3月18日から22日にかけて、MEPC 81(第81回海洋環境保護委員会)が開催されました。主な審議内容は以下のとおりです。
その他の主な審議内容は下記よりダウンロードできます。
MARINE ENVIRONMENT PROTECTION COMMITTEE 81TH SESSION(MEPC 81)SUMMARY REPORT(英語)
また、ビューローベリタスが先日開催したMEPC 81審議内容についてのウェビナーの録画をご覧いただけます。
MEPC 81についてのウェビナー録画は下記をご覧ください。
<採択された内容>
- MARPOL議定書I 第V条の改正:紛失コンテナの際の報告は、SOLAS第V章31規則および32規則に従い危険メッセージを発信する(2026年1月1日適用開始)
MARPOL付属書VIの改正:(2025年8月1日適用開始)
-低引火点燃料およびその他燃料油について・第2規則:“fuel oil” や“gas fuel”の新たな定義
・第14.12規則: In-used sampling pointについて、“gas fuel”および “low-flashpoint fuels” を使用する場合は、サンプリングポイントの設置や指示は非適用
・第18規則:“gas fuel” および “low-flashpoint fuels” のBDNには密度および硫黄分含有量も記載する
・Appendix I:IAPP証書の様式の変更
-蒸気システムからディーゼルエンジンへの換装について
第13.2.2規則:蒸気システムからディーゼルエンジンへの換装を主要な改造である“エンジンの換装”と見なす。
エンジン換装の場合に、NOx Tier IIIの規制値を満足する必要があるが、そのエンジンの搭載が不可能な場合、Tier IIの規制値を満足するエンジンの搭載を満たす必要があることに関して、MEPC resolutionを改訂する。(報告用テンプレートを含む)-IMOの燃料消費データベースへのアクセス権について
・第27.14規則の新設:IMOは、IMO DCSデータベースの情報を、秘密保持ルールのもと、分析コンサルタントや研究機関へ共有をすることができる
・第27.15規則の新設:企業は、フリートの燃料消費報告書に関する非匿名データを、要請に応じて一般へ共有することができる
-IMO DCSにおける輸送作業に関するデータとデータ粒度レベルの強化について
・Appendix IX での新要件:IMO DCSを通じてデータベースに提出すべき項目を追加(輸送作業に関するデータ、燃料を使用する機器毎の消費量の詳細、停泊中か航海中か、等)
+二重のデータ収集と報告を避けるために 2025 年 1 月 1 日からの早期施行が必要であることにも合意
バラスト水管理条約
-A-1規則およびB-2規則の改正:電子記録簿の定義および承認要件を規定(2025年10月1日適用開始)
-水質に問題がある港で運航する船舶のための暫定ガイダンス案(2024年3月22日適用開始)
・バラスト水処理装置のバイパスを含むバラスト水の管理方法、バラストタンクの汚染除去、記録保管や連絡方法などを含める
・バラスト水処理装置の製造業者が該当する港での運航を支援するためのガイダンスやPSCに関するガイダンスも含める
-処理済み汚水や生活排水を一時的にバラストタンクへ貯蔵する際のガイダンス案
・バラスト水との分離、処理水の排出方法、D-2規則に関連する統一的な手法の開発、バラスト水記録簿への記録などを含める
エネルギー効率
-2022年SEEMPガイドラインの改正案(2024年3月22日適用開始)
・各船種において報告すべき輸送仕事量の測定単位についての情報を追加 (輸送仕事量計算のための表が含まれた)
・燃料電池など、燃焼させない燃料を使用する場合を考慮して、“combustion system”を“consumer type”に置き換える
・陸上から供給される電力量について、紙ベースの港湾や供給電力会社からの情報を電子記録に含めることができる
-2022年 船舶燃料消費量データおよびCIIの認証に関するガイドライン(MEPC.348(78))改正案(2024年3月22日適用開始)
・IMO DCSのデータ粒度レベルの強化にあわせて、収集データ概要のサンプルフォーマットの改正
-軸/エンジン出力制限システムについての2021年ガイドライン改正案(2024年3月22日適用開始)
・物理的な軸出力制限でない場合には、制限出力を超えた際に警報が作動しデータ記録を開始しなければならない
・危険が予想される場合には、事前に軸/エンジン出力制限を解除し即座に非常用出力を使用できるようにしてもよい
・非常用出力の使用についてIMOへ毎年報告するための統一的な手順に関するサーキュラー案を承認
- 2024年LCA(Life Cycle Assessment)ガイドライン案(2024年3月22日適用開始)
-既存のLCAガイドラインに、陸上からの電力供給に関する考慮事項、デフォルト排出係数の計算におけるより詳細な要件を追加
<承認された内容>
- バンカリング時の燃料油サンプリングに関するガイドライン(MSC-MEPCサーキュラー案)
- 海上輸送による水中騒音の低減に関するガイドラインを普及するための行動計画を承認:経験構築フェーズ(EBP)を2026年までの3年間に設定する
- カナダ北極海をNOx、SoxおよびPM(粒子状物質)の排出量規制海域に指定(最短で2026年3月1日適用開始)
- ノルウェー海をNOxおよびSOxの排出量規制海域に指定(最短で2026年3月1日適用開始)
- 貨物コンテナによるプラスチックペレットの海上輸送に関する勧告案を承認
<その他の審議内容>
バラスト水管理条約
-型式承認されたバラスト水処理装置を部分変更する際の承認プロセスについて
-バラスト水の交換や処理が難しい短期航海する船舶への対応について
-バラスト水処理装置からの処理水に対するサンプリングの方法や頻度について
- 船籍国の変更前の取得済みEIAPP証書の有効性について
エネルギー効率
-CIIガイドライン G5における “Capacity”の定義を、CII ガイドラインG1のDWTやGTと一致させるための修正案
-統一解釈に対する検討
・MARPOL付属書VI第2.2.18規則:2019年9月1日以降引渡しの5種類の船についての要求EEDI値の明確化
(5種類の船とは、LNG carrier, passenger ship, ro-ro passenger ship, ro-ro cargo ship(vehicle carrier), ro-ro cargo shipである)
・MARPOL付属書VI第2.2.15規則:IACS Rec.170にある“heavy load carrier”が示す対象の明確化
-MEPC78で船舶燃料として30%のバイオ燃料の使用が合意されたことに関してIBC codeの作業グループ(ESPHグループ)における更なる検討を依頼
(現在、25%以上のバイオ燃料の輸送はIBC codeに基づいた船である必要がある)-バイオ燃料の使用に関するガイダンスについて:MSC108へ提出予定
-IMO DCSやCIIにおいて、現在ガス運搬船と報告されているLNG運搬船は、全てLNG運搬船として報告されるべきであると合意
-バイオ燃料のうち、MEPC.1/Cir.905の要件を満足した燃料である場合とそうでない場合のIMO DCSの報告について
GHG排出削減施策の中期対策バスケット
-LCAガイドラインの科学的検証のための作業部会を設立
-船上での炭素回収に関する規制の開発のための作業計画を策定する
- 船舶からの海洋プラスチックごみに対処するための行動計画のフォローアップ