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ケーススタディ : スミダ電機株式会社

世界に拠点と工場をもつグローバル企業が、個別に取得していた認証の統一に挑戦。 

 

          

スミダ電機株式会社 -東京都中央区

 URL: http://www.sumida.com/jpn/

世界中で仕入れ、世界中で作り、世界中で売る

電子部品の一種であるL素子(コイル、トランス、インダクタ)の専業メーカー「スミダ電機」と、世界各地に展開されている販売拠点および生産工場。そしてそれを統括する持ち株会社の「スミダコーポレーション」。これらが一つになって形成されているのが「スミダグループ」(以下スミダ)だ。

スミダのコアコンピタンスとなっているのは、時代のニーズに合ったコイルを開発する技術力。中でも、自動車のABS装置用のコイルは、世界ナンバーワンシェアを誇るスミダのお家芸だ。そのほかに、コンピューターやその周辺機器を含むエレクトロニクス関連全般、代替エネルギー関連、医療機器など、およそコイルの使われていない機械や機器はなく、それはつまり製品が作られる世界のあらゆるところでニーズが発生し、商機を得られるということでもある。現在、スミダを率いる八幡滋行氏(スミダコーポレーション 代表執行役CEO)は、こうした点に早くから着目し、企業のグローバル化を推進してきた経営者だ。

スミダグループ製品の数々を示したパネル

1950年、東京都墨田区にスミダの前身である墨田電気商会を立ち上げ、苦労して大きくした父、一郎氏の先見の明もあり、中学卒業後早々とロンドンに留学した滋行氏は、そこで世界を相手にすることのメリットをいちはやく体感。帰国後、東京の町工場的な存在だった同社を、世界中で事業展開できるグローバル企業に転換する大仕事に着手した。滋行氏の発想は、「世界中で仕入れ、世界中で作り、世界中に売る」というもの。そこで、1971年以降40年にわたって、調達、生産、物流、販売のすべてにおいて世界中の、最適なところで実行する取り組みを続けてきた。その結果、現在、グループの拠点は世界17カ国に36箇所でき、そこで働く人たちの数は約2万人(内日本人約600人)、全売り上げの約80%が海外市場での売り上げという、名実とものグローバル企業ができあがったのである。
こうした海外展開の成功の根本にあったのは、滋行氏の「海外に進出するのではなく、海外と共生する」という 方針である。各国の人の文化や習慣、プライドを尊重しながら、できるだけ「郷に入れば郷に従え」を実践してきたことが、スピーディーな海外展開を可能にしたのである。

世界中に、同じ品質とサービスを提供せよ

こうして世界的なコイルメーカーの地歩を確立したスミダにとって、欠かせないものとなったのが、世界標準の マネジメントシステムである。そこで、ほぼすべての拠点がISO9001、ISO14001、ISO/TS16949のいずれかを取得し、それに基づいて生産や販売活動を行ってきた。ただし、現地のやり方や自主性を重んじるスミダの方針はここでも貫かれ、認証機関の選択は各国の判断に任された。その流れを大きく変えて、認証機関の一本化を図るきっかけとなったのは、2008年に設定された「Triple EX」と名づけられた中期計画だった。その中の重要課題の一つに「お客様の求める品質、ソリューションをいつでも、世界のどんな場所でも最適な価格で提供する」というミッションが掲げられたのだ。 つまり世界各国にあるどの工場で作っても、どの販売拠点から売られても、常に同じ品質とサービスが提供できる体制を、今までにも増してスピーディーに確実に構築せよという指令が、トップから下ったのだ。

スミダグループの製品

その背景には、今後、よりスピーディーに効率的に世界拠点を広げるためにM&Aを加速させたいという事情もあった。つまり、企業文化やルールがまったく違う異分子の企業をまるごと受け入れながら成果を上げていくためには、今までのように「それぞれのやり方」を尊重するだけでは難しくなってきていたのだ。

スミダの中国生産拠点

認証機関の統一で、統一品質を生む

このときにアジア品質保証部(現:グローバル品質保証部)のゼネラルマネージャーとして、このミッションの解決を担うことになったのが伏見昭彦氏だった。伏見氏がまず考えたのは、品質の統一を図るためには、まずそのマネジメントシステムを統一する必要があるのではないかということだった。
先述のように、それまでスミダでは現地を尊重する風潮の中でISOの認証機関はもちろん、品質方針もマニュアルの内容も現地の判断や選択に任されていた。「しかしそれではあまりに内容にもレベルにもばらつきがありすぎる。やはり今後は多少統一見解を提示したり、マネジメントの手法を規定したりしていくことも必要なのではないか、そのためには、まずグループ企業のISOを同じ基準で審査しながら、『これがスミダのマネジメントシステムだ』というものを確立していくことが必要だと思ったのです」と伏見氏は言う。

こうしてまず試みられたのが、認証機関の統一だった。伏見氏は、自分のほかに、香港とヨーロッパにいた2人の品質保証担当のゼネラルマネージャーと、どの認証機関が最適かを話し合った結果、ビューローベリタスを選択した。その理由は、「スミダと同じく世界各国に拠点があり、世界中を同じ目で診ることが可能だったから」 そして「日本での審査を見て、信頼感を持っていたから」だと言う。実はドイツはこの決定に最初、「ビューローベリタスの審査がいったいどれぐらい厳密に行われるのか?」と不安感を示していたと言う。楽にしてほしいというのではなく、その逆。「ドイツはいったいどれぐらい質の高い審査を受けられるのかに敏感で、その言い分を聞いていると、ヨーロッパではいかに自分たちが受けるサービスに対してシビアな評価を下すかがよく分かり、とても勉強になった」と伏見氏は言う。このシビアなドイツを含め、不安感を示す国にはビューローベリタスの各国事務所からスタッフが出向き、プレゼンテーションが行われるなどした結果、“認証機関をビューローベリタスで統一する”という決定は、世界中のスミダで受け入れられることになった。

生産の様子

そしてそれにともない、各国に今あるマニュアルを活かしながら、その上部に位置するグローバルマニュアルづくりが進められている。「せっかく彼らが作ってきたマニュアルがあるのだから、それはできるだけ生かして、その現地マニュアルを横断しながら包括するコモンクオリティーマニュアルを作りたい」と伏見氏は言う。

グローバル品質保証部 ゼネラルマネージャー 伏見昭彦 氏

これができた場合のメリットとしては、たとえばどこかの国で重大なクレームが発生した場合に、他の事業所のすべてでその情報を共有化し、再発防止の水平展開を推進できるといったことがある。同時に、どこかに優れた解決策があればそれを他にも活用させられるというメリットでもある。また、取引先にもグローバル化が進んでいる昨今は、「この国にはこの国でOKなクオリティの製品を納めておけばよい」という考え方がなかなか通用しなくなってきている。 世界中どこでも同じ品質の製品ができあがってこなくてはいけない。そのためにもコモンマニュアルはぜひ必要なのだ」と、伏見氏は言う。そしてコモンマニュアルづくりと同時に構想されているのがシステムの統合だ。各国ともが共通のシステムを使ってマネジメントすることで、各国がもつデータがより明確に比較対照されたり、統計できたりするようになる。そうすると、比較対照だけでなく、グループ全体の姿、長所や弱点も、より鮮明に浮き彫りになってくるはずだ。

「そして最後の仕上げはマルチサイト認証(統一認証)ですね」と伏見氏。「そこまではまだ遠いかもしれませんがぜひ完成させたいものです」と 静かな闘志を見せている。

2010年8月23日取材

お問い合わせ先

システム認証事業本部 営業部

TEL:045-651-4785 FAX:045-641-4330

 

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