組織になる」という選択をあえてした同社。その意味と選ばれた認証機関の責任は大きい。

(2014年5月22日取材)


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